台風15号の記録的な暴風雨は、通勤通学の足を奪った。首都圏の鉄道各社は運休や遅延が相次ぎ、予定した時間になっても運転が再開できないケースも続出。JR東日本の在来線だけでも、277万人が影響を受けたという。

 そんな中、武骨に電車を走らせ続けたのが西武鉄道だった。同じ黄色ボディーのJR総武線は早々にお休みを決めたが、こちらは始発から定時運行。途中で一部列車に遅延が出たものの、せっせと客を運んだ。

 この“偉業”は、スマホをいじりながら運行再開を待ちわびていた人たちの心をわしづかみにした。ツイッターでは西武線を「首都圏最強」と持ち上げる人たちも登場。普段は田舎者のレッテルを貼られがちな利用者も、さぞや鼻高々だったことだろう。

 はたして西武線は、列車や線路がとりわけ頑丈にできているということなのだろうか。広報部の担当者は「運休を判断する基準は他社と変わりません。今回は、たまたまその基準を満たさなかったというだけです。特別なことはありません」と謙遜(?)する。

 30年ほど前、西武線は新宿線の田無駅で追突事故を起こしている。大雪でブレーキが利かなくなった急行が、駅に停車中の準急に衝突。200人以上の負傷者を出した。それ以来、細部まで点検し安全輸送を徹底している。「危なければ止める」はほかと変わらない。

 ただし今回は、「沿線エリアの風量は終電と始発の間にピークを迎えるという予想でしたので、お客さまを乗せたまま立ち往生するリスクは少ないと判断できました。それに地下鉄は動いていたため、お客さまがターミナル駅で乗り換えて移動できる状況だったことも大きかったです」(前出の広報部担当者)と言う。

 もともと西武線は風に強いといわれている。多摩川や荒川、利根川などを鉄橋で渡る必要がないので、強風にあおられそうな場所が少ないのだ。

 不測の事態に備えたいサラリーマンにとって、埼玉や練馬を走る黄色い電車は、強〜い味方なのである。』

鉄道は、大切な足を支える公共機関です。

気象条件の悪い中現場で、活躍されている社員の汗と努力の賜物です。