教育カウンセラーの独り言

今起こっている日本の教育の諸問題と受験競争の低年齢化している実態を見据えます。

新・学歴社会>公立中高一貫の波紋

2008年11月04日 12時39分57秒 | 受験・学校

『東大合格者数、私立と競う  競争率27・06倍。この春にあった「公立中学」の入試の話だ。大学への進学実績から首都圏の「公立高校御三家」とも呼ばれる千葉県立千葉高校(千葉市)。その千葉高が中高一貫校化することになり、「県立千葉中学校」を今春、同じ敷地内に開校した。  一期生の定員は80人。高校段階でも240人程度の枠はあるが、ここで合格すれば内部進学できるとあって、2165人の小6生が出願した。 入試問題は難しい。 豆腐に7回包丁を入れてさいの目に切る場合、切り方の違いによってできる個数をすべて答える。司馬遼太郎氏の文章を読み解くなどして「みんなが仲良く暮らせるようになる」ための具体策を300~400字で記述する。 千葉高が中高一貫に乗り出した背景には進学実績の停滞がある、というのが教育関係者のもっぱらの見方だ。  教育情報会社の大学通信によると、千葉高は20年前の88年には62人の東大合格者を出していた。しかしその後、中高一貫の私立が伸びる。02年には同じ千葉市の渋谷教育学園幕張高が22人の東大合格者を出し、21人の千葉高を初めて抜いた。今春は渋谷幕張35人、千葉19人。 新しいスタートに立ち、千葉中が掲げる教育目標は「日本で世界で活躍する心豊かなリーダーの育成」。入試について県教委は「リーダーの資質がある子かどうかをはかる問題を出した」と言った。 「ゆとりと個性」が進学に傾く 旧文部省が公立の中高一貫校の開設を可能にしたのは99年。そもそもの出発点には、6年間を弾力的につなぐことでゆとりと個性がある学校生活を実現できる、という理念があった。しかしその理念は、「学力向上」の逆バネの中、大きく変わりつつあるように見える。 先頭を切ったのは東京都だった。05年、「リーダーとなりうる人材を育成する」として白鴎高(台東区)に付属中学を開校し、動きは全国に広がった。 一方で、「つぶれる」中学も出ている。香川県三豊市の県立高瀬のぞみが丘中学は来年から募集を停止し、10年度末で閉校になる。 「ゆとりと個性」を掲げ、部活動が盛んな県立高瀬高の併設中学として02年に開校。子どもに「落ちた」という気持ちを味わわせないよう、定員の半分は適性検査の成績優秀者、残りは抽選で決めた。 しかし、06年度以降は定員割れに。岡部健校長は「進学などに特化しないのではメリットが伝わりにくい。保護者には大きなアピールにならなかった」と残念がる。「入るための訓練」かさむ出費。  一貫校の公立中入試について、教委や学校は「適性検査」「受検」と呼ぶ。「受験競争が低年齢化しないよう学力試験は行わない」という文科省の方針を踏まえた表現だ。確かに難しい計算や膨大な暗記が求められる一部の私立の入試とは異なる。図表や写真を示し「考える能力」をみるものが中心だ。 しかし、小学校の勉強だけで突破するのが容易でないことに変わりはない。「千葉中対策模試」を実施した誉田進学塾(千葉市)の清水貫代表は「小学校で習う内容とは似ても似つかない」と言い切る。「訓練が必要です」 大手進学塾・日能研の06年の調査では、首都圏で私立の中高に6年間通わせた世帯は、学債や寄付金を除いても1人平均で約482万円を学校に払っていた。一方、公立の中高だと約142万円と3分の1以下で済む。ただし、入るための出費はかさむ。ベネッセの07年の調査では、一貫校の公立中を第1志望にする首都圏の小6生の学校外教育費の平均は月3万8978円。月10万円以上の家庭も5・7%あった。 千葉市の主婦(41)の小6の長男は千葉中を目指し、対策講座を週3回受けている。しかし、競争率をみて「自信が無くなった」。主婦も「こんな早くから選別されてかわいそうに」と思う。「挫折感は味わわせたくない……」 競争率が高ければ、それだけ「落ちる」体験をする子どもは増える。「倍率が高ければ難関化してしまう。理想と現実の間で非常に悩ましい」。理念を説いたはずの文科省教育制度改革室の言葉だ。国際基督教大大学院の藤田英典教授(教育社会学)は「教育機会の不平等や格差を制度化している。不必要な優越感や劣等感を生み出す」と批判する。「12の春を泣かせるな」。近い将来、こんな声が広がるかもしれない。』アサヒコム

「千葉高が中高一貫に乗り出した背景には進学実績の停滞がある、というのが教育関係者のもっぱらの見方だ。」と記事に書かれて有りますが。私立の中高一貫校の6年間のカリキュラムと公立高校の3年間のカリキュラムとでは、とても太刀打ち出来ません。「ベネッセ教育研究開発センターが小学6年の子どもをもつ保護者に調査したところ、中学受験を予定する人が全国で13.2%、東京23区では36.9%にのぼった。東京23区では、受験を予定する保護者の4割が公立の中高一貫校も候補に考えていた。 調査は昨年12月に実施。全国調査は約1500人、東京23区は約850人から回答を得た。 全国調査では、中学受験を予定する人の60.1%が私立、13.6%が国立、23.7%が公立中高一貫校を第1志望に挙げた。」と言う調査結果にも出ています。公立の中高一貫校で、進学実績を上げようと思えば、学力ある生徒を確保する為に中学校入試を実施せざるを得ません。現実的には、進学実績を上げている伝統ある公立高校に中学校を作る以外方法は無いと思います。他の公立高校との大学進学率の差や学校間の学力格差は、将来的には顕著になると思います。公立高校で、進学実績を上げている私立の中高一貫校に対抗するには中高一貫校の中学校段階での入学試験を実施せざるを得ません。私立の有名中高一貫校で実施されているように外部募集を高校段階でするのかしないのかが課題として残りますが。公立高校の私立の中高一貫校に対抗し、進学実績を上げるには致し方無いと思います。私立の中高一貫校へは経済的負担の大きいと考える保護者は公立の中高一貫校に進学を目指すでしょうが、中学校入試に備えた塾への費用も大変です。小学校4年からの塾通いが必要となります。地方の私立の中高一貫校の無い地域は、公立の中高一貫校を増やさざるを得ないと思います。新しく出来た公立の中高一貫校の大学入試で実績を上げるのは、6年目です。大学合格者実績で、6年目に実績を上げれないと公立の中高一貫校として伸びていくのは難しいでしょう。受験業界からも評価されないと思います。公立の中高一貫校には、生徒が集まらなくなると思います。公立高校3年間のカリキュラムで、昔のように公立高校が難関大学現役合格者を出すことは至難の技と言うより、ほとんど不可能になって来ています。首都圏では小学校での成績上位者が、私立の有名中高一貫校に進学することが定着そして要る今日、公立中学校との学力面での格差が既につけられていると言えます。昔は「15の春」を泣かすなでしたが、今さら「12歳の春」を泣かすなと言われてももう遅いと思いますが。この傾向は、約28年前から都市圏では、私立中高一貫校や国立大学付属中学校への進学者に出ていましたので、今更騒ぐのもおかしい受験問題です。 名門公立高校の難関国立大学への合格者数減少傾向と深い相関関係が有ると思います。私立有名中高一貫校や国立大学付属高校の難関国立大学合格者実績に伴う、名門公立高校の合格者数の減少と斜陽化の現実を反映していると言わざるを得ません。名門公立高校の衰退と私立中高一貫校興隆の歴史的流れを知る必要が有ると思います。昔の公立志向や憧れでは、この問題は解決出来ません。今の高校入試は、家庭の経済的格差やそれにリンクしている学力格差の矛盾を現実問題として見据える必要が有ります。

☆ウェブサイト:http://www18.ocn.ne.jp/~abc8181

                                                                   

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