◼️「現金に手を出すな/Touchez pas au Grisbi」(1954年・フランス=イタリア)
監督=ジャック・ベッケル
主演=ジャン・ギャバン ルネ・ダリー ジャンヌ・モロー リノ・ヴァンチェラ
フレンチノワールの先駆けとも言える「現金(げんなま)に手を出すな」は今回初めて観た。
主人公の初老ギャング、マックスを演ずるジャン・ギャバン。「地下室のメロディー」や「シシリアン」で演じた暗黒街の大物と同じく貫禄ある役柄だ。映画好きの親父殿は、暗黒街ものが放送されると録画してよく観ていた。おかげでジャン・ギャバンと言えばこういう役か、トラックの運転手(「ヘッドライト」)のイメージしかない。そもそも初めて観た「望郷」(これも親父殿のオススメ)もモロッコに逃げた犯罪者役だったし。
マックスは引退をしようと考えている。年齢を意識した台詞があちこちに出てくる。若くないと何度も言うし、慕ってくれる女性にもどこか距離を置く。なじみの店に入れば顔見知りが声をかけてくれるし、キツい仕事を頼める若い知り合い、自分に何かあった時のことを頼める店主、裏方稼業のコネクションと信頼関係。一方でいざと言うときはタフな立ち回り。チンピラ野郎を縛り上げ。口答えする踊り子(なんとジャンヌ・モロー姐!)には有無を言わさぬ平手打ち。そして容赦なく機関銃をぶっ放す。結果としてヘマをやった長年の相棒には友情も忘れない。心優しきタフガイだ。
撮影当時ジャン・ギャバン50歳😳。…いやー、わたくし、その年齢は既に超えちゃったけど、こんな貫禄も人脈も落ち着きもありゃせんですわー💧。
敵役アンジェロを演ずるのは、本作がデビューとなるリノ・ヴァンチェラ。独特な面構えが印象に残る人だが、決して短い出番ではなく、最後まで話を引っ掻きまわすキーパーソンだ。「死刑台のエレベーター」で最後に登場する刑事も、「モンパルナスの灯」の画商も、短い出番に強烈な印象を残すが、それ以前にこんな大役をやっていたとは。「こいつは元レスラーなんぞ。そげな顔しちょんやろが」と、リノ・ヴァンチェラを見る度に親父殿に説明された記憶がある。好きなんだろな。
虚しさの残るラスト。何事もなかったように振る舞わねばならないマックスだが、表情の翳りは隠せない。無言のジャン・ギャバンが何とも言えない余韻を残す。渋いっ。
マックスは引退をしようと考えている。年齢を意識した台詞があちこちに出てくる。若くないと何度も言うし、慕ってくれる女性にもどこか距離を置く。なじみの店に入れば顔見知りが声をかけてくれるし、キツい仕事を頼める若い知り合い、自分に何かあった時のことを頼める店主、裏方稼業のコネクションと信頼関係。一方でいざと言うときはタフな立ち回り。チンピラ野郎を縛り上げ。口答えする踊り子(なんとジャンヌ・モロー姐!)には有無を言わさぬ平手打ち。そして容赦なく機関銃をぶっ放す。結果としてヘマをやった長年の相棒には友情も忘れない。心優しきタフガイだ。
撮影当時ジャン・ギャバン50歳😳。…いやー、わたくし、その年齢は既に超えちゃったけど、こんな貫禄も人脈も落ち着きもありゃせんですわー💧。
敵役アンジェロを演ずるのは、本作がデビューとなるリノ・ヴァンチェラ。独特な面構えが印象に残る人だが、決して短い出番ではなく、最後まで話を引っ掻きまわすキーパーソンだ。「死刑台のエレベーター」で最後に登場する刑事も、「モンパルナスの灯」の画商も、短い出番に強烈な印象を残すが、それ以前にこんな大役をやっていたとは。「こいつは元レスラーなんぞ。そげな顔しちょんやろが」と、リノ・ヴァンチェラを見る度に親父殿に説明された記憶がある。好きなんだろな。
虚しさの残るラスト。何事もなかったように振る舞わねばならないマックスだが、表情の翳りは隠せない。無言のジャン・ギャバンが何とも言えない余韻を残す。渋いっ。