◼️「ブルース・リー物語/Bruce Lee-True Story(李小龍傅奇)」(1976年・香港)
主演=ホー・チョン・ドー(ブルース・リィ) シャオ・チーリン
ブルース・リーの偉業を伝える映画は数々製作されているが、「酔拳」のプロデューサー呉思遠が監督、ブルースのそっくりさんを起用してストーリー仕立てでつくられている。実際の葬儀の場面や映画の名場面を散りばめられているが、これはドキュメンタリーではないし、テレビドキュメンタリーの安っぽい再現フィルムのようなものとも違う。実際にホー・チョン・ドーは、そっくりさん達の中ではそれなりの使い手だったと聞く。ブルース・リーの迫力には程遠いが、それなりのカンフー映画として成立している。
この映画で初めて聞く死にまつわる様々な事実や噂。映画冒頭、部屋で倒れたリーのもとに救急車が駆けつけるところから始まる。そこに至った事実を追う形式で物語は綴られる。諸説ある死の理由をあれこれ再現してみせる場面も登場する。唖然としたのは、ファンとしては腹上死するブルース・リー・・・そこまでファンは見たいと思っていないぞ。また、電気仕掛けの怪しげなトレーニングマシーンの数々。機械を使ったトレーニングをしていたという話は聞くが、突きが決まるとランプが点く機械には笑いしか出てこない。そして、実は東南アジアで生きている、という噂があることを説くラスト。マジか?。早死にすることを占い師に告げられるところから、やたらドラマティックな演出になっているところも面白い。
撮影の度にブルース・リーは、悪党に絡まれる。強い男であるが故に狙われるし、挑まれる。空手とカンフーの対決、「ドラゴンへの道」撮影中のイタリアマフィアのエピソード。多くの人々に慕われるリーだが、敵もそれなりにつくってしまったということなのだろうか。それにしても、改めて思うのは、こういう伝記映画が製作されてしまうブルース・リーの偉大さ。日本人スタッフが「死亡遊戯」の未公開フィルムでつくりあげた「ブルース・リーin G.O.D. 死亡的遊戯」ってのもあったよなぁ。あれは「死亡遊戯」の全貌を見る上で意義があるけれど、この「ブルース・リー物語」はブレイクしてから死を迎えるまでの彼の足跡を辿る上では観る価値はあろう。