映画と本の『たんぽぽ館』

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運命じゃない人

2008年10月13日 | 映画(あ行)
運命じゃない人

エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ

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様々な思惑を胸に秘めた男女の運命の行方を描いています。
一夜の出来事なのですが、登場人物何人かの視点から繰り返し出来事が語られます。
一人の視点では決して見えない事実が別の人の視点から現れてくるという多重構造。
そのつぎつぎと入れ替わることの真相に、驚かされるのです。
実に良く練られたストーリーです。

主な登場人物は、
恋人に裏切られ婚約破棄をして飛び出してきた孤独な女、真紀。
普通に”いい人”のサラリーマン、宮田。恋人がなぜか突然失踪し、失恋中。
その失踪した恋人、あゆみ。実は彼女の正体は・・・?
宮田の親友、私立探偵の神田。
そして、あゆみの新しい愛人、ヤクザの組長。

ここで、神田は普通にいい人の宮田を大変大事に思っていて、
彼を傷つけまいとする。
ここがこの物語の要だと思います。

失恋し、落ち込む宮田に、彼は言います。
「もう、こんな年でクラス変えも学校祭もないんだから、
運命の出会いなんか待っても無駄。
自分から行動しなければダメ。」
う~ん、説得力ありますね。
そこで、運命の出会いでなく、意識的にナンパで声をかけた相手。
それが、真紀であったというわけ。

結局宮田は、裏のばたばたした事情は何も知らないのです。
彼だけが純粋なラブストーリーを奏でている。
他の人々は皆欲特まみれ。
こういう対比も効いています。
この、しゃれたつくりに、思わずにんまり。
そういう作品です。

ちなみに、例によってTUTAYA DISCUSの予約から実際に届くまで数ヶ月を要してしまいました。
面白い作品なので、在庫を増やすべきだと思いますが・・・。

2004年/日本/98分
監督:内田けんじ
出演:中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介