菜の花座次回公演『予兆 女たちの昭和序奏』、まずは順調に進んでる。取材が何社か入ったりして、足踏みの日も何日かあったが、ここからが勝負、一気に動きを付けてしつこく立ち稽古を重ねよう。
動くとなると舞台の構造が分かってなくちゃならない。今回も装置さん、分かりやすい模型を作ってくれた。
6個置いてある立方体の木は事務机、中央には応接セットだ。出入り口は中央奥、下手には電話室と給湯室への入り口がある。これが、雑誌社の編集室?どう見たっておかしいだろ。普通、来客用の空間は部屋の端にあって、記者の机が固まってて当たり前だ。応接空間を囲むように記者たちが仕事してるってなんだよ?!しかも、事務机部分は2段高くなっていて、まるで古代ローマのコロシアム!みたいじゃないか。
芝居の大部分は記者たちのやり取りなので、事務室を主体に仕上げればいいんだが、どうしてもセンターで見せたい演技がある。一つは、ダンスと日本舞踊。も一つは、おっと、それは見てのお楽しみだ。応接セットを移動してそこで演じてもらう。
そんなの舞台転換すりゃいいじゃないか、なんて言うのはアマチュアの実力を知らん人の戯言だ。短時間で舞台を作り変えるってどんだけ大変なことか!人手もいれば、装置も移動可能なものにしなくっちゃならん。そんなの、菜の花座にゃ、無理、無理、無理!不自然な空間なのは百も承知、この変てこな構造をせいぜい楽しんでもらえるような演出を考ええる、そこが腕だぜ。
いや、婦人誌編集室でダンスや踊りって、それ自体おかしいだろ?そう、いらないって言うやぁ、いらない。見る人によっちゃ、何だって余計な色物組み入れるんだ?って眉をしかめる向きもあるだろ。でも、やりたいんだよ、そういう息抜きを。最初から最後までお楽しみなし、お堅い会話劇って詰まらないじゃないか。
せっかく踊れる役者がいるんだし、着物で艶やかに舞える美少女いるんだし、ギター伴奏できる者のいるんだから、そんな特技や持ち味を見せたいじゃないか。芝居の内容はいたって真面目なものだ。戦争の是非をめぐって真剣に意見を戦わせる。だからこそ、ガチガチの氷の刃じゃ冷え切っちまうじゃないか。時には水鉄砲とか、ライトセーバーなんか出てきた方が親しみ湧くってもんだぜ。
そんな、場違いなシーンを無理やり差し込む、そんな芝居つくりを菜の花座の得意技にしてみたいって野心もあるんだよ。エンターテインメントな社会劇?とかね。