Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

35年目のラブレター

2025-01-28 | 映画(さ行)


◼️「35年目のラブレター」(2025年・日本)

監督=塚本連平
主演=笑福亭鶴瓶 原田知世 重岡大毅 上白石萌音

久々の試写会。いち早く観る機会を与えていただき感謝です。

幼い頃の家庭環境が原因で学校にも通えず、文字の読み書きができない保。寿司職人として働いていたが退職後、夜間学校に通う決心をする。長年連れ添った妻に感謝を伝えるために、読み書きを学んでラブレターを書く。それが彼の目的だった。しかし学習する経験がない保には多くの時間が必要だった。

夜間学校が舞台の感動作か。松竹が得意そうな題材だよね、と思っていたら東映のマークがどーーーん(波🌊)。教育映像の製作も手掛けている東映だから、もしかしたらちょっとお堅い描写が入ってきたりして。確かに識字率に関する説明過多なセリフこそあったけれど、全体としては観客の多くが期待するまっすぐな愛情物語。結末は期待を裏切らない。

でもね。だからって、予定調和とか意地悪な言葉でこの映画を評するのはやめて欲しい。この映画が素晴らしいのは、結末に至るまでに積み重ねられた小さなエピソードのひとつひとつなのだ。結婚を決断するまでの葛藤、妻から渡された手紙を読めない悔しさ、夫を支える決心。夜間学校に通う決心、今まで関わってこなかった人々との出会い、主人公がつなぐ人と人。そのひとつひとつが愛おしいと素直に思える。

それらのエピソードには、印象的で素敵な台詞がたくさん散りばめられている。特に好きなのは、「嫌いなものでも、いいところを3つ挙げると好きになる」という妻の台詞。クライマックスでも泣かせどころになる言葉だけど、これは実生活でも使えるかも!と思った。くわばたりえが回覧板持ってくる時の挨拶も好きw。

映画観ながら、自分の毎日に応用できるような何かを見つけるのって楽しい。僕らの日々の暮らしだって、この映画と同じく、ちょっと愛しい小さなエピソードの積み重ね。知らなかった何かを知ることは、いくつになっても少しだけ僕らを成長させてくれる。

九州出身の原田知世がこの映画で聞かせる関西弁は、勢いではなくて諭すような優しさがある。台詞をすんなりと受け止めることができたのは、そのせいもあるのかも。

あ、最後に意地悪な感想を言わせて。若い頃が上白石萌音、歳とってからが原田知世というキャスティング。タレ目のヒロインがどうしたらキリッと細目の原田知世になるのさ。若い頃を演じたティーンの俳優がきゃわゆいタレ目だったのに、大人になったら常盤貴子になってた東映映画の記憶があるもので💧。苦労している若い時代を上白石萌音が演ずると、朝ドラのイメージがあるから、観客は感動するだろうという計算ずくかも。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする