Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

80年代の好きな映画ベストテン

2018-12-28 | 映画・ビデオ



キネマ旬報の80年代映画ベストテン、日本公開本数が70年代の比ではないから、多様性が際立ってきた時代の結果ですな。聞いたことないソビエト映画が上位に入ってたし、黒澤明と伊丹十三の意外なランキングの低さに驚いた。
んで、70年代編に続いて、不肖わたくしも80年代ベストテン選出してみました。

【外国映画】
アマデウス(ミロス・フォアマン)
カイロの紫のバラ(ウディ・アレン)
恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ(スティーブ・クローヴス)
ストリート・オブ・ファイヤー(ウォルター・ヒル)
ニュー・シネマ・パラダイス(ジュゼッペ・トルナトーレ)
バック・トゥ・ザ・フューチャー(ロバート・ゼメキス)
薔薇の名前(ジャン・ジャック・アノー)
ブレードランナー(リドリー・スコット)
レイダース/失われたアーク(スティーブン・スピルバーグ)
セックスと嘘とビデオテープ(スティーブン・ソダーバーグ)

【日本映画】
うる星やつら2ビューティフルドリーマー(押井守)
お葬式(伊丹十三)
風の谷のナウシカ(宮崎駿)
戦場のメリークリスマス(大島渚)
Wの悲劇(澤井信一郎)
転校生(大林宣彦)
ドグラ・マグラ(松本俊夫)
北斎漫画(新藤兼人)
魔界転生(深作欣二)
乱(黒澤明)

ロブ・ライナー、キューブリック、森田芳光が入ってない!斉藤由貴の「恋する女たち」、「アンタッチャブル」「隣の女」が捨てがたい!サントラでキャアキャア言ってた映画が少ない!…10本なんて絞れないよぉー(^^;)

アニメ入れすぎとか言わないでっ!
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私が恋をした映画の中のヒロイン4選

2018-08-03 | 映画・ビデオ
#私が恋をした映画の中のヒロイン4選
「ラ・ブーム」ソフィー・マルソー
「アメリ」オドレイ・トトゥ
「卒業」キャサリン・ロス
「ある日どこかで」ジェーン・シーモア



4人なんて選べないって!
「リトルロマンス」ダイアン・レイン
「なまいきシャルロット」シャルロット・ゲンスブール
「野性の夜に」ロマーヌ・ボーランジェ
「ウェディング・シンガー」ドリュー・バリモア
「ミッション・インポッシブル ゴーストプロトコル」レア・セドゥ
「ブルックリン」シアーシャ・ローナン
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70年代の好きな映画ベストテン

2018-07-28 | 映画・ビデオ


「キネマ旬報」の1970年代ベストテン特集。巷の映画ファンの間で話題になっている。70年代、僕はまだお子ちゃまだったからなぁ・・・、外国映画はまだしも日本映画はあんまり観てない・・・と思いつつ僕も選出してみた。

【外国映画】
スターウォーズ(ジョージ・ルーカス)
ブリキの太鼓(フォルカー・シュレンドルフ)
ひまわり(ビットリオ・デ・シーカ)
未知との遭遇(スティーブン・スピルバーグ)
ゴッドファーザー(フランシス・F・コッポラ)
タクシードライバー(マーチン・スコセッシ)
ウエストワールド(マイケル・クライトン)
燃えよドラゴン(ロバート・クローズ)
ディア・ハンター(マイケル・チミノ)
スリーパー(ウディ・アレン)

お子様だったからか、SF映画の比率が高くなる。当然後追いも多いけど、繰り返し観ているものばかり。特に「ウエストワールド」はトラウマ映画のひとつ。

【日本映画】
ルパン三世カリオストロの城(宮崎駿)
犬神家の一族(市川崑)
新幹線大爆破(佐藤純彌)
砂の器(野村芳太郎)
修羅雪姫(藤田敏八)
太陽を盗んだ男(長谷川和彦)
柳生一族の陰謀(深作欣二)
男はつらいよ寅次郎わが道をゆく(山田洋次)
子連れ狼三途の川の乳母車(三隅研次)
トラック野郎度胸一番星(鈴木則文)

ヤクザ映画を苦手としているし、なにせお子様だったから、角川が台頭する70年代末期に偏りがち。まだまだ不勉強かも。「戦国自衛隊」が捨てがたい。

キネ旬では12月に80年代ベストテンをやるそうだ。80年代は絞りきれないぞ、多分。
コメント (2)
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ベスト10

2018-06-09 | 映画・ビデオ
Twitterでこんなお題が出てたので挑んでみた。

#観た映画も人間性に影響するらしいのであなた人生のベスト10を教えて


そんなん無理!・・・と思いながらも、この難題に敢えて答えるとしたら・・・

街の灯(チャールズ・チャップリン)
街の灯 City Lights [Blu-ray]
カサブランカ(マイケル・カーティス)
カサブランカ [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
裏窓(アルフレッド・ヒッチコック)
裏窓 (Rear Window)[Blu-ray]
雨に唄えば(スタンリー・ドーネン)
雨に唄えば 製作60周年記念リマスター版 [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
太陽がいっぱい(ルネ・クレマン)
太陽がいっぱい 【特典DVD付2枚組】
007/ロシアより愛を込めて(テレンス・ヤング)
ロシアより愛をこめて [Blu-ray]
卒業(マイク・ニコルズ)
卒業 [Blu-ray]
スターウォーズ エピソード4 新たなる希望(ジョージ・ルーカス)
スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望 リミテッド・エディション [DVD]
ブレードランナー(リドリー・スコット)
ブレードランナー ファイナル・カット [Blu-ray]
カイロの紫のバラ(ウディ・アレン)
カイロの紫のバラ [AmazonDVDコレクション]

■捨てがたいもの
大脱走(ジョン・スタージェス)
2001年宇宙の旅(スタンリー・キューブリック)
アラビアのロレンス(デビッド・リーン)
ティファニーで朝食を(ブレイク・エドワーズ)
男と女(クロード・ルルーシュ)
ロシュフォールの恋人たち(ジャック・ドゥミ)
燃えよドラゴン(ロバート・クローズ)
タクシードライバー(マーチン・スコセッシ)
ストリート・オブ・ファイヤー(ウォルター・ヒル)
マトリックス(ウォシャウスキー兄弟)

ベスト100でも迷うのに…(ーー;)うーむ。
結局自分のルーツに触れる映画にどうしてもなるから、かなりベタな選出になっちまいますな。
でもそれぞれがその時期その時期に夢中になった理由がきちんとある映画ばかり。

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映画授業顛末記2009

2014-02-11 | 映画・ビデオ
 2009年まで私が働いていた専門学校で、資格試験などに挑む卒業までの後期授業期間中、選択科目でやっていた試み。この授業の趣旨は「ヴァーチャル社会見学」。とかく自分が好むもの以外には目を向けない今ドキの学生たちに、映画を通じて視野を広げてもらおうというものです。方法は、映画を観てレポートを書くだけ。もちろん、観る前に解説はします。内容の簡単な紹介、扱われているテーマ、どういうところを観て欲しいか、エトセトラ。対象となるのは、18歳から22歳位の男女学生。

 作品を選ぶにあたっては、テーマ、舞台となる国、製作国に徹底的にこだわっております。また、自主規制として、暴力的でないこと、裸が出ないこと、異なる国の映画を選ぶこと、現代ハリウッドのエンターテイメント作品は選ばないなどを設けました(一部禁を破ったりはしましたが)。この課題レポートを書く作業は、自分が観た映像とそこから感じたことを文章に構成する作業。読書感想文と違って引用するものがないだけに、日頃使わない頭を使うようです。 映画を観た後で自分の考えをまとめてみるという作業は、彼らには初めての経験。実はいい訓練になるのかも。

以下は2009年に実施した授業の顛末。彼らのハートには何が残ったのでしょう。


■第1講・銃社会について考える・・・の巻/「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年・カナダ)

監督=マイケル・ムーア
出演=マイケル・ムーア マリリン・マンソン チャールトン・ヘストン

【解説】いきなりドキュメンタリー映画からスタート!。初回は、何よりもハリウッドエンターテイメントに毒された彼らの映画のイメージを覆すことが必要。銃社会アメリカの暗く厳しい現実をこれでもかと見せつけながら、映画としての面白さ、見せ方の面白さでまったく飽きさせない。学生たちもスゲえ・・・と圧倒された様子。観ることを放棄して寝ちゃったのはほとんどいなかったかも。「マリリン・マンソンが一番まともなことを言ってたのに感動した」と口にした男子学生は、Rock Is Deadを口ずさんでおりました。名曲What A Wonderful Worldの皮肉な使い方が実に見事。わかってくれたかなぁ。

【学生の感想】
●人間、誰もが強い心と弱い心を持っている。心が折れた時、弱い心が人間を支配する。その時手元に銃があれば、犯罪という考えに陥るのはおかしいがわからなくもない。だからこそ規制があるのだ。一方で、映画の中でも核は規制があるから使えないと言っていた。規制があるから使えないという考えになること自体がおかしいと思った。使っちゃいけないものなのだから。
●友人に聞いたのですが、コロンバイン高校での銃乱射事件のことで、日本では「銃社会をなくせばいい」という意見が一般的だったそうです。それに対し、アメリカでは「あの時別の人が銃を持っていれば犯人を殺せたのに」という考え方をするそうです。私は理解に苦しみました。

●敵っていうのは結局自分なんだと私は思います。他人は自分の鏡っていうように、目に映る敵や恐怖は自分自身だとなぜ気づかないのでしょう。自衛のために銃を持っていてそれを使う。その理屈はわかるけど、自分の身を守るために誰かを殺してよいというのはおかしいと私は思います。Kマートで銃や弾を売らなくなったように、お互い譲歩することが大切なのに。


■第2講・イスラム世界の映画を観る・・・の巻/「運動靴と赤い金魚」(1997年・イラン)

監督=マジッド・マジディ 
主演=ミル・ファロク・ハシェミアン バハレ・セッデキ

【解説】これまでの映画授業でも登場したイラン映画の秀作。 特に男子学生からの人気が高いんですよね、これ。失敗を親に隠して一生懸命になんとかしようと思った経験が、彼らにはきっとある。だから共感するのでしょう。国が違っても兄妹愛は変わらない。貧富の差がこんなにあるのか、と驚いたという感想も多く見られました。イスラム世界の現実を知る上でも、興味深い映画だったようです。

【学生の感想】
●妹の靴をなくしてしまったアリの絶望感や深い後悔の思いがひしひしと伝わってきました。ザーラは自分の靴をなくしたのに、謝りもしない兄の言うことを聞き、母親にも父親にも靴のことを言おうとしませんでした。その時のザーラの気持ちや、また妹に迷惑をかけているアリの気持ちを思うと、深く感動させられました。

●映画を観て、兄弟が欲しくなりました。最後のシーンで、靴はボロボロで足には痛々しいまめができていました。そこに赤い金魚が集まって、まるでアリの頑張った足に「お疲れ様」と言っているようでした。これまで観た映画とは違う雰囲気が気に入りました。もう一度観たいと思える映画です。

●イランという国の経済事情を考えたら、映画の質はきっと他の国より劣るだろうと思っていた自分が恥ずかしいです。裕福な人々、貧しい人々、貧しくても前向きに生活している家族愛や兄妹愛に感動しました。CGなどの技術を使って映画をつくるのがすごいことではなく、何を相手に伝えることができるかが、すごい映画だということをを改めて思いました。


■第3講・歴史映画を観る・・・の巻/「ラスト・エンペラー」(1987年・イタリア=イギリス=中国)

監督=ベルナルド・ベルトリッチ 
主演=ジョン・ローン ピーター・オトゥール 坂本龍一

【解説】僕は世界史の授業も担当しておりまして、授業でもいろいろな歴史映画をエピソードとして紹介したのです。映画授業を選択した学生たちから、歴史ものが観たい!とやたらリクエストがありました。じゃぁ・・・2時間半の超大作で、彼らが苦手な清朝末期から現代中国までをみてもらおう!と選びました。学生たちはベルトリッチ監督のことも、ジョン・ローンが当時いかに人気があったかも知りません。教室の固い椅子で2時間半は辛かったでしょうね・・・ゴメンゴメン。でも歴史ものって長尺なのが当たり前だもん。裸がでない・・・を条件にしていたけれど、シーツ越しにいちゃいちゃしてる場面が登場します。ちょいと禁を破ってしまいました。音楽と芸術的なオープニングは、何度みてもいいですね。

【学生の感想】
●すごい映画だと思ったと同時に、とても切なく悲しい映画だなとも思いました。時代に飲み込まれて生きていかなくてはいけなかったのはたいへん辛いことだと思います。私には、この映画に出てくる人は誰一人として幸せではないように思えました。ものすごいスピードで社会や価値観が変化していくことに驚きました。

●中国史の勉強で出てきた紫禁城や宦官が出てきたのは嬉しく思いました。宦官が皇帝に絶対服従でたいへんな仕事なんだと思いました。溥儀が溥傑に皇帝であることを証明するために、宦官にインクを飲ませる場面には驚きました。

●溥儀の人生を映画を通じて学んで、勉強になりました。私は誰からも拘束されずに、自分のやりたいことを見つけ、それに向かって頑張っていくような人生を送っていきたいと思うようになりました。


■第4講・ぼくらのしあわせとかれらのしあわせ・・・の巻/「コイサンマン(ミラクルワールド ブッシュマン)」(1981年・南アフリカ)

監督=ジャミー・ユイス 
主演=ニカウ サンドラ・プリンスロー

【解説】アフリカ代表として僕ら世代は知らぬ者のない大ヒットコメディを。カラハリ砂漠に住むコイサン族。自然と共存し、所有するという観念のない生活。ある日セスナ機から落された1本のコーラ瓶。これが彼らの平和な生活を乱すことに・・・。ニカウさんの笑顔と素朴なストーリーが心に残るはず。なお「ブッシュマン」は俗称で差別的な意味を持つことから、続編公開時にタイトルは「コイサンマン」と改められた。

【学生の感想】
●私たちは便利な生活をしていますが、便利すぎて過剰な所有欲をもったり、物を大切にする心を忘れていることがよくわかりました。コメディで笑えるところもたくさんありましたが、笑いの中にも考えさせられることが多い映画だったと思います。ものを大切にしようと思うようになりました。

●この映画を観て何よりも驚いたのが、ステップ気候(と思われる)の尋常ではない乾燥具合です。地面に葉を並べてわずかな朝露を溜めたり、植物や果実の水分をしぼって飲んだり、たくましく生きている姿に圧倒されました。

●私が送る生活の中での「しあわせ」って、いったい何だろうなと考えさせられました。いろいろな価値観に触れて見つけていくのもよいことだなぁと感じました。


■第5講・戦争と平和について考える・・・の巻/「さよなら子供たち」(1987年・フランス)

監督=ルイ・マル 
主演=ガスパール・マネス ラファエル・フェジト フランシーヌ・ラセット

【解説】平和について考える・・・これはこのシリーズを通じて繰り返しやって来ました。戦場そのものを描いたもの、戦争に巻き込まれた悲喜劇を描いたもの、東西冷戦・・・。学生たちはそれぞれ真剣に考えてくれた気がします。今回の「さよなら子供たち」はホロコーストの悲劇を間接的に描いたもの。日常に戦争がいかに悲しい影響をもたらすのか、それを考えて欲しいという気持ちでセレクトしました。

【学生の感想】
●20年以上前の映画だったけど、全然古さを感じなかったです。淡々と物語が進んでいくのに、なぜか心はずっとハラハラしていて、ドキドキしながら観ていました。多感な少年のぴりぴりした感じや、心がずっとモヤモヤしている感じがとてもリアルに伝わってきて、とてもよかったです。二人が離れる時の顔がずっと忘れられません。まだ話したいこと、したいことがたくさんあるよ・・・というようなあの顔。どっかの誰かの勝手で子供たちにああいう表情をさせてはいけないんです。ジュリアンの最後の涙が本当に綺麗で、私も涙が止まりませんでした。

●ユダヤ人虐殺シーンを使われていないのに、戦争の悲惨さが心に伝わってくる映画でした。最後の別れのシーンが悲しかったです。何もできない無力さが伝わってきました。

●いつ捕まって殺されるか、毎日おびえながら生きていくのは辛いだろうと感じました。この映画のおかげで改めて戦争をしてはいけないということを考えさせられました。


■第6講・高齢化社会について考える・・・の巻/「老親」(2000年・日本)

監督=槙坪夛鶴子 
主演=萬田久子 草笛光子 小林桂樹

【解説】人はいくつになっても成長できる。高齢者介護の現実を描く前半は、けっこう厳しい現実が描かれる。一方で義父と心を通わせる後半 はとてもすがすがしい印象すら受ける。正直、もっと重たい話だと思っていたが、これは家族の成長物語としてとても元気をくれる映画だ。 現実を考えつつ、前向きな人生について考えさせてくれる。今回選んだ9本のうち、学生の人気投票では堂々の2位。 女子学生は見終わって口々にこう言った。「やっぱり長男の嫁は嫌よね!」「でも彼氏長男なんよ」・・・。ちなみに、僕の高校時代の同窓生が脚本を書いてます。

【学生の感想】
●老いは誰にでも訪れますが、どんなときでも人は周りに支えられて生きているのだと思います。特に年をとると周りの人に手を借りなければならないこともありますが、面倒を誰かにみてもらうのが当たり前だという考えは誤りです。面倒をみてもらう立場になっても、感謝の言葉は忘れないでいようと思いました。

●映画の前半は「何でこんなに人まかせにするんだろう」と思いながら観ていました。「嫁いだ嫁は親が四人で、旦那は二人のまま」と言っていたのが印象的でした。自分の親のことや自分の老後のことを考えさせられました。今私は祖母と同居しています。今は元気ですが、もし介護が必要になったら積極的に支えていきたいです。

●義父も主人公も成長し、お互いに認め合って楽しく生活する姿に、みていて和やかな気持ちになりました。83歳になって自分のことが自分でできるようになり、見違えるほど表情が生き生きしてきたと感じました。孫娘も立派に成長し、介護福祉士になろうと決断したことは、よい人間関係を築けたからだと思いました。男性目線でこの物語をみたらどうなるだろう・・・とも思いました。


■第7講・一冊の本が運命を変える・・・の巻/「小さな中国のお針子」(2002年・フランス)

監督=ダイ・シージエ 
主演=ジョウ・シュン リウ・イエ チェン・クン

【解説】シリーズ半ばで恋愛映画をみせるのをお約束にしているのですが、ただ愛だ恋だをみせても仕方ない。 文化大革命という時代背景、一冊の本が人生を変えること、帰り来ぬ青春・・・いろんな要素が加わってくるだけに、単なるロマコメ観るのとは大違い。フランス資本の中国映画というのもちょっと異質ですよね。自分たちと同じ年頃の若者が、当時の中国ではどういう生き方をしていたのか、それを知る上でも興味深い。糞尿を運ぶ場面が痛々しいですが、最後まであれが泥だと信じていた学生もいました・・・。美しい山間部の風景とバイオリンの音色が心に残る映画です。

【学生の感想】
●たった一冊の本が一人の人間の生き方を変える。その力強さに感動しました。本や映画が世界を大きく変えることはないけれど、一人の世界を変える。実はそれって何よりもすごいことなんじゃないかと思います。村が沈んでいくシーンはとても切なかったです。もう絶対に戻らない青春。青春って酸っぱいけれどずっとずっと残り続ける。遠くなればなるほど輝きが増すものかな、とこの映画を観て思いました。これからも私は、私を変えてくれるような本や映画に出会いたい。またそれらに反応できる心をずっともっていたいです。

●一冊の本との出会いによって、運命を大きく変えていくお針子の姿がいちばん印象に残りました。私も幼児期から本をいろいろ読む中で、自分では経験できないような事を学んできました。本で知った世界で感動を覚え、自分自身変えたと言ったお針子の気持ちがわかるような気がします。


■第8講・人間の残酷さについて考える・・・の巻/「エレファント・マン」(1980年・イギリス=アメリカ)

監督=デヴィッド・リンチ 
主演=ジョン・ハート アンソニー・ホプキンス アン・バンクロフト

【解説】もうすぐ社会人となる彼らは、これまでの学生生活で「いじめ」が何かと騒がれた世代です。社会人になる前に人と人との関わり方について、ちょっと考えてもらっては・・・と思い選びました。見せ物にされた奇形の男に関わる人々の言動を通じて、自分自身もこれまでに誰かを傷つけたことがなかっただろうか?と、学生たちに問いかけた上で観てもらいました。日頃やんちゃな男子学生も、半ば反省文的なレポートを提出してきました。デビッド・リンチ監督の悪趣味なところを今の僕らは知っていますが、この映画はそこを抜きに観ることができる感動作。

【学生の感想】
●ここまで考えさせられる映画を、今まで観たことがありませんでした。障害をもっているだけで見せ物にされている姿をみて、僕は「いじめ」を連想しました。中学時代にいじめられている人がいて、僕は見て見ぬふりをしてしまいました。今日この映画を観て、昔の自分もひどいことをしていたんだと気づきました。誰だって人から嫌われることを望んでいる訳ではない。そのことを忘れず、よい事と悪い事をきちんと考えていこうと思いました。そして自分の意思で接していきたいと思いました。

●とても悲しく切なくなりました。またそれと同時に怖いとも感じました。ジョンという人間を物のように扱って、人としてみない。そういう周りの人間に恐怖を感じました。私も誰かを好奇の目で見てしまったり、周りと同調したことがあったかもしれません。それって凄く残酷。何よりも酷いことだと気づきました。そういう時って、自分とは違うのだと排除して見ていた気がします。


■第9講・夢は叶えるもの そしてそれを支えてくれる人々・・・の巻/「リトル・ダンサー」(2000年・イギリス)

監督=スティーブン・ダルドリー 主演=ジェイミー・ベル ジュリー・ウォルターズ ゲイリー・ルイス

【解説】最終回は夢と希望を与えてくれる秀作を!。これはさすがに観たことがある学生もいました。「この映画好きです」「最後がこれでよかった」「何度みてもあの場面で泣くんです」。 僕もこの映画には思い入れがあるもんで、映画館の帰り道にサントラ買っただの、いろんな話をしてしまいました。
今回の人気投票では当然の第1位。これをみせたかった僕の真意は、周りへの「感謝」なのね。彼らは専門学校というところで、自分の目標に向かって頑張ってきた。成し遂げた者もいればそうでない者もいる。でもここまでの自分を支えてくれたのは、この映画のスト破りをしたお父さんみたいな両親だったり、バレエの先生みたいな恩師だったり。そこを振り返って欲しかったのでした。英国不良ロック満載の映画だったから隣のクラスにはご迷惑をかけました。ご容赦を!(笑)。

【学生の感想】
●ビリーがバレエをやっているときにはすべてを忘れることができると言っていました。私もスポーツをしているときには、そのことだけに懸命になり楽しむことができます。やはり趣味をもつこと、打ち込めることをもつことは大事だと思います。社会人になっても、何か目標を定めてそれに突き進むことができたらなと思っています。頑張ります。

●自分がこの学校に入学するときにお金を払ってくれた父と母、就職試験に不合格だったときに慰めてくれたり励ましてくれた友人の存在が、これまでの僕を支えてくれていました。夢を叶えるためにはたくさんの人の支えがありました。それをこの最後の授業で確認することができてよかったです。

●何度観ても泣いてしまいます。お父さんに自分の気持ちをダンスでぶつけて、そのことが伝わる。そのお父さんはビリーの為にスト破りをする。お父さんの心が痛いほど伝わってきて泣いてしまいます。息子の将来の為に。才能を伸ばしてやる為に。別れのバスでお兄さんが「寂しい」というシーンは涙ものです。お兄さんが気持ちを伝えるタイミングが絶妙なんです。バレエの先生の娘との恋とも呼べない掛け合いも好きです。「そんなことしなくっても君が好きだよ」という台詞が心に残ります。

●世間一般の価値観に立ち向かいながら、自分の夢に真剣に取り組む主人公の姿に感動しました。女子で野球選手を目指して頑張っている人を見て衝撃を受けたことがあります。自分も価値観にとらわれていたんだなと思いました。

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映画授業顛末記・2006

2014-02-04 | 映画・ビデオ
2002年から2009年までとある専門学校で試みた授業の顛末記のまとめ。
2006年に実施した内容をご紹介。

 ★

「世の中を考える20時間」と題したこの授業、要するに映画を観てレポートを書いてもらうだけです。
対象となるのは、僕が関係するとある専門学校の18歳から22歳の学生。

作品を選ぶにあたっては、描かれているテーマ、舞台となる国、製作国に徹底的にこだわっております。
この授業の趣旨は「ヴァーチャル社会見学」。映画を通じて視野を広げて欲しい。
それが狙いです。決して道楽でやってるんじゃありませんよ。

日頃作文をやらせても多くの字数を書けない学生が、意外に立派なことを書いてきます。
この作文は、自分が観た映像とそこから感じたことを文章に構成する作業。
読書感想文と違って引用するものがないだけに、日頃使わない頭を使うようです。
それに予備知識皆無の状況で観ているので、まずは物語と映像をあるがままに受け入れなければなりません。
世の中にでたら嫌でも現実を受け入れなければならない場面は多々あります。
もしかしたらこの授業の真の意味はそこにあるのかもしれません。
とにかく今まで観たことないものをみせてあげる。
社会人になる前に君の世界を少しだけ広げてあげる。
それがこの授業です。


■第1講・ニュージランドのマオリ族を知る・・・の巻/「クジラの島の少女」(2002年・ニュージーランド=ドイツ)

監督=ニキ・カーロ 主演=ケイシャ・キャッスル・ヒューズ ラウィリ・パラテーン ヴィッキー・ホートン

【解説】ミニシアターでヒットしたニュージーランド映画。マオリ族のスタッフ・キャストで製作されたこの映画は、伝統を守ることの大切さと難しさ、男性社会、家族の絆が描かれている。主人公の少女パイケアが、伝統を受け継ぎたいと願う健気な気持ちが感動を呼ぶ秀作。ケイシャ・キャッスル・ヒューズは史上最年少でアカデミー主演女優賞にノミネートされた。頑固な祖父を演じたラウリィ・パラテーンも忘れがたい。マオリ族を知ってもらおうとセレクト。

【学生の感想】
●マオリ族にとても興味を持ちました。ニュージーランドの人口41万人の約15%しかいなくなっているそうです。またマオリ語を話す人も25%くらいしかいないそうです。この映画の見どころは、一族を思う心だと思います。改めて家族の絆について考えました。女性というだけで主人公の少女は悩みました。彼女の伝統を守りたいという気持ちと、男の子たちに負けまいとする一途さに感動しました。
●族長の証であるクジラの歯の首飾りを、少年達が誰一人取ることができず、祖父が落ち込んでしまいます。しかしパイケアがそれを海の底から探しだした瞬間に、彼女が時代を変えるぞ、と思わず拳に力が入りました。


■第2講・スポーツは万国共通・・・の巻/「ザ・カップ 夢のアンテナ」(1999年・ブータン=オーストラリア)

監督=ケンツェ・ノルブ 主演=ウゲン・トップゲン ネテン・チョックリン 製作=ジェレミー・トーマス

【解説】チベットからの亡命僧が修行する僧院を舞台に、サッカーワールドカップ中継を見ようと奮闘する少年僧たちを描いた作品。監督のノルブ氏はチベットの高僧。ベルトリッチの「リトルブッダ」の脚本を手伝ったことから映画製作を開始。この映画の出演者は実際の修行僧である。祖国チベットは中国の統治下になっている。そうした政治的状況も映画の随所から感じられる。どこの国でも変わらない人々と、国をめぐる厳しい現実を知って欲しい。

【学生の感想】
●僧という身分に関係なく、彼らは普通の少年である。お勤めの最中に居眠りをしたり、私語をしたり、学校で見られる風景と同じだ。壁に落書きをしたり、こそこそサッカー雑誌を読んだり。この世にいる人間は皆、文化、言語は違えど、その性質を同じくする人間なのだ。
●次のワールドカップに歓声をあげるとき、きっと心のどこかで修行に励む彼らのことを思い出すだろう。約束を忘れて夜中に柵をくぐっている少年達のことを。スポーツを楽しむのに国境はない、と感じた。
●映画の最後に出てくる仏の教え、「この世の憎しみ、不安、悲しみは、己に執着するから生み出される」という言葉にすごく共感しました。自分のことだけを考えず、他人を慈しむことが大切だということを学びました。この映画はいろんなメッセージをくれる映画だと思いました。


■第3講・貧困について考える・・・の巻/「ぼくは怖くない」(2003年・イタリア)

監督=ガブエリエーレ・サルヴァトーレス 主演=ジュゼッペ・クリスティアーノ アイタナ・サンチェス・ギヨン

【解説】”イタリアの南北問題”。頭ではそれを覚えても、その様子を思い浮かべることはなかなかできないものです。先進国のひとつであるイタリアでも、生活のために身代金を要求する誘拐事件があるとは、日本にいる我々は想像すらできません。この映画は”仕事”として子供を誘拐する親たちのことを知り、葛藤する少年を描いた秀作です。イタリア映画は伝統的に、家族を描くこと、そして貧しさを描くことには定評があります。そうした伝統を継承しつつサスペンスとしての見どころもある。

【学生の感想】
●ミケーレが拉致された少年と出会ったことで、自分の中でいろいろな疑問が生まれ、それを一人で考えるというのはとても複雑な気持ちだったろう。そして自分の親たちが少年を拉致しているとわかった時、どんな気持ちだったのだろう。それを考えると、とても切ない気持ちになります。この映画で印象的だったのは、黄金の小麦畑です。とてもきれいで自分の目で見てみたいと思いました。
●イタリアに南北経済格差があることは知っていましたが、これ程のものとは思いませんでした。自分の息子をあんなに愛している親が、他人の子供を監禁できるものなのか。人間の裏というか、醜い部分を見た気がします。私たちはこの映画を観て、一件落着でよかったとするのではなく、この背景を考えなくてはならないと思います。


■第4講・東西冷戦で核について考える・・・の巻/「未知への飛行」(1964年・アメリカ)

監督=シドニー・ルメット 主演=ヘンリー・フォンダ ウォルター・マッソー

【解説】核爆弾を積んだ戦闘機が誤った攻撃命令でモスクワへ!。危機を回避しようとするアメリカ首脳の姿を密室劇でスリリングに描いたシドニー・ルメット監督の秀作。ちょうどこの授業の頃、わが国の政府関係者が「核を持つことは憲法違反ではない」などとコメントした。持っても使えない兵器である核。東西冷戦というバランスの恐さと、「核を持つ」ことのリスク。被爆国である日本は「持つ」ことを認めてはいかんのだ。それは法解釈という理屈じゃない。

【学生の感想】
●戦争の恐さは被害を数字でとらえてしまって、感情・感覚ではかれなくなってしまうことです。例えば「300万人が死にました」という報告。数字上で300万人が死んだと無機質に人を扱ってしまう。小学生の算数を解いているようです。実際には、若くして未練を残して死ぬべきでない人が死んでしまっているのに。死んでしまった人を悼み悲しむ人が死人以上にたくさん出るのにです。数以上の悲惨な実情がそこにあるのです。映画の中盤、米ソの首脳が語り合っている時にそんな事を思ったのでした。 殺されたから殺し返す。それがフェアなことなのか?。子供のケンカじゃない、もっと違う償いの仕方ができたはずだ。数で死をとらえてはいけないのに。


■第5講・ぼくらのしあわせとかれらのしあわせ・・・の巻/「コイサンマン(ミラクルワールド ブッシュマン)」(1981年・南アフリカ)

監督=ジャミー・ユイス 主演=ニカウ サンドラ・プリンスロー

【解説】アフリカ代表として僕ら世代は知らぬ者のない大ヒットコメディを。カラハリ砂漠に住むコイサン族。自然と共存し、所有するという観念のない生活。ある日セスナ機から落された1本のコーラ瓶。これが彼らの平和な生活を乱すことに・・・。ニカウさんの笑顔と素朴なストーリーが心に残るはず。なお「ブッシュマン」は俗称で差別的な意味を持つことから、続編公開時にタイトルは「コイサンマン」と改められた。

【学生の感想】
●便利で物があふれている今の日本。コイサン族の人々の生活が貧しいと考えるのか、充実していると考えるのかは個人個人違うと思います。この映画で、今の日本に足りないことを探してみるのは、今の自分たちの生活をよりよくするのに大切なことかもしれません。
●コイサン族は、生きることを楽しんでいる民族だなと思う。生きるという本能にただただ従えるというのは、便利さに慣れた私たちにはできない憧れの生活ではないだろうか。決して文明が悪いという訳ではなく、人間も動物であることを考えて。ある意味、桃源郷というのはコイサン族が住むようなところなのかもしれない。


■第6講・イスラム世界の映画を観る・・・の巻/「運動靴と赤い金魚」(1997年・イラン)

監督=マジッド・マジディ 主演=ミル・ファロク・ハシェミアン バハレ・セッデキ

【解説】イスラムの教えから女性はヘジャブと呼ばれる衣装で髪を隠していること、男女が別々の時間帯に学校に通っていることが、イランの様子として当然出てきます。ちょうど2006年のアジア大会でイスラム教国から女史競泳選手が出場、テレビ中継されることが話題にもなりました。その背景を知るきっかけになったかもしれません。また貧富の差も色濃く描かれている。庭師として都市に出稼ぎに行く場面の豪邸の数々。それに対して主人公アリ一家が住む長屋の貧しさ。マラソン大会のスタート前の場面、子供たちの様子を見るだけでもそうした貧富の現実が感じられます。

【学生の感想】
●一番印象に残っているのは、クライマックスでもあるマラソン大会の場面である。校内でタイムを計る場面でこれを1位争いはするだろうなとは予測していた。しかし、アリは3位にならないといけない。その主人公の難しい心境をうまく映像にしているな、と感じた。途中競争相手から足をかけられた時は、万事休す!と思ったが最後は5人でのデッドヒートとなった。アリが最後の力を振り絞った結果は・・・最後の表情は忘れられない。
●兄妹の話ということで、自分の兄貴としての立場で観ることができました。妹の靴がなくなったことから、兄が妹のためにどれだけ苦労したかがひしひしと伝わりました。父親に怒られたくないために、妹の為に何でもやってあげる。学校がある時間帯には靴を先に履かせたり、ご褒美でもらったペンをあげたり、と仲がいい二人です。マラソン大会での必死さは感動しました。あそこまで頑張れるところは見習わないといけません。


■第7講・戦争と人間について考える・・・の巻/「ピエロの赤い鼻」(2003年・フランス)

監督=ジャン・ベッケル 主演=ジャック・ヴィユレ アンドレ・デュソリエ シュザンヌ・フロン

【解説】ちょっとした思いつきが引き起こす悲喜劇。中でも容疑者として捕らえられた4人を救うために、重傷の老人がある決断を下すところが泣ける。脇役のひとりひとりにまで人生を感じさせる。処刑を待つ4人に食料と笑顔を与える心優しきドイツ兵。彼のエピソードがこの映画のメインであるが、”笑い”が敵味方を超えて信頼につながっていくこの場面はどこよりも力強い。そしてさらに父親がピエロに扮する本当の理由を知って、息子が父を信頼と尊敬をするようになるのだ。

【学生の感想】
●主人公が何故ピエロを演じるのか。その理由に、戦争の悲劇と祖国の解放のために奔走した人々の思いが引き継がれている。地味ながらも心を打つ映画だった。戦場で食料を分けてくれ、ピエロの格好で笑わせてくれた敵兵、自分を犠牲にして人質を救おうとする老人。彼らによって救われた命。人間の心の強さや美しさを感じることができた。
●主人公がピエロを演ずることが、兵士の意思を継ぐことによる主人公なりの罪の償いであることを息子が知ったとき、父親の偉大さを知ったと思います。私も超えたくてもまだまだ父を超えられません。私自身が父という立場になったときに初めてわかるものだと思います。
●個人的にはこの授業で観てきた中で一番好きな映画かもしれません。最初に先生が「教科書みたいな映画」と言っていた通り、人のいい面というか良心的な面を、美しく描きすぎているようにも思いました。しかし映画が終わったときにすっとする、そんな感動を味わいました。


■第8講・恋する気持ち・・・の巻/「初恋のきた道」(2000年・中国=アメリカ)

監督=チャン・イーモウ 主演=チャン・ツィイー チェン・ハオスン・ホンレイ

【解説】チャン・イーモウ映画の特徴は色彩。山々の紅葉やチャン・ツィイーが織る布の赤。現在はモノクロ、過去はカラーで描かれていることにも注目したい。夫を失った世界は、主人公にとっては色を失った世界。とにかく好きな人を喜ばせたい!という一途な気持ちが、僕らを純粋な気持ちに導いてくれる、心のどこかで大事にしたい映画。劇中出てくる「タイタニック」のポスターは、”ばあさんの思い出映画”としては自分の作品の方が優れているというイーモウ監督の自信。

【学生の感想】
●主人公の気持ちが一番わかったのが、井戸で水を汲み終えたのに、先生が近づいてきたので汲んだ水をわざわざ捨てたところ。少しでも好きな人に近づけるようにしている行動。他の主人公の行動に自分でも身に覚えがある。本人は自然に振る舞おうとしているのに、こうして客観的に見ているとバレバレ。自分もこんなことをしていたのか、と思うと恥ずかしいけど、その時の気持ちが思い出せたのがよかった。
●いきなり白黒で始まったのに、過去になるとカラーになったのに驚きました。夫が死んだ後の世界に色がなくなるのは主人公の気持ち。監督のセンスを感じました。誰に食べられるのかわからないのに、先生の為に一所懸命弁当をつくる姿や、先生が町に帰るときに走って追いかける姿に、好きな人に対する一途な思いが伝わってきました。


■第9講・たくましく生きる人々・・・の巻/「キャラバン」(2000年・フランス=ネパール=スイス=イギリス)

監督=エリック・ヴァリ 主演=ツェリン・ロンドゥップ カルマ・ワンギャル グルゴン・キャップ

【解説】監督のエリック・ヴァリは写真家でネパールを写し続け、映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のスタッフでもあった。ひとつひとつの場面がとても絵になる。しかも美しい映像と音楽が一体になる瞬間の幸福。ラマ僧のマントラにコーラスが重なる曲にきっと癒されることだろう。語るべき物語といい映像と音楽。この映画には下手なほめ言葉はいらない。観た者にしかあのイメージは伝わらないだろうから。でもそのスクリーンにも刻みきれない自然こそが本当は偉大だと思うのだ。

【学生の感想】
●キャラバンという言葉に私が持っていたイメージをぶち壊された。砂漠を隊列を組んで行く商人達を考えていたからだ。確かにこれも商人としての一面はもっているだろうが、これは私にとっては異質だった。 一人の少年を間に挟んだ二人のカリスマが衝突する物語。年老いて頭が固くなったとはいえ、ティンレのカリスマ性は衰えていない。不平不満を言いながらも人々がついてきたのが証拠だ。僧侶になった次男がついてきたのも、山での父親の姿を見ておきたかったからかもしれない。一方で、カルマは幼いツェリンにとって英雄的存在。二人のカリスマを見たツェリンが一体どんな長老になったのか気になる。高い木の上から大地を見下ろす気分はどんなだろう。鳥葬場面にも驚いたが、この映画に濡れ場は余計だと思った。


■第10講・ハリウッドクラシックでSF映画を観る・・・の巻/「ミクロの決死圏」(1966年・アメリカ)

監督=リチャード・フライシャー 主演=スティーブン・ボイド ラクウェル・ウェルチ

【解説】最終回は僕の大好きなSF映画の傑作「ミクロの決死圏」。人体の中で展開する大冒険、誰も主人公のような視点で見たことがない世界だけに、とても興味深い題材だ。美術はあのサルバトール・ダリが担当して、他の映画ではお目にかかれない世界観を作り出している。しかし多くの学生たちにはやや不評。やっぱり彼らにとってSFはドンパチするもの・・・、チープな特撮・・・今ドキの子には厳しかったのかな。見終わって聞えた印象的な一言。「理科の授業みたいだったね!」(汗)。

【学生の感想】
●21歳の私でもこの映画のキャストが一流であることがわかった。ミクロの世界を描く方法はさすがに現在とは差がありすぎるけれども、いい意味で味がある。残念なのは、撃たれた科学者がその後本当に無事だったのかがわからないことだ。でも私はこの映画が好きになった。
●このような発想ができたことにまず驚いた。誰もが楽しめる映画になっていたと思う。見ていて危機が次々に起るので、本当に大丈夫なんだろうかとハラハラした。

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追悼 シルビア・クリステル

2012-10-18 | 映画・ビデオ
女優シルビア・クリステル死去。

僕ら世代には「エマニエル夫人」3部作とその続編、
それに「プライベート・レッスン」は忘れられない映画。

個人的にはフィービー・ケイツと共演した「プライベート・スクール」の教師役が好きだった。

今夜、世界中でどのくらいの人が
ピエール・バシュエが歌った主題歌を聴いて偲んでいるだろう。

僕は、大好きなセルジュ・ゲンスブールが音楽を担当した3作目
「さよならエマニエル夫人」の主題歌を聴くことにするよ。

さよなら、シルビア。




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追悼 クロード・ピノトー

2012-10-08 | 映画・ビデオ
フランスの映画監督クロード・ピノトーが亡くなった。

寡作な人で、ソフィー・マルソー主演作以外では「キュリー夫妻」くらいで
日本公開作も少ない。

でも監督の「ラ・ブーム」2作と「スチューデント」なしに、
僕らはあのソフィー・マルソーの笑顔に会えなかった。
それ以来ずっとソフィーのファンでいることもなかったろう。

ありがとう、監督。

Richard Sanderson-Reality


ソフィー・マルソー 「ラ・ブーム」 [DVD] ソフィー・マルソー 「ラ・ブーム2」 [DVD] スチューデント ヘア無修正版 [DVD] キュリー夫妻 その愛と情熱 [DVD]

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追悼 クロード・ミレール

2012-04-05 | 映画・ビデオ
フランスの映画監督クロード・ミレールが亡くなった。

ミレール監督が撮った映画、
シャルロット・ゲンスブールの「なまいきシャルロット」と「小さな泥棒」
なまいきシャルロット ニューマスター版 [DVD] 小さな泥棒 (HDリマスター版) [DVD]
ロマーヌ・ボーランジェの「伴奏者」
イザベル・アジャーニの「死への逃避行」
死への逃避行〈デラックス・エディション〉 [DVD]

・・・どれも僕がフランス映画かぶれだった時期に夢中になった映画たち。主演の女優さんたちは今でも大好きな人ばかりだが、ミレール作品での輝きは今でも忘れない。リュディヴィーヌ・サニエ主演作が今月日本公開されるようだし、遺作はオドレイ・トトゥ主演だそうだ。素敵な映画をありがとう、監督。ご冥福をお祈りします。

リンクは「なまいきシャルロット」の主題歌だったSarà perché ti amo 。あー、なんかコテコテのフランス映画が観たい。

l'effrontee -『なまいきシャルロット』テーマソング

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トラウマ映画

2010-07-04 | 映画・ビデオ
幼い頃に観た強烈なインパクトをもつ映画。
いろいろあることでしょう。
私takにとって、夢に出てしまう程の強烈な印象を与えた映画たち。

■「アラン・ドロンのショック療法」(1972年・フランス)
これは小学生の頃、大人の世界を覗いちゃったの!?と衝撃だった映画。前にも性の目覚めに関わる映画と題して一度記事にしています。若さを求めて集まった診療所に集まった男女が巻き込まれる殺人事件。そこはどうでもいいのですが、サウナや海岸で全裸の男女が横たわる走り回る・・・えー!えー?アラン・ドロンの股間にボカシ・・・。なんと無修正版が発売されてます。お試しください。

Alain Delon 『Traitement de choc』


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■「ウエストワールド」(1973年・アメリカ)
SF映画と名がつくものをなーんでも観ていた小学生の頃。「ジュラシック・パーク」の原作者マイケル・クライトンが脚本・監督したSFホラーの大傑作。機械仕掛けのテーマパークを舞台にロボットたちが一斉に反乱を起こすお話で、開拓時代の西部を舞台にユル・ブリンナー扮する黒服ガンマンに執拗に追われるのが何とも言えず恐ろしい。後にビデオで何度も観ましたが、尽きせぬ魅力をもった映画。高校時代の友人が初めて買ったレーザーディスクはこれだった。みんなこれがトラウマ映画だったのね。

WESTWORLD TRAILER (1973)


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■「決死圏SOS宇宙船」(1969年・イギリス)
地球の軌道上の太陽を挟んで反対側に鏡に映したようなもうひとつの地球が存在する・・・。そういう設定が衝撃だった英国製SF映画。日本は劇場未公開で、僕はそのタイトルすら知らず、ずっと探していた映画でもある。小学生の頃、テレビで放送されたのを観たのさ。「サンダーバード」のスタッフが撮った実写映画(詳しいページはこちら)。地球から飛び立った宇宙船がコースを外れてしまう。降り立った星は地球だったが、何もかもが地球とは左右が逆になっている・・・。同じ形の宇宙船がすれ違う場面と、車いすに乗った主人公が鏡に向かって突進していくラストシーンがあったように記憶してるのだがやや自信なし。もう一度観たい映画です。

Journey to the Far Side of the Sun (trailer)


■「ザ・ショック」(1977年・イタリア)
実は本編を観たことがない(汗)。でも映画館でこの予告編を観たときに感じた恐怖は、小学生の僕にはこれまで感じたことのないものだった。下に貼ったトレーラーは、イタリアの予告編だが、日本版の予告編は暗闇に揺れるブランコが印象的で、それをテレビで見ただけでスイッチを切ったものだ。あの頃ホラーやスリラー映画ブームだったもんね。

1977 Shock - Trailer


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あなたのトラウマ映画を教えてください。

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