大寒波車も止まる猛吹雪悲報に走る臨終の床
義兄の身は内憂内患内戦の戦士を終えて旅立てるなり
雪の郷縁遠ければ着る服の間に合うもなく列車で向かう
雪の夜は音も聞こえず冷えつのる義兄小さき棺に静か
哀しくも懐かしくあり義兄送る最強寒波豪雪の中
鉛色雪の空色懐かしく零度の道をお斎に向かう
仮植えのまま放置されていたヤマモモの苗木を譲ってもらい6本植えつけた。近日中にも35本ほどの苗木が届くから、その予行演習みたいなものである。
苗を植えると早ければ夜に掘り返される。言わずと知れたイノシシの仕業なのだが、「目ざとい」と言うか「鼻が利く」というべきか怒りの矛先がない仕業なのだ。
そこで無い知恵を絞りクレオソート丸薬や粒状の殺虫剤を根元に散らして置くようにした。それを行ってからは被害に遭わない。今回も粒状の殺虫剤をパラパラと散らしたが数日は見回りが必要だ。
小生、今日植えたヤマモモの実を賞味できるかどうかの保証はない世代になったが、育樹や育林なんて、どの世代でも似たようなものであろう。
さえずりの消えて幾日凍て帰る
冴え返る昼立って喰う日向かな
鼻水で皮手袋は冷たかり
地下足袋のやるせなきなり指の冷え
かじかめば至福の温み紙コップ
浸食溝を埋め戻すための土を掘り取っていたら蝉の幼虫を掘り出してしまった。林道を作るときに削り落とした山土と礫の中にいるはずもないと思っていた生物である。周囲に木はなく、当然根は草本の物だけである。草の根でも栄養を摂れるのだろうか気になった。
生命維持できるかどうか心もとないが、近くの桜の根元に埋めた。一匹は掘り返した圧力で右眼が破れて液体が出ている。生存できるとは思えなかったが、これも埋め戻した。夏の頃に見る蝉の幼虫の眼は白濁していないように記憶していたが、今回は白濁している。
まあ、地中生活だし視力は必要ないから、完成途上なのかもしれないが、ちょっと不気味だった。それはともかく、意図したことではないものの「ごめんなさい!」と言うしかない。殺生をしないで作業を行える事は、まず無いのだ。
浸食溝埋め戻しの3裂目が終わった。土の量が足りなかったから、棚田跡を平らには出来なかったが、とりあえず危険回避と刈り払い作業が容易になる。
溝を埋めたことで、日の当たる部分に復元した棚田を広げられる事が出来るが、担当グループの意向を聞かねばならない。小生らのグループの管理区域ではないものの、下段の泥水地と無関係ではない部分だから、ある程度一体として環境形成や手入れができるようにしたい。
基本的なことは了解を得ているけれど、実際に作業し構築するとなると確認しておかねばならないだろう。お隣さんだけに、かの国のような言動で対応は出来るわけもないのだ。
浸食溝を埋めたことで、広い面積が有効利用できる。小生らのグループで使える訳ではないが、取り敢えず刈り払いの手出しは可能なので、全体としてすっきりとするだろう。
太平洋側に雪をもたらした低気圧が去った翌日、晴天だったが気温は低くなった。そんな中、フイールドにやってきたボクちゃんは泥遊びにはまっている。心は春に違いない。
午後も遅い時間で、風もさらに冷たさを増しているのに気にもしない。近くで見守るママも余計なことを言わない。普通なら「ダメダメ、汚い」「汚れるでしょっ!」と言われている場面だが、遊びに興じている幼子を見ている小生も幸せな時間だった。
気温は低くても真冬の頃と異なり、ここに日差しが戻ってきて、枯草に目を凝らせばオオバコやスズメノテッポウなどの野草も芽を出している。春到来をいち早く感じ泥遊びなんて、幼児期にしかできない貴重な時間だ。
それができるのも、辛抱強く見守る賢いママがいるお蔭でもある。この子ども達が泥水地に飛び込む日もそう遠くない。思ったことは、「春は名のみの風の寒さや」なんて感覚は、理屈で整えたい大人の感覚に違いない…と言う事。
初日見に明けの山道月の道久しぶりなり明星を見る
孫のため初日詣でに山のぼる暗き山道爺禊ぎ道
初夢は昼より見たり大陸の果てに住まいし孫の顔見に
歳満ちて残り手足の指のうち孫の顔見て思い新たに
発酵学の権威、小泉博士のレシピで、酒粕と味噌の「香寿漬け」は重宝しているが、雨の続く日々、退屈しのぎに読み返した月刊誌の記事に着想を得て、「菌漬け」を作ってみた。
「えひめAI」は、知る人ぞ知る「菌活力エキス」なのだが、これを農事でなく家事に流用してみたのである。その作用から、味に貢献するとは考えなかったが、多量の菌生成物を摂取するには最適ではなかろうか、が小生の独断と偏見で得た結論だ。
材料の混合比は作成者により幅があったので、平均値を選び、解く水は「昆布出し汁」を使い、糖分は黒糖を使用しミネラルの含有量を上げた。これは菌類の活性を図るためだ。通常は保温し発効促進をするのだが、室温放置で低温発酵させた。効用狙いというより発酵を眺めるためである。
数日間の発酵が終わり、その液を「香寿漬け」の床に撹拌した。冷蔵庫にあったアスパラガスを埋めて3日、取り出して食べてみた。「えひめAI原液」を加えた反映は感じなかったけれど、自己満足には寄与した。
雨水も過ぎ、幼樹の植え込みをしなければならない日々が続くから、気分だけでも「菌パワー」を頂くことにする。ちなみに今回の床には、糀菌、酵母菌、乳酸菌、納豆菌などの共生関係で産出された有用成分がいっぱい詰まっているはず…。
「鰯の頭も信心から」とか、信じる者は救われる?!。
昨年、ミニトマトの定植に行ったハウスの生育状況が写真付きで送られてきた。
自分で植えた苗かどうか不明だけれど、定植1ヶ月頃のメールでは「すべてが活着し花もついてきた」とあったから順調なのであろう。この冬の時期、園主のT氏は温度管理にてんてこ舞いの日々だったろうが、今回のメールでは「晴れの日は室温が30度を超える」とあって、これはこれで大変な作業環境である。
3月に入れば収穫が始まるだろうが、小生らの出番は、この作が終了し夏期に行う定植作業まで無い。ハウスの天窓全開でも30度を超える環境での作業が待っているが、さて、どうなる事やら。何に寄らず、プロの道は厳しい。
それはともかく、作業の後の「温泉泊」が唯一の楽しみ…。
黄砂かと思えば時雨の含み風
風花よなれは故郷通ったか
雪雲の寄せて時雨れる山の腹
風花を受けたたたずむ顔上げて
時雨れればさえずりも消ゆ風の花
パレット8枚を並べて作ったステージも、板の劣化が目立つようになり、踏み割れた個所が出てきた。何とか板材がそろったので改修をする。日差しはあったものの、風の強い一日で周囲の梢は音を立てているが、人の気配は小生だけだった。
パレットを外し丸太の骨組みを露出させる。板の長さは、この長さに合うのだが、それでは荷重を支えられない。桁材が必要だけれど、必要な本数に足りない。結局は、サイズの異なる部材を組み合し張り終えた。
いつものことだけれど、計画性の無い「成り行き任せ」の作業だったが、終わりが良ければそれでいいのだ。作業の片づけをしていたら幼児を先頭に両親と祖父母らしい一行が来た。おちびちゃんのグループに参加しているようで勝手が良い。おおかた、遊びの場所を夫や両親に見せたかったのだろう。
二歳になったかどうかの児は、ずんずんと進みステージに上がる。板の上で飛び跳ねたり、木の周りを回ったりしている。祖父母は「木の香りって良いわねえ」なんて言う声が聞こえてきたが、小生、作業中に香りは感じなかったけれど、寒くて終わりは微笑ましい日だった。