◼️「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス」(1967年・日本)
監督=湯浅憲明
主演=本郷功次郎 上田吉二郎 笠原玲子 阿部尚之
「大怪獣空中戦」と題された本作でガメラが戦うのは、平成ガメラにも登場する唯一の怪獣ギャオス。今観ると造形も操演もチープに感じるところもあるけれど、光線を吐き身体が光るデザインはストーリーにも大きく絡んでいて効果的だ。
"ガメラ=お子ちゃま向け"という図式にきちんと沿っているものの、「宇宙怪獣バイラス」のようにストーリーも子供向けになっている訳ではない。富士山に向かう火山帯の噴火、高速道路建設をめぐる道路公団の焦り、補償金目当ての工事反対地元民、板挟みになる工事現場の責任者、と大人向けのドラマ部分が実にしっかりしている。しかも人間のエゴや醜さが描かれる脚本。これに現場責任者と村長の娘の色恋沙汰でも加えれば、エンターテイメントとしては完璧w。
ガメラが来て悪い怪獣を退治してくれました…という話ではなくて、人間があの手この手でギャオスを倒そうと懸命になるのもいい。それが少年の発想からアイディアを捻り出しているのが面白い。
加えてガメラとギャオスのバトルも、それぞれの得意を活かした攻防がきちんとある。ギャオスの光線で深傷を負い、例によって青い血を流したガメラだが、クライマックスでは空中戦を展開。さらに海中に引きずり込もうとする場面には、いい歳した大人も見入ってしまう。
幼い頃、「ガメラ対ギャオス」のソノシート(ペラペラのレコード)付き紙芝居の玩具が家にありまして。ストーリーは、子供に伝わる部分だけダイジェストにしたものでした。ギャオスをおびき寄せる液体を入れたプールがグルグル回る場面、ガメラの背中に乗せられた少年が甲羅の尖った部分にしがみつく場面、ギャオスの足に噛みついて海に引きずり込もうとする場面。今回配信で改めて観て、紙芝居の絵柄を思い出した(懐)。