映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

憑神

2008年10月10日 | 映画(た行)
憑神

TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

このアイテムの詳細を見る

浅田次郎原作の映画化です。
時代は幕末。
主人公別所彦四郎(妻夫木聡)は、代々将軍の影武者を務める家柄の次男。
婿養子先から離縁されて兄夫婦の家に居候という情けない立場ながら、
なんと、さらにまたとんでもない災難を呼び寄せてしまった。
それは、貧乏神、疫病神、死神。
まともに行けば財産を失って、病に冒され、ついには死に至るという、救いようのない運命が待ち受けるはずでした。
しかし、宿替えといって、自分に取り付いた神を別の人に押し付けてしまうことが(まれに)できる。

彦四郎は、はじめの貧乏神を宿替えさせることに成功したのですが、
なんと貧乏神は彼の元妻の家に取り付いてしまったので、
愛する自分の元妻、息子が住む屋敷を失ってしまった。
災難を人に押し付けるなどということは二度としない、と彼は思う。
なんともまじめできちんとしていて、また、思いやりがあるのですよ、この方は・・・。
それでなぜ兄があんなふうにちゃらんぽらんなのか、謎ですね。

そういう気持ちの健やかさに負けるというか、ほだされてしまうというか、
次に来る疫病神、そして死神も、なにやら本領を発揮し損ねている。
しかし、彼らもやはり仕事・・・。
彦四郎は最後の「死」を免れることができるのか・・・。
ここのあたりで、単なる江戸ものでなく、
幕末に舞台を持ってきたことが生きてくるのです。
次第に武士として人間として、誇りを持った生き方に目覚めてゆく彦四郎。
・・・よいですね。
最後の武士ですね。

この作品で貧乏神、疫病神、死神、これらが変なメークやらCGでなく、
ごく普通の姿で出てくるところがいいです。
特に、西田敏行の貧乏神はすばらしいですね。
いやはや、役者の力を感じさせられます。
また、死神がなんと森迫永依ちゃんというかわいらしい女の子なのも、意表を突いている。
他の登場人物もそれぞれがはまり役、
たっぷり楽しめて、そして、しんみりしてしまう作品なのでした。

2007年/日本/107分
監督:降旗康男
出演:妻夫木 聡、香川照之、西田敏行、赤井英和、江口洋介、森迫永依