一月や 一日からの山詣で
二月とな 似たり寄ったり山仲間
三月や 三人寄れば孫談義
四月とや 四方見渡す花見かな
五月とや ご苦労様とわらべ言い
六月や ろくろく出れぬ雨の日々
七月や 七面倒な根刈りなり
八月や 発汗すごき刈り払い
九月とな 苦労の果ての群れトンボ
十月や 重々承知猪が喰い
十一月 十に一つも無き余裕
十二月 十二分、動いて痛き腰の暮れ
何日か氷点下になったから凍害を受けていないかと気にしつつ寒風の中、生姜を掘り上げた。地表すれすれに根塊が育っていたけれど大丈夫だった。品種は大生姜の「お多福」である。
ホームセンターで残った一袋500グラムを購入して植えつけたのだ。生姜もその都度購入するのも高くつくし、冬に惜しみなく使いたかったからである。ほとんど捨て作りで世話もせず、草の中に埋もれて冬を迎えさせてしまったけれど、収穫は5kg超で、一番大きい根塊は550gだった。
種生姜から10倍に増えた勘定だけど、土壌や施肥などを改善すればもっと収穫できたのだと思えた。それでも、生姜ジャム、生姜シロップと、この冬は生姜を惜しみなく使って楽しめそうで「余はまんぞくじゃ!」
まだ暗き戸障子引けば窓からの冷気押し込む我が温き床
冬至ともなればアカネは消え失せて水辺寂しきはや日暮れなり
汗も出ぬ冷えの激しき谷あいの竹伐りすれば冬の陽届く
人の気は我だけなれば冬の森メジロのつがい餌をとりつゆく
栗の木の樹勢の衰えが顕著になってきた。土壌が粘土質で薄いことも老化を早めているのだろうが、もう手を加えないとどうにもならないところに来ている。腐朽菌にも侵され、多くの枝を失い樹形も乱れてしまった。
萌芽更新で剪定する時期としては節分以降が良いと聞くが、年内は軽作業で腰を休ませるために処理してしまった。全部で5本切除したのだけれど、枝を落とされた木をみて、隣のキッチンで子供たちと遊んでいたたママさんグループは疑問点だらけだったようで、質問攻めにあってしまった。数年は栗拾いは出来ないし、おちびちゃん達が登って遊ぶ木には、根本も踏み固められない様にロープを張られてしまうし、「一大事!」とでも思ったのだろう。
「病木・更新・養生・入院中」の単語で理解したようだった。世界が異なるとコミニュケーションも工夫がいる。
ミニトマトの定植の応援に行って一週間目、ようやく内股の痛みが消え、階段の上り下り、腰の上げ下ろしが楽になった。
農園主のT氏から植え込み本数をメールで知らせてきた。1日目6人で1533本、二日目9人で1743本、合計3276本を定植した。
一本当たりの所要時間は二日間の平均で70秒前後になる。二日目のほうが平均20秒近く短縮されていたけれど、これは二日目の作業に当たった6人の習熟度によるものと判断。これくらいの自画自賛・我田引水は許されるだろう。
こんな数値に特別な意味はないものの、それは別として作業者の年齢は63歳から74歳までで、平均年齢は68歳。これでは高齢者の営農状態そのものである。「だからどうした?」と言われても困るけれど…。まあ、農家生まれの小生としては、久しぶりに限界まで農作業をした…そんなところである。
援農に出かけている間に留守録が二つ入っていた。ケータイはフイールドに行くときしか電源を入れない。「拠点のキッチンを使わせて欲しい」との内容だったが、連絡が取れたのは当日の朝になった。
5組ほどの母子が集まってケーキ作りと鍋物でクリスマス会を行うとのことで、昼近くにはケーキにデコレーションをしていた。冬イチゴを飾りたかったらしいのだけれど、もう旬は過ぎ、良い果実は残っていない。
それでも、子ども達はキッチンでままごとをして、次は本物に手を出している。この時ばかりは声も出さない。出来上がりを見ないで車に戻ったのだが、千歳一隅の機会だと思い直し、引き返して1枚撮影させてもらった。「ブログに乗せるから」との申し出にも快く了承してくれた。
部外者の小生としては至近距離で撮影できる機会はそうはないが、表情まで撮影できないのが惜しい。
雪の朝ニの字ニの字の下駄の跡 捨女
霜の朝うの字うの字の散歩人
久しぶり切れ痔切れ痔の彼岸花
亀さんはうなじうなじと振り返り
テレビ見つ掃除掃除と師走なり
年度末工事工事はお約束
援農の帰り道、立ち寄った乾物店で「鮭の皮」半身分をいただいた。焼こうか煮ようかと思いつつ、安直にフライパンで炒めてみた。やっぱり油分がきつく小生にはお気に召さない。ウナギのかば焼きのようで美味しかったのは間違いないのだが…。
短冊に切りオリーブオイル少々で炒め、すりおろした生姜と「つゆの素」で味付けをする。出来上がりに黒コショウを振ったが、生姜と黒コショウの相性は悪くない。熱いうちの柔らかさより冷えて弾力の出てきた方が美味しいと感じた。
残りの半分は湯でこぼしをし、フィールドから収穫したてのシイタケとポン酢しょうゆで食べてみた。シイタケはレンジで加熱してから湯切りした皮と合わせたのだが、とちらもおいしい。小生的には、こちらのほうが嗜好に合うし、年代を考慮しても、ヘルシーな後者に軍配があがる。
いわゆるグルメとかご馳走とかとは程遠い一品だけれど、そういうものより、こういうものが美味しく思える田舎育ちの小生である。
火中の栗を拾えぬ奴が
平時に役立つはずもない ハア コリャコリャ
泥鰌担いだイナっ子だけど
潮が下がれば海に落つ ハア コリャコリャ
ようやく消えたイナゴの群れの
後を引き継ぐ飛びバッタ ハア コリャコリャ
山のあなたの炉は遠く
みんなあなたを忘れてる ハア コリャコリャ
山のあなたの炉は遠く
災い吹くと史は言う ハア コリャコリャ