チョコレート工場の秘密 R・ダール Q・ブレイク 柳瀬 尚紀 評論社 2005-04-30 売り上げランキング : 16 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ティム・バートン監督の新作「チャーリーとチョコレート工場」の原作本。映画観る前に読んでおこうと思い、夏休み向けの児童書販売のチラシをレイア姫(4歳児)が幼稚園から持ち帰ったときに、自分が読む為に注文したのでありました。ともかく最初に思ったのは、ティム・バートンが選びそうなお話だよなぁ・・・ということ。物語に少年の視線が生きていること、大人の心をくすぐってくれるファンタジーであること、ちょっぴり風刺というスパイスが効いていること。ジョニー・デップに目がはぁとのお母さんたちが子供の手を引いて見に行く姿が浮かびます。きっとハリウッドの売れ筋映画なのに子供と喜びを共有できる映画になっているのでは・・・まだ観ていないので期待が高まります。
ティム・バートンがこれまで一貫して手がけてきたテーマは”のけ者への愛情”。他人とは違った性格や風貌をもつ登場人物がいて、現実と彼の世界という異質なる世界が出会う悲喜劇を描き続けてきたのです。「シザーハンズ」にしても「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」にしても「ビッグ・フィッシュ」にしてもそう。他人と違う者たちへ愛ある視線が注がれるのです。
今回選んだ題材もまさにそれ。主人公チャーリー少年のような子供の方が今や珍しいのか。ガムをかみ続ける子、何でもカネで手に入れる子(そしてその親)、テレビに毒された子・・・そんな中で貧乏だけど素直に育ったチャーリーだけが希な存在。そして何よりもチョコレート工場の主ウィリー・ワンカ氏こそが異質な人。その変人ぶり天才ぶりカリスマ性は文章からも伝わってくる。これをジョニー・デップはどう演じているのだろう。
ただ気になったのは翻訳。アマゾンのレビューにも書かれているけれど、翻訳者の遊びが度を超しているように思える。登場人物の名前をわかりやすく変えているのだけれど、それをあとがきでそうした理由を延々と述べているのね。「こんだけ考えたんだ、すげえだろ」と言わんばかりに。この児童文学を語って欲しいのに、自分のことばかり書き連ねているのにはちょっとうんざり。あ、もちろんお話本編は楽しめます。お試しを。あー早く映画が観たい。