アポロ15号飛行士と神の眼 平成25年5月26日
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“宇宙飛行士は神の眼を持った人間なのだ” と、
立花隆氏は著書(*1)で述べている。
“天は 神の座” と 太古から、信じられてきた
天空をめざし、発射されたロケットの操縦士こそ、
神の眼 を持つことを許された~という表現が
ふさわしいかもしれない。
西洋近世以前には 神は天にいて地上を見下ろしていると
考えられていた。
たとえば、ダンテの “神曲” の 天国編。
ダンテは ベアトリ―チェに 手をひかれて、
第一の天から 神の座であるといわれた、
第十の天 に引き上げられていく。
第十の天 は、天上高く 位置している。
天の階層を上昇する様子が 神曲 の中では次のように
描かれている。
これは、第八の天界に上ったとき、地球が見えた様を
綴っている場面の描写である:
“わたしは振り向いて、
七つの天球のはるかかなたに、この地球を見たのだが、
その見るも小さな、哀れな様には思わず、
口元がほころんだ”(平川祐弘訳)
さて、ガガーリンは、宇宙へ飛び立った初めての飛行士。
彼は宇宙から帰還して、こう語った。
“天には神はいなかった。
あたりを一所懸命 ぐるぐる見回してみたが、やはり、
神は見当たらなかった。“
このガガーリンの言葉は 共産圏の国から打ち上げられた
宇宙飛行士に 即した 言葉と受け止められた。
無宗教を掲げる 母国の姿勢に妥当なものだったかもしれない。
しかし、キリスト教立国 アメリカでは ガガーリンの
言葉に対して神への冒涜的な言葉という 批評を
免れえなかった。
そのためか、ガガーリンの 宇宙から地球を初めて眺めた
歴史的人物の 言葉としては、もう一つの言葉が 世界的に
知られるようになった。
それが、
“地球は青かった”
というセリフである。
一方、ソ連と対抗して 宇宙競争を繰り広げていたアメリカでは、
ガガーリンの言葉を撤廃すべく、初期の飛行士採用の条件として
以下を規定したという。
1・ キリスト教信者の家庭で育ち、
2・ 白人の男性であること。
3・ 少数民族出身者ではないこと。
だから、アポロ15号の宇宙飛行士 ジム・アーウィンは
そういう意味で適切だった。
彼は、アメリカの 宇宙飛行士 として 十分な面目を
はたすことになる。
月に降りた時、
“神の隣在を感じた”
と明言して、アメリカ人に感銘を与えたのだ。
そして、その言葉が嘘ではなかったことを証明するかのように、
アーウィンは、のちに宇宙飛行士をやめて、キリスト教
伝道者になった。
アーウィン宇宙飛行士の 功績の一つは
月から ジェネシスロック と言われる 46億年前の石 を
持ち帰ったことだといわれている。
それによって、月の基本的構造や地表の環境や、
地球や太陽系の成り立ちに関しての、これまでの仮説
が実証化され、太陽系の天体の解明など大きな貢献を
なしたのだ。
ジェネシス という言葉は ”創世記” という聖書の中
に使われている言葉だ。
きわめて古い地質から発見されたこの石は、天地創造
の神話時代を髣髴(ほうふつ)とさせたに違いない。
アーウィンはその石が発見されたときのことを
次のように語っている:
“それは、月に着いて、3日目だった。
その日の仕事は、岩石の採集だった。・・略・・
われわれは出発前から、地質学者に高地で、
明るい石の岩石を中心的に採集するように言われていた。…略
ラフ・ロードの山道を登っていくと、突然、視界が開けて、
ハドレイ・デルタ山が目の前にそびえたつ高地に出た。・・略
まるでヒマラヤ山脈のようだった。”
こうして、その山にたどり着いて、スロープにある
クレーターへアーウィンは車を走らせる。
あたりを見回して、すぐ、この石が眼に飛び込んできた
という。
太陽の光を受け、きらきらと輝き、これこそ、地質学者
が求めている石であることがすぐわかったと、
アーウィンは述懐している。
立花氏は実際、この宇宙飛行士と対談を試みている。
そこで、アーウィンが語った言葉を 次のように、
著書で引用している。
“彼は宇宙で、月で、神がすぐそこに隣在していること
を実感して、(‘振り向けば、すぐそこにいるのではないか
と思われるくらい、神は近くにいた’という)
回心し、もともと洗礼を受けたクリスチャンであったが、
月から帰ると、もう一度洗礼を受け直し、自分の残りの人生を
神に捧げることを誓ったのである。”
アーヴィンのみならず、神の眼 を持つことが許された、
一握りの宇宙飛行士たちの幾人かは、地球に戻り、
宇宙での 神との対話 や 神の存在の実感を、
実体験の中から、地球の同胞に、語り伝えていく。
*1 宇宙からの帰還 立花 隆 著 中央公論社 1994年版
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