◼️「飛ぶ夢をしばらく見ない」(1990年・日本)
監督=須川英三
主演=細川俊之 石田えり 加賀まりこ
若い頃に観たっきりで、今の年齢でまた観たいな…と思ってる映画はいくらでもある。年齢というキーワードから、特にそう思うのは本作「飛ぶ夢をしばらく見ない」。
入院中の主人公修司の部屋に列車事故に遭った女性が運ばれて、一晩だけ相部屋となる。その女性睦子から、衝立越しに交わす言葉だけで愛し合いたいと、驚くような申し出が。イケボの細川俊之の囁く低音。衝立の向こうから女性の息づかいが聞こえる。緊張感のある導入部に引き込まれた。翌朝、衝立が外されるとそこにいたのは白髪の老婆だった。
その後、修司の元に睦子から連絡が入る。会ってみると睦子は魅力的な中年女性。彼女は日に日に若返っているのだと言う。一夜を過ごした二人。そして会うごとに睦子はさらに若くなっていき、修司は離れられなくなっていく。
石田えりファンには、その魅力をフルコースで堪能できる映画だろう。初めて観た時は120%石田えり目当てで観たっけ。でもラブシーン以上に心に残ったのはラストの虚しさだった。それが忘れられない。今観ると、年齢重ねた主人公が女性に夢中になっていく様子に変に共感しちゃうかもしれないな。
これを観た当時、僕は住宅関連のお仕事に関わっていた。建設会社に勤める主人公が住宅展示場に荷物を届けるシーンが強烈に印象に残っている。荷物を受け取った若い社員が、
「ありがとうございますー。あーっ、またアンケート用紙かよぉ。」
こんなん無駄だよ、書いてくれるわけねえじゃん、みたいなことを言うのだけど、その反応がすっごく生々しくて🤣。住宅業界を舞台にした映画ってなかなかないからちょっと面白かったんでした。そして、その展示場に一人残った主人公の前に、10代に若返った睦子が現れる…。ええーっ、そこで抱き合っちゃってぇーっ😳
現在では映像化できないような場面も出てくるだけに、放送媒体でお目にかかることはできないのかなぁ。中古DVDは高値になってるし。うーむ。山田太一の原作に挑んでみようかと。