人生の最期に備える「終活」を、障害がある子供の親にこそ早くから始めてほしい。そんな思いを伝えるために全国を回る母親がいる。大阪府八尾市の上級終活カウンセラー、藤井奈緒さん(45)。長女に重度の知的障害があり、自分が面倒を見られなくなったときのことを「親なきあと」と呼んで準備してきた。ある人との別れと、一冊のノートが活動の原動力。3月1日は北海道でも講演する。
「実体験を交えた話が分かりやすくて、終活への意識が変わった」。1月24日、大阪府吹田市の西山田地区公民館で行われた学習会。小学校の支援学級に子供を通わせる保護者らが藤井さんの講義を聴いて、そんな感想を漏らした。
藤井さんの長女、凜さん(15)は生まれつき染色体の一部が欠けている「ソトス症候群」。重い知的障害と両足の障害があり、介助を必要としている。次女の怜(さと)さん(9)には障害がない。
「障害のないきょうだいがいると、周囲は将来、面倒を見てくれるとつい期待してしまう。でも、きょうだいにも自分の人生を全うしてほしいし、過度の負担をかけるべきではない」
そう考えて平成29年7月、障害者の兄弟姉妹たちの集まりに顔を出すと、参加者から一冊のノートを紹介された。一般社団法人日本相続知財センターグループが発行する「親心の記録」。障害のある子供に必要な介助や配慮を、誰にでも分かるように親が書き残しておくもので、一種のエンディングノートだった。
「もっと早くに知っていたら」。藤井さんが悔やんだのは、5カ月前、凜さんと同じ支援学校に知的障害のある息子を通わせていた同い年の女性が、突然死したからだ。家族にも知らないことは多く、慣れない介助で疲労とストレスをためていた。
すぐにノートの普及を手伝いたいと申し出て、自分でも活用。コピーを取って記入し、書類を添付できるバインダーで管理する方法にアレンジした。
以前から、凜さん自身が他人の世話に慣れることも必要だと思い、預ける人に日常生活の注意点を知ってもらえるようにと、自己流で似たようなノートを作っていた。「親の頭の中にあることを、すべて見えるようにしておくことが大切だと痛感していた」という。
ノートを書いて将来の不安が見えてきたら、遺言や信託などの制度について知ることも大切だと考えている。昨年3月には、障害者の事情に詳しい専門家に相談し、親権を使って凜さんの任意後見契約を結んだ。葬儀社で8年働いた経験や、在職中に取った終活関連の資格も「親なきあと」の備えに役立っている。
「親亡きあと」と書かないのは、死別だけでなく加齢や病気でも親の役割を果たせなくなる、と警鐘を鳴らす意味合いもあるという。「障害のある子供は必ず誰かのお世話になって人生を歩む。親が知らなかったことで不利益を被らないように、元気なうちから備えてほしい」。藤井さんはそう願っている。
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■終活カウンセラー 終活に関するさまざまな悩み相談に乗り、専門家につなぐスキルがあるとみなされる民間資格。一般社団法人終活カウンセラー協会が平成23年から認定している。初級、上級、上級インストラクターの3種類があり、31年2月現在で累計1万8千人以上が初級を受講した。同種の資格はほかの一般社団法人や民間企業も設けている。』
高齢者の介護の問題でも親戚は、身勝手で見舞いはおろかサポートもしてくれません。
両親の介護と入院で、健康を害して親切な薬剤師さんの助力でやっとこさ健康を出来た私の体験です重度の知的障害の有る親御さんも何時まで健康で長生き出来るとは限りません。
人間疎外の今の社会では、孤独死も多い地域や社会が、サポートしてくれません。
厚生労働省や地方自治体が、支援体制を整えるべきです。
国は、介護も責任を持ちませんと言う今の平成最期の御時世です。
身体障害者や心の病を持つ社会的弱者は、新自由主義経済学による経済政策で切り捨て御免の社会的効率重視の適者生存、自然淘汰の競争の日本社会です。
教育行政学者の岡村達雄関西大学名誉教授が、生前カウンセラーとクライアントのカウンセリングで、問題は解決しないと言われたのは昭和61 年のことです。
クライエントの抱えている社会的背景と矛盾を見据え改善しないとカウンセリング依存症に一生なるだけです。塩水を飲めば飲むほど咽が渇くに喩えられています。
精神医学も心理学も今の病める社会構造との関連性を洞察しないと悩める人達を救えないのでは、有りませんか。