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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

2022-08-03 | 映画(さ行)


◼️「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者/Jurassic World : Dominion」(2021年・アメリカ)

監督=コリン・トレボロウ
主演=クリス・プラット ブライス・ダラス・ハワード サム・ニール ローラ・ダーン

巨大な虫が出ると聞いて怖気付いていたけれど、ファーストデイに参戦してきた。

そもそもマイケル・クライトンの原作は、科学が恐竜を蘇らせるというロマン追求の一方で、テクノロジーがもたらす危機への警鐘が根底にあるものだった。「ワールド」と銘打ってからも、恐竜のハイブリッド新種やら軍事利用を企む悪事など様々な要素が登場。そして前作「炎の王国」で、人類と恐竜が共存できるのか?という方向性が示された。生態系の上位に立つのはどっち?とか存亡の危機?とか「猿の惑星」めいた展開に?と、大スケールな話を期待して、本作の公開を待った。だってサブタイトルも「新たなる支配者」だもの。

ところが。前三部作の博士3人を再登場させたことや、出生の秘密が明らかになったメイジーと、ラプトル"ブルー"をめぐる絆のお話は素晴らしい。だが、恐竜をめぐるお話ではなく、ジュラシックオールスターズで企業の悪事を暴くお話になっていた。人類にとって地球規模で問題だと言える恐竜との共存については、「人類も生態系の中の脆い一つ」と位置づける。巨大イナゴが小麦畑を食い荒らすことで滅びてしまうかもしれない種族にすぎない。じゃあ誰が生態系の支配者なんよ?。

その問いに対して、この映画は地球に生きるものみんなの共存という大スケールのハッピーエンドで締めくくる。恐竜の存在がこれまでのシリーズ程、明らかな脅威になっていないのは、これまでのシリーズからするとやや不満な部分かもしれない。でも、変わりゆく環境に対応することは、生きていく為に必要なこと。それは現実でもそうだ。本作はそこを乗り越えようとする一歩目の物語。

環境だけでなく、登場人物にも変化は訪れる。年齢を重ねて、年月を経て、誰といることが幸せなのかに気づいていくのだ。「ジュラシック・ワールド」の最初の作品で、クリス・プラットはこう言った。
「一緒にいよう。生きるために」
あの作品では彼女だけに向けられた言葉だったけど、共存というワードも同じく"一緒にいること"。観る前は想像しなかった着地点だったけど、映画館を出て考え直してみると悪くなかったとも思える。確かに恐竜の話はメインでなかった。でもやっぱりT-Rex最強なのは間違いなかった。そして悪いことする人は、襟巻トカゲみたいなのにやられちゃう。オリジナルへのオマージュ。

(追記)
グラント博士とオーウェンが出会う瞬間は僕はちょっと感慨深かった。
3作目でグラント博士はこう言う。
「男の子には2種類ある。宇宙飛行士になりたがるヤツと、天文学者になりたがるヤツだ」
最前線に行きたがるヤツと離れたところであーじゃこーじゃ言うヤツの違い。グラント博士は化石の発掘やってる人だから、彼の言う天文学者組のはず。ところが恐竜がいる最前線で恐怖に立ち向かい、苦手な子供と逃げまどう。そこが面白かった。
一方、オーウェンは恐竜を調教してしまう最前線の人。二人が出会い、握手する場面は2種類の男子が顔を合わせる瞬間。加点要素です。


コメント (2)
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