陥没部へ古材を立てて表示代わりにした作業を終え時計を見ると11時前だった。帰るには早いし別の作業を行うには昼まで間がない。一輪車に載せた道具はチェーンソー、鳶口、造林鎌、掛矢なので杭打ちと丸太の移動などは可能だが土を掘る作業は出来ない。面倒だったけれど駐車場まで降りてスコップを用意し、まだ不完全な上の池の護岸の残りに手を出してみた。
まずは半端な材でかたずけてしまった護岸部に4mの古材を曳いて運ぶ。長さがあるので木立の間を転がす訳にもいかない。孟宗竹をコロ代わりに使えば曳くのも多少は楽なのだけれどわざわざ伐り出しに行かねばならないので却下。結局は人馬となった老いた曳馬が出現したのだった。あのドン・キホーテの老いたロバ程度の力しかない姥捨て山の曳き馬でも「一寸曳いて荒い息」を続ければ千里の道も終焉に至るのである。
まあ、自らの尻を拭くトホホの手出しなのだったが古材を池に落としてコーナー部を迂回すれば楽に容易に据える位置まで運べるから、今度は「泥沼に足を捕られて沈で泣き」の恐れが出たけれどどっちを選択してもどっちで転んでも小判が見つかる環境ではないのであって「楽を選ぶ」のは人生最適化の表れなのだった。てなもんや三度笠で須田紋太君の助けも借りてようやく据え付けが終わった。ジョレンが無かったので泥盛り不十分なのだが後回しで構わない。オーバーフロー部まで残り4メートル、まだ材はあるから結局は手出しになるだろうなあ、と思いつつ時計を見れば正午を過ぎていた。さすがに腹減って、帰宅すれば13時だし、すぐに喰えるインスタントラーメンでも食べよう。