Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

バニー・レークは行方不明

2022-08-23 | 映画(は行)


◼️「バニー・レークは行方不明/Bunny Lake Is Missing」(1965年・アメリカ)

監督=オットー・プレミンジャー
主演=ローレンス・オリヴィエ キャロル・リンレー ケア・デュリア ノエル・カワード

シングルマザーの主人公アンは引越しの間保育園に娘バニーを預けたが、迎えに行くと姿がない。兄スティーブンが駆けつけ、園の関係者に尋ねるが誰もバニーを見ていない。警察の捜索が始まり、入園の記録がないこと、アンには妄想癖があり架空の友人をバニーと呼んでいたことなど次々に新たな事実が浮かび上がり、捜査官はバニーの存在自体を疑い始める。引退した園の責任者、その日に辞めた園の職員、しつこくアンに付きまとう家主など怪しげな人物も現れて、事件は複雑な様相へ。バニーはどこへ行ったのか?

なるほど。同じく娘が行方不明になるジョディ・フォスター主演の「フライト・プラン」って、これがやりたかったのか。映画のルーツやつながりを感じると、長く映画ファンやってきてよかったと思える。まあ、勝手に関連づけすることもあるけど。「フライト・プラン」との決定的な違いは娘の姿を観客に見せないことだ。「お一人で乗ったじゃないですか」といくらアテンダントが言ったとしても、観客は子供と一緒にいるジョディを最初に観ているんだもの。説得力がない。ところが「バニーレイク」で観客に与えられるのは、捜索をする警察が持つ情報と大差ない。だからアンを取り巻く人々と同じくバニーの不在を疑ってしまう。だから引き込まれる。

ソール・バスがデザインを手がけたタイトルバックがいい。紙を破るとクレジットが表示される趣向なのだが、本編を貫く情報のチラ見せを予感させているようだ。冒頭示されるのは、揺れるブランコとそばに落ちているおもちゃ一つ。子供の存在を示しているようだが、決して子供の姿はない。イギリスに引っ越したばかりで不安なアンを、さらに不安にさせることが続く。でも不安になるのは観客も同じなのだ。

クライマックスで結末が示される場面。何が起こったのか戸惑ってしまい、僕らはひたすら映像を追いかけるしかできない。その裏側にある心理に気づく時に、怖さと切なさが入り乱れる不思議な感覚になる。

60年代の英国バンド、ゾンビーズの楽曲が使用されているが、これも何かの示唆があるのかな。ゾンビーズって、「ふたりのシーズン」と日本語カバー「好きさ好きさ好きさ」の原曲くらいしか知らないからなぁ。「2001年宇宙の旅」以外でケア・デュリアを観るのは初めてかも。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする