取水地の応急的復旧は済んだが取水升内の送水管口に陰圧は生じていないし尾根を隔てた吐水口からも水は当然、洩れても来ない。断水の原因は送水管の破断などではなく途中で潰された可能性が高くなった。送水ラインのすべてを検分した訳でも無いけれど管路最低地点の排砂バルブが土砂崩れと流木などで埋まったあたりがトラブルの原因に一番近いと見当をつけてチェーンソーと唐鍬を携え現場の沢に立った。写真は下流部から写したのだが右岸を見上げれば崩落した跡が頭上に在り、崖下は流路になって更に崖をえぐる流れに変わった。
この崖の崩落で右岸にあった送水管が左岸まで押しつけられ、その上に崩れた立ち木と流木が乗っている。この下のどこかで管が潰され断水になったと確信したが掘り出し修復するまでにどれだけの手間暇を要するのか見積もりも出来ない。
積み上がった堆積物は単なる土砂の山なら崩しながら流路に放れば重労働でも単純作業である。しかし実態は斜面の表土内の根がマット状になって土砂と共に積み上がっている。このためツルハシは効かないし唐鍬も入り難い。スコップなどマット状の細根すら断ち切れないのである。鳶口を打ち込み動かそうとしたものの濡れた絨毯と格闘するような有様で非力だった。
どちらにしても崖の上の崩壊部を気にしつつ、足元を掘るしかない現場なのだ。全体の様子を把握するために倒木の間に潜り込み観察したら覆った堆積物の厚さは不均衡で厚い箇所は1m近くはありそうだ。まずはツルハシでマット状の根を引き起し剪定鋸で切り取る事を繰り返して送水管を露わにするしか手が無い様に思える。チェーンソーは砂利交じりの根茎マットでは刃こぼれするだけで、これはこれで被害甚大になる。もう首尾一貫ローテクで行うしかないと腹を括る。
下流側と上流側から堆積体を眺めて埋もれた管路の位置を想定しその上を覆う竹や樹木を排除して何とか作業できる空間を作る。この日はここまでで終わりとしたのだが根株の上に乗ってしまった送水管は折れ潰れて、恐らくここがトラブルの元なのだろう。管の自由度を得たら万力で潰れた両端から押し戻せば戻る可能性も脳裏に浮かんだのだが、最終的には切断し新たな継手で復旧せざるを得ないだろう。
とりあえず目星は付いたので後は粛々と作業を行うだけだ。台風15号による取水升への砂泥流入を予想しあらかじめバルブを閉じて送水管内に土砂の流入を防いだものの沢斜面の表層崩壊で断水の憂き目に遭うとは思っても見なかった。つまりは骨折り損なのだが既に断水して10日余り、解消するまでに要する日時や労力を想うとクラクラしてくる。
断水復旧できなければ水域の環境は保たれないし、そうであれば他をもって代えがたいフイールドの価値は喪失である。とにもかくにも老骨に鞭打つ事にした。
まあ、おいらってMタイプなのかね。昔の洋画に修道院の個室で独り背中に鞭を当てていたシーンを思い出した。シーンも目的も異なるものの壁に面していることは共通だ。更にあっちは強痛、こっちは凶痛である。
われは行く我に鞭打つ崖の下
全くの蛇足で余談なのだが祖母の実家を「崖の下」と呼んでいるのを思い出した。住居は崖の下では無かったのだが大方は住居を移してからも呼び名だけ残っていたのだろうが小生の実家、長兄さえ既に顛末は承知していないだろう。この祖母の家系は小さな山寺の和尚をしていたらしいのだが、その庫裡には祖母のお茶飲みに連れられて度々行ったのを思い出した。何歳ごろなのか分からないが庫裡は崖下に在った。ここが発祥なのだろうか。まあ、ボケ防止の回想療法・・・。
この崖の崩落で右岸にあった送水管が左岸まで押しつけられ、その上に崩れた立ち木と流木が乗っている。この下のどこかで管が潰され断水になったと確信したが掘り出し修復するまでにどれだけの手間暇を要するのか見積もりも出来ない。
積み上がった堆積物は単なる土砂の山なら崩しながら流路に放れば重労働でも単純作業である。しかし実態は斜面の表土内の根がマット状になって土砂と共に積み上がっている。このためツルハシは効かないし唐鍬も入り難い。スコップなどマット状の細根すら断ち切れないのである。鳶口を打ち込み動かそうとしたものの濡れた絨毯と格闘するような有様で非力だった。
どちらにしても崖の上の崩壊部を気にしつつ、足元を掘るしかない現場なのだ。全体の様子を把握するために倒木の間に潜り込み観察したら覆った堆積物の厚さは不均衡で厚い箇所は1m近くはありそうだ。まずはツルハシでマット状の根を引き起し剪定鋸で切り取る事を繰り返して送水管を露わにするしか手が無い様に思える。チェーンソーは砂利交じりの根茎マットでは刃こぼれするだけで、これはこれで被害甚大になる。もう首尾一貫ローテクで行うしかないと腹を括る。
下流側と上流側から堆積体を眺めて埋もれた管路の位置を想定しその上を覆う竹や樹木を排除して何とか作業できる空間を作る。この日はここまでで終わりとしたのだが根株の上に乗ってしまった送水管は折れ潰れて、恐らくここがトラブルの元なのだろう。管の自由度を得たら万力で潰れた両端から押し戻せば戻る可能性も脳裏に浮かんだのだが、最終的には切断し新たな継手で復旧せざるを得ないだろう。
とりあえず目星は付いたので後は粛々と作業を行うだけだ。台風15号による取水升への砂泥流入を予想しあらかじめバルブを閉じて送水管内に土砂の流入を防いだものの沢斜面の表層崩壊で断水の憂き目に遭うとは思っても見なかった。つまりは骨折り損なのだが既に断水して10日余り、解消するまでに要する日時や労力を想うとクラクラしてくる。
断水復旧できなければ水域の環境は保たれないし、そうであれば他をもって代えがたいフイールドの価値は喪失である。とにもかくにも老骨に鞭打つ事にした。
まあ、おいらってMタイプなのかね。昔の洋画に修道院の個室で独り背中に鞭を当てていたシーンを思い出した。シーンも目的も異なるものの壁に面していることは共通だ。更にあっちは強痛、こっちは凶痛である。
われは行く我に鞭打つ崖の下
全くの蛇足で余談なのだが祖母の実家を「崖の下」と呼んでいるのを思い出した。住居は崖の下では無かったのだが大方は住居を移してからも呼び名だけ残っていたのだろうが小生の実家、長兄さえ既に顛末は承知していないだろう。この祖母の家系は小さな山寺の和尚をしていたらしいのだが、その庫裡には祖母のお茶飲みに連れられて度々行ったのを思い出した。何歳ごろなのか分からないが庫裡は崖下に在った。ここが発祥なのだろうか。まあ、ボケ防止の回想療法・・・。