■「さくらん」(2007年・日本)
監督=蜷川実花
主演=土屋アンナ 椎名桔平 成宮寛貴 木村佳乃 菅野美穂 安藤政信
ふと艶やかな女性がみたくなってですねぇー(汗)。アンコール上映している映画館に行ってしまった。庵野モヨコのコミックを写真家蜷川実花が映画化した意欲作。江戸時代の吉原を舞台にした映画・・・となれば男性目線の映画がどうしても多いのだが、この映画はとにかくエネルギッシュな女性が楽しませてくれる。映像美が最大の見どころかな・・という印象。
吉原の入り口にある門には水槽があり、金魚が泳ぐ。カメラは金魚の背景に風俗街の様子が映し出される。そこは遊女という金魚たちが美しく泳ぎ回る街。主人公が花魁から言われる台詞。
「金魚は川に返したらフナになっちまう。だから綺麗な姿でいられるのは金魚鉢の中だけ。遊女も同じ。」
この世界から出るに出られない遊女の悲しさを、見事に言い切った名台詞。ビビッドな色彩の遊郭、土屋アンナと安藤政信が見上げる月、桜をさかせた吉原の風景、毎場面変わる床の間の装飾・・・その彩りは強烈な印象を僕らに与えてくれる。
土屋アンナが演ずるチャッキチャキのきよ葉は、やることなすこと見ていて爽快。だが花魁高尾(木村佳乃)や粧ひ(菅野美穂)の先輩格に比べると艶っぽさに欠ける。出番は少ないが、菅野美穂の美しいバックヌードには神々しささえ感じる。女将の夏木マリときよ葉の最初の客となるご隠居の市川左團次が脇役を固めるいい仕事。全編に流れる椎名林檎の音楽は、ちょいとやかましいがそれでも不思議に映像にマッチして好印象だった。
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