Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

網走番外地

2006-01-07 | 映画(あ行)


「不器用ですから・・・」って高倉健がむかーし出演したCFでの台詞だったけど、あれって映画でみられる健さんのイメージを言い当てているようにも思える。僕が初めて観た健さんの出演作は「幸せの黄色いハンカチ」。出所して愛する女性の元へ向かう主人公を演じている。僕は健さんがヤクザ映画に主演していた頃を知らなかった。だから、映画の主人公とヤクザ役を演じてきた健さんを重ねることはできなかった。でも僕なりに、”過去にいろいろあった、不器用で、誰かへの愛情を抱いている男の姿”に妙に感動したものだ。その後も僕が知っている健さんは、「南極物語」や「遙かなる山の呼び声」や「居酒屋兆治」のような、”過去”を経験した”現在”の姿ばかりだった。

 健さんが健さんらしい映画、というとファンは「網走番外地」を挙げるのだそうだ。貧農出身の主人公がヤクザ者となり、網走刑務所に送られる。病身の母親を思い出所を目指していたが、自分の軽はずみな行動が裏目に出ることも。ある日逃走を企てた男と手錠で結ばれていたことから、自分も追われる立場になってしまう・・・。まさに”過去”の健さん。だが、ここでの健さんはやっぱり”不器用”で母親や妹への愛情を抱く男だった。そうだ、このイメージが「幸せの黄色いハンカチ」につながっているのか。

 監督は惜しくも2005年に亡くなった石井輝男。併映向けに添え物として製作されたらしいが、ヒットを記録してシリーズ化された。人間ドラマあり、追いつ追われつのサスペンスあり、人情ドラマあり、のお腹いっぱいの娯楽作。特に雪原を手錠につながれた二人がひたすら逃げ続ける場面は目を離せない名場面。単なる追いかけっこではない。逃げる二人の食い違い、追う丹波哲郎の思いと主人公との食い違い。ブレーキの効かないトロッコでのアクション場面、手錠を切るための線路の場面・・・この後半の面白さは観ないとわかるまい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする