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LAに実在する高校の実話を基にした作品。
それまで優秀な子が集まっていたウィルソン高校ですが、
学区の再編成のため、様々な人種の子どもたちを受け入れざるを得なくなり、
一気にレベルダウンとなったことを嘆く学校の教師たち。
そんな中へ、新米の国語教師エリン(ヒラリー・スワンク)が赴任してきます。
最もレベルの低いクラスをあてがわれた彼女が見たのは、
教室で人種ごとにいがみ合う子どもたち。
学習への意欲もなく、すぐに喧嘩騒ぎ。
そもそも、ろくに本も読めない。
体の大きい彼らの間に入るだけでも、実際、考えると怖い気がするんですが・・・。
しかし、ここで彼女の奮闘が始まるのですね。
彼女の教師としてのプライドが、いつも付けている真珠のネックレスに象徴されています。
熱血教師のドラマはそれこそたくさんあります。
日本でも、数えきれないくらい・・・。
でも、ここでは彼女はクラスをまとめ上げただけでなく、
学習への意欲も向上させ、学力も付けていった。
これはやはり並大抵ではありません。
彼女は生徒にノートを一冊ずつ渡して、自分のことを書くように、というのです。
そこに彼らが綴ったのは、
貧しい暮らしのこと、
乱暴する家族のこと、
犯罪で捕まった身内のこと、
銃で撃たれて亡くなった友人のこと・・・、
赤裸々で危険に満ちた彼らの生活を綴った彼らの言葉は、大変胸に迫ります。
そもそも、生きてゆくのにやっとという状況では、
学習の意欲もわかず、力もつくはずがありません。
けれど、彼らの能力が劣っているわけではない。
そこを引き出した彼女の努力は、やはりすごいと思うのです。
なにしろ、授業のあと、バイトを掛け持ちして費用を作り、
私費を投じて生徒に本を買ったり、
ホロコーストの博物館へ連れて行ったりするのです。
そこまでする情熱には、生徒たちも心を動かされますよね。
そのためには、学校の上司や教育委員会とまで、闘うことになる。
鋼鉄の意志が必要です。
ホロコーストという言葉すらも知らなかった彼らが、
アンネの日記を読み、アンネをかばった人を高校に招いて直接話を聞く。
なんだかこのあたりは感動してしまいまして、ウルウル来ました!
皆が心を合わせるって美しい・・・。
残念なことにエリンの夫は、あまりに彼女が教師の仕事に夢中なものだから、
心が離れて出ていってしまいます。
彼女が着々と夢を実現していることに嫉妬したようにも思えます。
こんな時、支えてくれる人ならよかったんですけどね・・・。
でも、彼女は確かに、十分強いですものねえ・・・。
支えなど要りませんか・・・。
ヒラリー・スワンクがまた、こういう役がぴったりなんですよねー。
それにしても、アメリカの格差は日本で想像する以上・・・。
人種問題もからんでいますしね。
そして、やっとこの高校を出た先が軍隊・・・ってことかな。
実は極最近、「貧困大国アメリカ」という本を読んだのです。
この本を読むと、この映画ももっと実感として迫ってきますね。
近いうちに、ご紹介します。
ともあれ、ずっしりとした手ごたえの、感動の作品でした。
2007年/アメリカ/123分
監督:リチャード・ラグラベネーズ
出演:ヒラリー・スワンク、スコット・グレン、イメルダ・スタウントン、パトリック・デンプシー