地域によって広がる大学進学率の差は、能力があるのに進学できないという状況を生んでいる。大学の少ない地域から、大都市圏の大学をめざす高校生を持つ家庭には下宿代などの経済負担がのしかかる。

 「本当は大学に行きたいんだけど、親から言われたんだよね」。青森県立 の高校で進路指導を担当する50代の男性教諭は今春、3年生の女子生徒が冗談めかした言葉に、切なくなった。提出された進路調査の第1志望欄には「公務 員」。国立大も狙える学力だが、重い費用負担が理由だ。大学生の兄がおり、「妹の学費まで賄えないのだろう」と推し量った。 例年、約300人の3年生全員が進学を志望するが、今年は就職希望者が約20人。同僚と「経済的な理由だろう」と話した。かつて成績上位の生徒に東北大仙台市)を勧めたら、生徒の親から「金がかかる。余計なこと言わないで」と怒られたこともあった。 隣の秋田県。小中学生の全国学力調査で上位の常連だが、高校生の大学進学率は42%で全国平均(54%)を下回る。「経済状況もあり、単純に『学力調査=進学率』とはいかない」と県教育委員会の担当者は言う。 「進学の機運を高めて、頑張る高校生を応援しよう」と県教委は2010年、東大など難関大学の現役合格者数を数値目標に掲げた県高校総合整備計画を策定。希望する高校生向けに予備校講師による「ハイレベル講座」を開くなどの支援に取り組んでいる。』

日本経済のバブル崩壊後、失われた三十年で都市圏でも家庭の所得格差が、拡大している今日、都市圏と地方圏との所得格差は是正されず拡大しているの現実と思います。株高になっても実体経済の景気回復がしてていない現状では、経済的に豊かな受験生でないと下宿して大学に進学するのは困難と言えますし、受験生の地元゛大学志向は当分続くのでは有りませんか。受験生を持つ家庭の台所が豊かにならない限り、地方の大学進学率は改善されないと思います。先立つものはお金です。日本の受験生に見る教育に及ぼしている経済状況、景気動向の実態結果とも言えます。