「国民栄誉賞」授与式、それは感動の連続だった。
あの長嶋さんと、松井さんが同時に国民栄誉賞を受賞するということに賛否両論があるという意見もネットで見ていたが、そんなことは吹っ飛んでしまう授与式だった。
長嶋さんは2004年に脳梗塞で倒れて以来、初のスピーチだった。しっかりと吟味されたことばがたどたどしいながら、常にファンを見つめてきた素朴な気持ちを一生懸命言葉として発声し、東京ドームの約4万7000人のファンから大きな拍手に包まれた。
日米でプレーした松井さんも、恩師長嶋さんの前でやや緊張しながらしっかりと感謝の言葉を述べていた。
こんなに感動的な「国民栄誉賞」授与式は初めてだ。いつもなら官邸で総理大臣が表彰状と記念品を贈って終了といったところだが、今回は巨人対広島戦の前に行われたこともあって、大観衆は両氏の一挙手一投足に注目した。
始球式でもピッチャー松井背番号“55”、バッターは背番号“3”長嶋、キャッチャー原監督、アンパイアとしてジャイアンツのユニフォームに背番号96を付けた安倍総理が登場。長嶋さんが左手だけでバットを振る姿に大観衆は拍手喝采。驚きと感動を興奮を覚えた。
子どもの日、お子さん連れのファン、長嶋さんを知るプロ野球ファンなどが多くが詰めかけていたが、安倍総理はパフォーマンスがうまくなったなぁというのが実感。いろいろなハプニングにもうまくアドリブで答え、前回の総理より大きくなったという印象だ。
政治とスポーツをミックスし政治色をにじませながら絶好のパフォーマンスを展開した。人気取りと言われようがタイムリーに登場し支持率を維持または向上させようと努力している。
安倍さんがつけた背番号96は、今、政治の世界では憲法96条問題の“96”でつけたのかと思っていたが、『第96代総理大臣』からだと記者会見で説明した。
政治がスポーツの世界などに入り、マスコミを使ってパフォーマンスの政治が中心になってきていることは否めない。実に巧みに世論操作をしているという感想を抱いた。
ただ、政治は政治。我々も浮かれすぎていては良くないと思うし、政権はきっちり議論を尽くして結果を出すことが民主主義の基本だ。(特に憲法改正問題では)
今回の国民栄誉賞授与式は政府にとっては“やや浮かれすぎだった”といわれても仕方ないだろう。