Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

5月の花嫁学校

2022-08-07 | 映画(か行)

◼️「5月の花嫁学校/La bonne épouse」(2020年・フランス)

監督=マルタン・プロヴォ
主演=ジュリエット・ビノシュ ヨランド・モロー ノエミ・ルヴォウスキー エドゥアール・ベア

時は1967年。フランスのアルザス地方にある家政学校にも新入生がやって来た。嫁入り前の女性をいわゆる良妻賢母に育てる教育をやっている学校だ。ところが経営者である夫が突然亡くなってしまい、後を引き継いだ妻で校長のポートレットは窮地に立たされる。そこに手を差し伸べてくれたのは銀行家の男性。彼はポートレットのかつての恋人だった。折しもパリではいわゆる五月革命が勃発。学生も含めた彼女たちは、次第に行動を変えていく。

本編を観るまで、なんで邦題は「五月」なんだろ?と不思議に思っていた。フランスで自由、平等、性の解放を訴えた五月革命が時代背景となる物語だからだ。フランス語の原題は「良き妻」、英題は「良き妻になるには」。そこに時代背景を加味したかったんだろうけど、ちょっと伝わりにくい。この五月革命を経て、映画に登場するような家政学校は姿を消したというから、いかに女性が抑圧されていたのか。ズボンを履くだけでも悩むヒロインや、女学生たちの置かれた状況にも、その様子を知ることができる。ともあれ、こうした時代を経て今のフランスがあるのは間違いない。

ジュリエット・ビノシュがこうしたコメディ色の強い生き生きとした役柄を演じてるのは珍しい。シリアスな表情してる映画が昔から多いだけに、ほぼミュージカルになっちゃうラストには驚く。マルタン・プロヴォ監督の「セラフィーヌの庭」で名演技だったヨランド・モローは、愛嬌のある役柄で素敵。

全体としては楽しく観られる女性讃歌。そして、フランスにおける1967年について知ることは、ちょっとだけ僕らの視野を広げてくれる。



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