日韓合意で判明した権力に迎合する右翼と切り捨てられる右翼
安倍首相が日韓合意したことで、右翼が裏切られたと怒っているらしい。
その事を大手新聞が正面から取り上げたのは東京新聞が初めてだ。
すなわち1月9日のこちら特報部でその実態を詳しく書いている。
多くの右翼が安倍首相の裏切りに怒っていると。
しかし、私がこの東京新聞「こちら特報部」で注目したのは彼らの事ではない。
安倍政権に近い右翼たちが、この日朝合意の評価に口を濁し、あるいは評価すらしているという事実だ。
これを要するに、主義主張に忠実(馬鹿正直)な純粋右翼は怒り、権力迎合の右翼は、主義主張などかなぐり捨てて保身の為に豹変しているのだ。
同じ事は左翼にも言える。
主義主張やイデオロギーに忠実で純粋な者は、損得を顧みず最後まで自民党と対決するが、権力志向の現実主義者は、立ち位置を変えても生きのびることを優先する。
もはや右翼、左翼の対立でいがみ合う時代はとっくに終わっているのではないか。
あるのは純粋なあまり切り捨てられる者たちと、理念や理想を二の次にして、権力に迎合する現実主義者たちとの絶対格差である。
それを突き詰めれば、保身のために対米従属を優先する卑怯者が生き延び、対米自立を唱える者たちが疎外されるという日本の現実である。
日本の大問題は、はたしていつの日か、日本は米国の支配から逃げられるかどうかである。(了)
Posted on 2016年1月10日 Naoto Amaki
Posted in 天木直人のブログ
日韓合意は米国が日本に圧力をかけて実現させた動かぬ証拠
1月7日の朝鮮日報オンライン(CHOSUN ONLINE)が報じていたことをネット上で流れる情報で知った。(http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/01/07/2016010700643.html)
米国家安全保障会議(NSC)のベン・ローズ安保副補佐官が去る2日、ハワイでのメディア会見で、オバマ大統領の水面下での役割を詳細に説明したと。
ローズ副補佐官は、「オバマ大統領はこれまで一貫して元慰安婦と韓国国民の正当な不満を解決する措置を取るよう、日本を督励してきた。特に、日本が『歴史の遺産』という点をよく胸に刻み、積極的な解決方法を出すよう促した」と述べたというのだ。
ワシントンの外交筋が朝鮮日報のワシントン特派員に伝えたらしい。
朝鮮日報オンラインは韓国最大の発行部数を誇る朝鮮日報の日本語ニュースサイトだ。
いい加減な事を書けるはずがない。
もしベン・ローズNSC副補佐官の語った事が事実なら極めて重大な意味を持つ。
今度の日韓合意の裏には米国の意向が強く働いていただろうことはいまや皆が内心そう思っている。
その事がこの発言で裏付けられたのだ。その意味は大きい。
しかしもっと重要な事は、韓国よりも日本の方に圧力をかけたと言っていることだ。
つまり安倍首相の歴史認識に圧力をかけたと言っている。
これは極めて重要な発言である。
これほどの重要な発言をなぜ日本のメディアは伝えようとしなかったのか。
オバマ大統領のハワイ休暇に同行したベン・ローズ副補佐官が不用意に口を滑らせたのなら、なおさら見逃せない重大発言だ。
いまからでも遅くない。
大手メディアはオバマ政権やベン・ローズ副補佐官に取材して、発言の真偽を確かめ、日本国民に教えるべきだ。
それをしないようなら、大手メディアは安倍政権に都合の悪い事は報道自粛していること間違いない(了)
安倍首相の対北朝鮮強硬姿勢は打つ手のない安倍外交の証拠である
今回の北朝鮮の水爆実験発表に対する日本の報道のはしゃぎぶりは見事に安倍政権追従ぶりを示している。
水爆実験ではなかったという事は、もはや安倍首相自ら国会で認めてしまった。
そうであればなぜここまで騒ぐのか。
もちろん核開発は許されないことだ。
しかし北朝鮮の核開発は今に始まったことではない。
核拡散の危険性は、もはや世界中に広まりつつある。
インドの核開発には手を貸したばかりだ。
それに核実験を繰り返しているのは北朝鮮ばかりではない。
日本への重大な脅威だというのは一般論としてはその通りだが、いま北朝鮮が日本を最大の敵国と見なしていると考える馬鹿はいない。
北朝鮮の核開発は米国へのラブコールだというのも皆が知っている。
それにしても、安倍首相がここにきて北朝鮮の脅威を強調するのは異常で支離滅裂だ。
拉致問題についての話し合いが進展しそうになっていた時は、米国の不快感にもかかわらず、制裁緩和、対北朝鮮極秘協議に走った安倍首相だった。
そうなのだ。
ここにきて安倍首相が対北朝鮮に強硬姿勢を見せたのは、米国への配慮であり、日米韓同盟の強化であり、日韓合意の宣伝であり、対中牽制であり、なによりも、拉致問題をあきらめたということである。
思えば小泉首相がピョンヤン宣言をあきらめたのは、世論の反発もあったが、米国の強い圧力があった。
北朝鮮の核開発で圧力をかけている時に、米国に相談なく日朝国交回復とな何事か、と叱り飛ばされたからだ。
以来、六か国協議という交渉の場で、拉致問題は核・ミサイルと同列に取り上げられて、日本の対北朝鮮に対する独自外交が封じられた。
しかし拉致問題の本質的な解決は日朝国交正常化交渉と一体となって包括的に解決するために日本が独自外交するほかはない。
まさしく安倍首相もそれをしようとしていた。
賢明な読者なら私が何を言いたいか、もうお分かりだろう。
安倍首相の今回の異常なまで対北朝鮮強硬姿勢は、安倍外交の行き詰まりを示しているのだ。
自らの思いとは逆に、保身の為に対米従属に走って身動きとれなくなった安倍首相は、日韓合意でもはやまった。中国との関係は劣勢一方だ。ロシアとの関係は米ロ緊張関係で身動きが取れない。中東には手も足も出ない。出したら最後テロに狙われる。
そして拉致問題解決の断念だ。
これから先、安倍外交は何を目指すというのか(了)
出典Posted on 2016年1月9日 Naoto Amaki
Posted in 天木直人のブログ