◼️「a-ha THE MOVIE/a-ha:The Movie」(2021年・ノルウェー=ドイツ)
監督=トマス・ロブサーム アスラーグ・ホルム
出演=モートン・ハルケット ポール・ワークター・サヴォイ マグネ・フルホルメン
コロナ禍のせいで参戦予定だったいくつかのライブに行けなかった。その一つが2020年3月のa-ha来日公演。名盤「Hunting High And Low」の完全再現を含むライブとのことですっごく期待していたのだが、延期に延期を重ねて結局参戦できず、泣く泣く払い戻し。残念だったな。
そのa-haの軌跡を追ったドキュメンタリー映画である。冒頭から3人のレコーディングに向かう気持ちがすれ違う。自分から湧き出るアイディアを試したいギターのポール、意見が合わず最後は殴り合いになるからスタジオに入りたくないと拒むキーボードのマグネ。こんな確執を抱えていたのかと驚かされる。
作曲者とは誰なのか。著作権者を示すクレジットがどうなっているかは、ミュージシャンにとって大きな問題。ビートルズの"レノン=マッカートニー"って表記の裏にもいろんな事情があるし、クィーンはそれまでメンバー個人の表記だったのが80年代半ばに"(QUEEN)"名義になってくる。大ヒット曲Take On Meのイントロのキーボードのリフは、14、5歳の頃から弾いていたとマグネは言うが曲の名義はポール。リスナーとしてa-ha楽曲を聴いてきたけれど、バンド内での方向性や力関係は初めて知ることばかりだった。ノルウェーの音楽シーン、007映画主題歌の裏側、その後の方向性の模索。アンプラグドでのアレンジをめぐって「自分だけが目立つ」とモートンが主張する場面など、興味深いエピソードが並ぶ。
1stアルバム「Hunting High And Low」は確かに名盤。個人的には2nd「Scoundrel Days」の暗さが好きだったりする。I've Been Losing Youの激しさや凝った構成のManhattan Skyline。2000年代に放ったヒット曲Foot of the Mountainの舞台裏に、こんなギリギリの駆け引きがあったとは。80年代のエレポップグループとは違うライブバンドとしての一面も知ることができた。
最新作の「True North」はしっとりしたムードがけっこう好きなのです。