ポット苗箱での育苗ってやつも、20年近くやってきて、ようやくコツがつかめた、って遅すぎ!一から十まで我流でやり通そうとした、ってのが過ちだし、被覆資材とか、40年前のお古を未だ使い続けてるってのも、どうかと思うよ。それに、普通の苗箱での常識、って奴に引きずられたことも上手くなかった。
そんな、失敗要因をどうにか乗り越えて、今年はここまで発芽・生育、ほぼ順調。
えっ?これでぇぇぇ?まばらだけど??いいの、これで!1つのポットに1粒とかだとこんな風に寂しいの!って虚勢を張ってはみたものの、やはり、発芽ムラはけっこうある。芽だしをもう少し進める必要があんのかもなぁ。
苗が軌道に乗ったとなりゃ、田んぼの準備にかからなくっちゃ。春が一気にやってきたせいか、堆肥も早々、連休前から配達されてることだし。肥料撒いて、堆肥散布して、畔の鼠穴ふさいで、耕耘して、周囲に水漏れ防止の波板張って、畔の草刈りして、代掻き!と、なっ、続くんだよ、田植えまで、だぁーっと作業が。その間に、長井白つつじマラソン10キロ、なんてのもあるから、そのトレーニングも欠かせないしぃぃぃ。ああ、忙しい!連休なんて、いつだってこんな調子だ。
まずは、肥料撒きだな。これは購入肥料を使う。上和田有機米生産組合が中心になって設計、生産委託している有機資質肥料「アミノ薬元」と微量要素供給剤「力素」を散布する。薬元は20キロ入り袋を10アール当たり、2袋半、力素は1袋半を均一にむらなく散布する。
米農家だと、トラクターに肥料散布機付けて、田んぼ走り回ればお終いだが、自給目当ての零細農家じゃそんなものない。しこしこ歩いて手撒きする。以前は、プラスチック製の肥料桶に入れちゃ、ミレーの「種播く人」の絵さながらに、播いていたが、さすがにこれは能率悪すぎ、中世ヨーロッパだぜ。
今は、キャリーに左官用の舟置いて、そこで2種類の肥料を混合、キャリーを自動でゆっくり走らせながら手撒きするって方法で一大技術革新を果たした。
キャリーの動きに合わせて、歩きながら、肥料を掬ってはばら撒いて行く。機械の一部に組み込まれた感じだな。時間短縮しようとキャリーの速度アップすると、これはもう、チャップリンのモダンタイムの世界だ。煽られ、急き立てられて、機械にこき使われる状態になる。
楽になったとは言っても、腕を振りつつの2反5畝の歩行はかなりの苦痛だ。腕がだるくなる。腰が痛くなる。飽きてくる。そして、極め付き、肥料の微粉末を全身に浴びる!これが堪らない。有機質肥料は魚のアラを発酵させて粒状にしたものだから、臭い!ほら、クサヤの干物!あの強烈な臭いだ、ってクサヤなんて知らない人もいるか。
大きな田、2枚終わったところで、昼。どうしよう残り少な、やっちまうかとも思ったが、疲労もピーク、忍耐力も限界、昼飯喰ってからだ、残りは。作業着や帽子に付着した肥料微粉末を落とさぬよう、そっとそっと、昼飯調理。静かに、椅子の縁に座って、機械人形のように食事を済ませた。
ああ、やりたくねえなぁ、明日にすっか、っていつもの怠け心、いや、ダメだ、夕方から雨。雨の中でやったら悲惨なことになる。だらけ切った心と体を叱咤して、作業再開。どうにか、すべての田に撒き終えた。
で、ここで雨が降るだろ。播いた肥料が田面にしっかり付着する。そこで雨が上がれば堆肥播きって寸法さ。お天道様にお伺い立てながらの作業が続くってわけさ。