Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

時をかける少女

2023-07-15 | 映画(た行)

◼️「時をかける少女」(2006年・日本)

監督=細田守
声の出演=仲里依紗 石田卓也 板倉光隆 原沙知絵

細田守監督の「サマーウォーズ」と「時をかける少女」はフェバリット夏映画だ。2023年夏にFilmarksが記念日上映と称してリバイバルしてくれたのはとても嬉しい。劇場で観ていなかった「時かけ」。7月13日(ナイスの日)ではないけれど、映画館で鑑賞。

奥華子の主題歌を聴くだけで泣きそうになるくらい大好きな「時かけ」。でも、実は初公開された頃、観るのを敬遠していた。筒井康隆の原作SFジュブナイルにも、大林宣彦監督の実写映画化にも並々ならぬ思い入れがあるもので、その後の度重なる映像化に疑問を感じていた。アニメで、メインビジュアルにはいかにも活発そうな少女が描かれている。これが「時かけ」?。線の細いヒロイン芳山和子、土曜日の実験室、ラベンダーの香りこそが「時かけ」というお堅い先入観を持つ僕ら世代。僕もその類だ。

(余談ですが、長女との会話)
🧑🏻「入浴剤何入れる?」
😏「"土曜日の実験室"」
🧑🏻「あー、はいはい。ラベンダー🪻ね」
"ラベンダー=時かけ"の図式は定着している(恥)。

冒頭、男子二人とキャッチボールするショートヘアーのヒロイン真琴。原作同様の進行で真琴がタイムリープ能力を持ってしまう。真琴はその能力を、不都合な出来事をリセットしたり、楽しい時間を延長するために使う。トム・クルーズのタイムリープ映画「オール…(略)」みたいに、同じ場面を繰り返すから、二度目はうまくこなす。不意打ちのテストも好成績、調理実習の失敗も、ふざけた男子の巻き添えを喰らうことも回避。その度に大口開けて高笑い。英国製タイムリープ映画「アバウト…(略)」で彼女とのイチャイチャを繰り返す場面みたいに、本人は楽しくて仕方ない。

※(略)について
なんで時間旅行(跳躍)映画って長いタイトルが多いのだらう。

あー、オリジナルの芳山和子ならこんなことはしないぞ。真琴はこの出来事を美術館に勤める独身の"魔女おばさん"に相談。するとおばさんは言う。
「真琴がいい目みてる分、悪い目をみてる人がいるんじゃないの?」
真琴は次第に自分が周囲に与えている影響に気づき始める。遊び仲間の千昭から
「俺と付き合えば?」
と言われたことから逃れようとして、事態はますますこじれてしまう。

この辺りから僕の冷めた目線は誤りだったと気付かされた。真琴のタイムリープでなくても、自分がしでかしたことで周りを不快にしてしまったり、人間関係がこじれてしまうことは、日常よくあること。真琴が置かれた状況は特殊なことなのに、僕らは自然と共感してしまっている。あの時やり直せていれば。それは誰もが思い描く気持ち。その普遍性が青春映画としての魅力につながっている。前半、能力を使う場面が楽しかったはずが、「真琴!今使うな!」と心で叫んでいる自分がいたりする。

理科室の黒板に書かれた
Time waits for no one.
歳月は人を待たず。
月日は過ぎ去っていくから、機会を失いがち。だから自分から走っていかなくちゃ。そしてクライマックスで、魔女おばさんが真琴に言う。
「待ち合わせに遅れてきた人がいたら、走って迎えに行くのがあなたでしょ」
そうなんだ。自分から走って行かなくちゃ。そして真琴が走って行った先で告げられるのが名台詞。
「未来で待ってる」
時は待ってくれない。でも待ってくれる人がいる😭

僕の感涙ポイントだった一つは、魔女おばさんが「私もずっと待ってる人がいる」と言う場面。その場面で棚に飾られているのは、二人の男子に挟まれた女子高生の写真と紫色の花。ラベンダー…?あっ!😳そこで魔女おばさんが原作の主人公芳山和子だと確信するのだ。

「実はこれからやることが決まったんだ」
真琴が何をしようとしているのか詳しくは語られない。でもそれは未来の千昭が願っていることのはず。僕が思うに…いや、それは鑑賞者それぞれが思うことでいい。

奥華子が歌う主題歌ガーネットの歌詞が心に突き刺さる。もう聴くだけで涙腺が緩む🥲。今回スクリーンで鑑賞する機会に恵まれ、感激したその夜。いつものように風呂で長女が熱唱しているのが聴こえてきた。よりによってガーネットだ。ラベンダー🪻の入浴剤入れたせいだな。
🧑🏻あなたと過ごしーたひーびぃをー♪
いつもよりエコーが深く響くのは、映画の感動という余韻があるからなんだろか。




コメント
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