春の気配とともに、"歩き遍路"の人を良く見かける。
菅笠に金剛杖、白衣を纏い本格的なお遍路さんのいでたちで歩いている。
今朝は道に迷った70歳近い男性のお遍路さんに遭遇した。
(遍)すみません。道に迷ったようなんですが・・・この男性は雑誌の地図を私に見せ、道を尋ねてきた。
(遍)この道に出るのはどう行けばよいですか?
(私)この道は次の札所へ行くのは遠回りですから、この川沿いの道を下って街道に出た方が近いですよ!
(遍)いいえ!、この地図の通りに歩きたいのです〜。地図にこだわっているんです。
(私)遍路道の標識がこの近辺にはありませんから、さっき言ったようにしてはいかがですか?
そんなに詳しい地図でないため分かり難かったことから、道案内はわかりやすい道を教えたつもりだったが・・・
(遍)やっぱり、この地図通りに行ってみます。
少し心配だったが、男性の持つ金剛杖には同行二人と墨で書かれている。杖には弘法大師が宿るといわれていて、お遍路の精神は同行二人(つまりお大師さまと二人連れ)ということだ。
この最近、弘法大師が歩かれた道は変わってきている。特に四国の道路は、昔の道が新道に変わってきていたりする。
元気に歩き遍路で結願出来ることを祈りながら、"お気を付けて・・・"と言って別れた。
実はこの日曜日に、1番札所霊山寺をたまたま訪ねたのだが、観光バスで参拝する客が多く、八十八か所巡拝は老若男女いろいろな人が心のよりどころとして普及しているのだろうかと思った。
モータリゼーションの発達に伴い、お遍路さんもスピードアップが図られたようだが、お大師様と一緒にゆっくりのんびりの"歩き遍路"が基本だと考えさせられた一瞬だった。
(一番札所霊山寺にて)
八十八ヶ所歩き遍路の場合、体力にもよるが平均50日は必要だとガイドブックに記していた。お大師様と心を一つにし、ゆとりをもって『同行二人』を始めるのは絶好の季節かもしれない。
体力と時間があればの話だが・・・。