意外と泣けないのだけれど、ピュアな感情に揺り動かされる・・・
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「最後の初恋」でもめげずに、また見てしまった、ベタなラヴ・ストーリー。
しかしこれは、予告編を見ただけで、結構泣きそうになってしまったのです。
なぜかというとこのストーリーは、夫の死から始まるのですから・・・。
失意で生きる意欲を無くした妻は引きこもりになってしまい・・・。
そこへ病死した夫から、なぜか次々と手紙が届く。
手紙に記されたことを実行するうちに、妻は少しずつ生きる意欲を取り戻していく。
妻ホリーがヒラリー・スワンク。
夫ジェリーがジェラルド・バトラー。
ということで、これは微妙な心の揺れとか、きめ細やかな愛情の形を描くという雰囲気ではないですね。
冒頭、二人の大喧嘩のシーンがありまして、
まさに、この二人の夫婦のスタイルがよく出ています。
結構がさつな似たもの夫婦・・・で、けんかもするけど、仲も良い。
犬も食わない夫婦喧嘩って奴ですね。
で、その元気なジェリーのシーンがチョコチョコ挿入されるので、
思ったほど、涙、涙・・・にはなりません。
そしてまた、はじめの方の追悼会のシーンで、ホリーも意外に泣いていないのです。
でもそれは必死に耐えていたからで、
かなり後にようやく母親の前で感情が爆発するシーンがあります。
そう・・・泣きたい時は思い切り泣くのがいいんですよ・・・。
ここではもらい泣きさせられました。
さて、この映画を見終わって、ちょっと不思議な感覚に襲われました。
なんだか女子高生みたいにピュアな感覚。
もはや手の届かない純粋なものを見てしまったような・・・。
夫婦なんですから、当然プラトニックはありえませんし、
ホリーは映画中で他の男性とのベッドシーンもある。
にもかかわらず、この感覚は何なのか・・・。
つまり、夫ジェリーの妻への愛情が貴重だからなのかなあと思います。
病の中、体調も思わしくないであろう時に、
これらの手紙や筋書きを彼は準備したわけです。
これってすごいですよね。
この愛は現実を超えて、すでにファンタジーの域なのだろうと思います。
昨今、映画の中では離婚は極当たり前、
離婚の出てこない映画を探すほうが難しい。
そんな中で、こういう一途に相手を思う気持ちって本当に貴重で美しいです。
全く、今更ながら、そんなところに打たれてしまったような気がします。
夫ジェリーはアイルランド出身という設定で、
ホリーの住むニューヨークとアイルランドの美しい広大な自然の対比がまた効果的でした。
ジェリーの温かい人柄はこの大自然に育まれたのでしょうか・・・。
ラストはハッピーエンド過ぎないところが気に入りました。
先の「幸せの1ページ」に引き続き、ジェラルド・バトラーを見たのですが、
なんだか、あったかで包容力がありそうな、この雰囲気。
いいですね。
いろいろ気の多い私ですが、また一人好きな俳優ができてしまいました。
2007年/アメリカ/126分
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ、
出演:ヒラリー・スワンク、ジェラルド・バトラー、キャシー・ベイツ、ハリー・コニックJr