電車から降りてきた夫婦。
年にして二人とも60代後半、ご主人はグレーのブレザーにリュック、奥様はグリーンの上着に同じくリュック。お二人とも帽子をかぶり、それぞれが1眼レフのカメラを肩から下げ、ゆっくりと風景を楽しみながら私と同方向へ歩いている。
若いカップルや夫婦だと服装もペアルックで早足で歩くだろうが、この夫婦は年輪を感じさせ、周囲の景色を観察しながら歩いていた。
少し歩いたところで奥様が道端のつつじの花に目をやり、ご主人に話しかけている。声は聞こえなかったが、なんとも微笑ましい光景だった。
GWが終わり、多分毎日が休日だろう団塊の世代の夫婦。これまでは子育てや仕事で毎日一生懸命生きてきたお二人は、新婚時代に戻ったような気分で仲睦まじく、のんびり5月の風に吹かれながら名所めぐりをしているに違いない。
ウォーキングで近くの観光地周辺を歩いていても、GW期間中とは違うこのようなカップルやグループをよく見かける。
一時、マスコミが“熟年離婚”や“定年後離婚”などと言っていたのを思い出した。しかし、今日のような熟年カップルを見る限り、その言葉は死語のような気がした。
夫婦が共通の趣味を通してお互い切磋琢磨する・・・熟年を迎えた人が、より元気に長生きするための秘訣のような気がした。