◼️「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」(1966年・日本)
監督=田中重雄
主演=本郷功次郎 江波杏子 夏木章 藤山浩二
シリーズ第2作たる本作。前作で宇宙に葬ったはずのガメラが再び地球に現れる。後の作品ではガメラは子供の味方で映画の作風もお子ちゃま向きだが、本作ではまだ人類にとって脅威の存在。そこにパプアニューギニアの伝説の怪獣バルゴンが現れる。神戸、大阪、滋賀を舞台にバトルが描かれる。
映画冒頭こそガメラが黒部ダムを襲うのだが、その後は予想外にガメラの出番が少ない。むしろ人間ドラマが重視されていて、欲に目が眩んだ人間の醜さが終盤まで貫かれている大人の映画だ。第3作「ガメラ対ギャオス」と同様に、次々に作戦を決行するのが面白く飽きさせない。バルゴンはダイヤモンドの光に導かれるという村の伝説に従って、苦手な水辺におびき寄せる作戦が失敗。発案した主人公と村の娘を叱責する政治家。こういう場面にも人間の汚さが滲む。
巨大なオパールだと思われていたものがバルゴンの卵だったのだが、この成長の謎を解き明かしたのが、悪役に水虫治療をしていた船医。これを演じているのが藤岡琢也で、ドラマ「渡鬼」と全くイメージが変わらないから驚く😂。気丈な村の娘を演ずるのは江波杏子。
怪獣のバトルにもきちんと攻防があって面白い。ガメラがバルゴンの吐く冷気で凍ってしまう危機を乗り越えて、クライマックスで復活するのに、ええ歳したおいさんも気持ちが盛り上がってしまう。お約束の流血シーンもだくだくと流れる迫力。第2作までがこういうシリアス路線で、3作目で「ガメラは子供の味方」という設定が前面に出たことがよーくわかった。