映画と本の『たんぽぽ館』

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テラビシアにかける橋

2008年10月28日 | 映画(た行)
テラビシアにかける橋

ポニーキャニオン

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これほど悲しいお話とは思っていませんでした・・・。

                  * * * * * * * *

ファンタジーといえばやはり、ロード・オブ・ザ・リングに、ハリー・ポッター。
正直食傷気味で、あまり見る気にならなくて、公開時も見ていなかったのです。
ところが実際見てみると、もっと早く見ればよかった、とひたすら思います。
これは確かに、ファンタジーではあるのです。
11歳少年ジェスとその同級生の少女レスリーが、
自宅付近の森をテラビシアと名づけ、そこで様々な空想を繰り広げる。
二人にはそれが空想であるとわかっているのです。
貧しく、4人の姉妹にかこまれ、窮屈な思いをしているジェス。
人とちょっと変わっていることでなかなかクラスにも溶け込めないレスリー。
この二人にとって、この森は大変大切な場所。
思い切り想像の翼を広げ、
森の精や巨人たちの住むテラビシアの王国を作り上げてゆく。

しかし、彼らは徐々に、その中から現実に対処する力を身につけていくのです。
子どもの世界も全く大変・・・と、思えるのですが、
いつもちょっかいを出していじめる男子、
学校内で君臨し、何でもやりたい放題の女子。
そのような現実の中でも、二人は少しずつ自分たちの居場所を広げてゆく。

このレスリーがすばらしく印象的でステキな子なんですよ・・・。
一目で気に入ってしまいました。

しかしだからこそ、といいいますか、ショッキングな展開で・・・、
まさかこのような作品で、こんなに悲しいなんて思ってもいませんでした・・・。

最後にジェスがそのテラビシアの森に行く手前の川に橋を架けるのですが、
このことの意味が、じんわりと胸にしみます。

ジェスと父親との微妙な緊張感があらわされていて、
でもそれは最後に温かでしっかりとしたものに変わる。
ジェスの妹の存在もここでは重要で、これがまた、おしゃまでかわいいのですよ。
そして、ちょっぴりジェスの今後の方向もみえてくるあたり、
そしてもちろん、このストーリー全体を通じたジェスの成長、
どの切り口を見ても、よくできた作品だなあ・・・と思います。

見た後、しばらく悲しみの余韻が抜けませんでした。
でもラストは希望に満ちていますので、
しり込みせず、ぜひ見ていただきたいお勧め作です。
これは少年少女が主人公ですが、決して子ども向け作品ではないと思います。

2007/アメリカ/95分
監督:ガボア・クスポ
出演:ジョシュ・ハッチャーソン、アナソフィア・ロブ、ズーイー・デシャネル、ロバート・パトリック