局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

踊りの会を楽しむ

2010-11-12 00:57:57 | 見る(映画 劇場 美術館など)
昨日は半蔵門の国立での藤☆流の先生一門の会に行った。

何度か書いたが、二年に一度のこの会、私の小中高時代の同窓生が踊るのである。

毎度楽しませてもらっているが 今年のはすごかった。

双面水O月(Oは照です)歌舞伎 法界坊の中の一場面を切り取った舞踊劇だった。



隅田川の渡しで、渡し守の御姐さん(甚三の妹おしづ)が船に乗って登場

そこへ要助とお組というカップルがやって来る
法界坊に殺された野分姫の供養の為に、大事に持っていた袱紗を火に投じる。と・・・

お組とそっくりな女性が花道から現れる。



実はこれ、お組をうらやむ野分姫と(要助が好きだったから)、お組に執心だった法界坊の合体した霊なのね。

さて、2人とも自分こそお組と主張。おしづが観音を差し出すと、本性を現した霊。



私の友人は、この中の霊の役だった。ただでさえ突拍子のない設定の難しそうな役である。
最初花道のすっぽんから美女のお組として出てきて 時々本来のお組にからんだり 要助に媚を売ったりしつつも 霊の本性がふとこぼれでたり恨みの目線をおくったり・・・

一転本性を現すと紅蓮の着物と化粧も男の顔に舞台の上で変化する。
お組の時は常磐津の語りがせりふの代わりだったが本性を現した後は 男役として自分でせりふを言う。
45分あまりの渾身の芸。

終わって「すごかったね・・・」「さすが・・・」としか言いようがなかった。初演は十四代目守田勘彌が演じてまったく観客受けせず、これほど難しい役はないと言われたほどの役である。それをここまで「はまって」演じるとはね。

演目が終わったので友人を訪ねて楽屋に行った。

ちょうどカツラも外しておでこの半分から下だけ白塗りという友人は重い衣装に汗だくであった。
「すごかったよ・・・」「OO子じゃなきゃできないね、この役は・・・」と一緒に行った友人たちと褒めたたえた(お世辞じゃなくて良いものを見せてもらったのである)

今回の役作りは本当に大変だったらしい。
「歌舞伎役者でもないし女優でもないのに、ここまで演技する役を与えられて 自分はどういう立場でどこまで演じればいいんだろう?ってすごく悩んだ」そうである。

なんとなくわかる気がする。

妻と母である家庭人としての彼女 踊りの師匠としての役割も持つ彼女 プロの役者が迷いなく芸のことだけに一直線に向かうるのとまたちょっと違う気がする。
その中で二年に一度のこの場に向けて自分の情熱を結集させていく難しさ。

迷いながらも渾身の演技でこれだけの舞台を作り上げた友人を素晴らしいと思った。







コメント
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