記者会見で「長い大きなトンネルを抜けた感じ」と素直に喜びを語った朝青龍。
25日の優勝決定戦は、全力で白鵬を寄り切った戦いだったが、引退まで噂され、これまでのことが吹き飛んだのだろう。涙を浮かべながら「朝青龍帰ってきました!」と両手をあげ、満面に喜びの表情を表した。
しかし、翌26日の記者会見は、1時間余り遅刻したという。遅刻の理由を『飲みすぎ』と語り、まぁ、記者に対して謝ったからそれは許すとしても、会見内は相変わらず駄々っ子横綱という感じがしてならなかった。まるで、こどもがそのまま大きくなったような感じで、私はこのような横綱がいるかぎり、大相撲を心底好きにはなれない。
言葉の端々に、記者をなめた発言が次々出てきていた。記者も意地悪な質問を投げていたが、笑みを浮かべながら朝青龍もこれに反応した。
その昔の大横綱は、会見の席上は、もう少し謙虚だったような気がする。
喜びを身体一杯で表現するのは、スポーツ界共通で良いとは思うが、若さが出すぎてしまい、『じゃ、お前やってみろよ』のような“けんかごし”になるのはいただけない。
勘違いしてしまっている。これを横綱審議会は認めているからだろうし、朝青龍を指導できずに放任している親方にも責任がある。
23回の優勝は確かに偉大だ。しかし、『勝てば良い』というだけでは、大横綱として認められない。
トップの地位にある人は品格、風格、常識、技術を全て備えていてほしい。
これらを備え、相撲道を極めるよう、朝青龍には望みたい。
確かに、興行だから面白ければ、観客が入ればいいのかもしれないが、青少年はじめ多くの人が注目し、影響力があるということを財団法人相撲協会にも、これまで以上に解っていただきたいものである。