◼️「君たちはどう生きるか」(2023年・日本)
監督=宮崎駿
さあて何を書こう。レビュー書くのに本当に困っている。他に観たい映画があったのだが、「君たちは…」があまりにも情報がないもので落ち着かなくなって結局仲良しと一緒に映画館へ出かけた。僕みたいな輩を公開1週目に動員できたのは、宣伝なしの効果かもしれないぞw。にしても、うまく感想を書けるかな。何から書いていいやら。ともかく思いつくままに。
お話の外形だけを捉えるならば、異世界に行った少年が冒険を通じて成長するというもので、「千と千尋の神隠し」と同じようなフォーマットだと言える。しかしそこだけでこの映画を捉えてしまうと明らかに物足りない。だって千尋が経験する出来事や出会う人々に比べたら、「君たちは…」は派手さもないしキャラクターたちもどこか地味だ。しかも関係性を理解するのに十分な時間と挿話が観客に与えられずにお話は進行する。
確かに映像はすごい。特に冒頭の火災シーン。火の粉が飛んでくる様子や、それが建物に引火しないように捕虫網みたいなもので集めてる様子など、緊迫感と主人公の昂る感情と戦時中の厳しさが一体となる場面だ。幼い頃に戦争の被害や疎開を経験している宮崎駿だからできる表現かも、と思うと劇場で観てよかったと思えた。
そこから先も、ところどころに過去のジブリ作品を思わせる描写を挟みつつ、アニメだからできる表現や迫力が確かに面白い。過去作へのオマージュとの感想をたくさん見かけるけれど、決して露骨に狙ってはいないように思える。単に宮崎駿はこういう絵や展開が好きなだけだろう。歴代おばあちゃんキャラが揃い踏みしたのかと錯覚したし。寝る時に魔除けに置けるように、商品化を希望しますw。
それにしても、何故このタイトルなんだろう。北米公開が決まったそうだが、タイトルは「少年とサギ」。なんで日本人にはこのタイトルを突きつけるのだ。誰もがこのタイトルで、新作は宮崎駿翁のお説教映画に違いないと思っただろう。劇中出てくる吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」。主人公に母が用意してくれていた本だ。戦前に書かれたものだし、宮崎駿少年もきっと読んでいたに違いないし、ここからインスパイアされてこの映画が製作されているのは間違いない。
数年前にベストセラーになった漫画版で読んでいる。確かに主人公の少年はどちらも片親の男子中学生で、経験と失敗から人間関係を学んで成長するストーリーは共通だ。そのテーマは現在にも通ずるものだし、うちの子供が今小学生だったら朝読書に持っていきなさいと渡していたかもしれない。じゃあ、宮崎駿翁もこの本の主人公が人間関係を学ぶ姿勢を、得意のファンタジーの形にすることで観客に触れて欲しいとでも思ったのだろうか。いや、だったらもっと堅苦しくて、多くの人がイメージした説教くさい映画になっていたに違いない。
この映画の何に僕が悶々としているのか。宮崎駿監督作につきものだったものがほぼないからだ。それは空への憧れを感じさせる飛行(又は浮遊)シーン。飛行機のパーツは出てくるけれど。あとは多くの感想にあるように、主人公の心の動きが見えないところかな。叔母を「お母さん」と呼べるようになるまでの葛藤があるはずなのに、そこが感じられない。「思い出のマーニー」のラスト、やっと「おばちゃん」と呼ばなくなる場面につながる、ジーンとくる感じを期待していたんだけれど、宮崎駿監督にはとっては、それも作品に散りばめるジブリ的な要素の一つに過ぎなかったのかもな。
藪のトンネルをくぐり始めるところで「トトロ」をイメージした人は多かったと思うのだけど、僕はひねくれているのか「海辺のカフカ」を思い浮かべてしまった。でも他の映画友達はこの作品を観て村上春樹の最新作が頭に浮かんだと言う。思考回路が似ているのかもしれないw。
お話の外形だけを捉えるならば、異世界に行った少年が冒険を通じて成長するというもので、「千と千尋の神隠し」と同じようなフォーマットだと言える。しかしそこだけでこの映画を捉えてしまうと明らかに物足りない。だって千尋が経験する出来事や出会う人々に比べたら、「君たちは…」は派手さもないしキャラクターたちもどこか地味だ。しかも関係性を理解するのに十分な時間と挿話が観客に与えられずにお話は進行する。
確かに映像はすごい。特に冒頭の火災シーン。火の粉が飛んでくる様子や、それが建物に引火しないように捕虫網みたいなもので集めてる様子など、緊迫感と主人公の昂る感情と戦時中の厳しさが一体となる場面だ。幼い頃に戦争の被害や疎開を経験している宮崎駿だからできる表現かも、と思うと劇場で観てよかったと思えた。
そこから先も、ところどころに過去のジブリ作品を思わせる描写を挟みつつ、アニメだからできる表現や迫力が確かに面白い。過去作へのオマージュとの感想をたくさん見かけるけれど、決して露骨に狙ってはいないように思える。単に宮崎駿はこういう絵や展開が好きなだけだろう。歴代おばあちゃんキャラが揃い踏みしたのかと錯覚したし。寝る時に魔除けに置けるように、商品化を希望しますw。
それにしても、何故このタイトルなんだろう。北米公開が決まったそうだが、タイトルは「少年とサギ」。なんで日本人にはこのタイトルを突きつけるのだ。誰もがこのタイトルで、新作は宮崎駿翁のお説教映画に違いないと思っただろう。劇中出てくる吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」。主人公に母が用意してくれていた本だ。戦前に書かれたものだし、宮崎駿少年もきっと読んでいたに違いないし、ここからインスパイアされてこの映画が製作されているのは間違いない。
数年前にベストセラーになった漫画版で読んでいる。確かに主人公の少年はどちらも片親の男子中学生で、経験と失敗から人間関係を学んで成長するストーリーは共通だ。そのテーマは現在にも通ずるものだし、うちの子供が今小学生だったら朝読書に持っていきなさいと渡していたかもしれない。じゃあ、宮崎駿翁もこの本の主人公が人間関係を学ぶ姿勢を、得意のファンタジーの形にすることで観客に触れて欲しいとでも思ったのだろうか。いや、だったらもっと堅苦しくて、多くの人がイメージした説教くさい映画になっていたに違いない。
この映画の何に僕が悶々としているのか。宮崎駿監督作につきものだったものがほぼないからだ。それは空への憧れを感じさせる飛行(又は浮遊)シーン。飛行機のパーツは出てくるけれど。あとは多くの感想にあるように、主人公の心の動きが見えないところかな。叔母を「お母さん」と呼べるようになるまでの葛藤があるはずなのに、そこが感じられない。「思い出のマーニー」のラスト、やっと「おばちゃん」と呼ばなくなる場面につながる、ジーンとくる感じを期待していたんだけれど、宮崎駿監督にはとっては、それも作品に散りばめるジブリ的な要素の一つに過ぎなかったのかもな。
藪のトンネルをくぐり始めるところで「トトロ」をイメージした人は多かったと思うのだけど、僕はひねくれているのか「海辺のカフカ」を思い浮かべてしまった。でも他の映画友達はこの作品を観て村上春樹の最新作が頭に浮かんだと言う。思考回路が似ているのかもしれないw。