贅沢は無理、今更ながら体裁ぶっても始まらぬ。「インスタ映え」など思慮の外である認知症適齢期では食べた献立など思い出せるはずもなく、ショートする回路に接点復活剤を用いて記憶を引き出してみたのだが、なんと献立なんて無かったのであった。あるものを口に入るように加熱し胃袋に収まれば「しあわせ~」な日々の人生になってしまっていた。まあ、ほとんど「年越し屋台村」に近い。
シロヒラタケが二度目の「萌え~」となり採集してきたものの野菜庫にはまだヒラタケがある。シロヒラタケは色が変われば目立つので早々に食してみたいのだが調理を思いつかない。無人販売で100円の大根を調達して「白繋がり」で思案した。「そうだカレーで行こう!」てなところでさっそく煮込んでルウを入れた。パウダー状のルウの賞味期限は9月末日で終わっている。これは農協の昨年暮れのサービス品だったのだけれど自分の口に入れるものであるから「自分が良ければ全てよし」で弱火で煮込んでみる。そういえば今期は粗品もカレンダーも来ていない。負ケーキに違いない。おいらも景気は口に入らなかった・・・。
出来上がりはカレー風、あるいはカレースープ風?とどちらとも言えない雰囲気がある。なにせジャガイモやニンジンなどは一欠けらも入ってはいない代物でヒラタケに大根、その大根は皮むきしていないし豚肉少々、が材料なのだ。豚肉を入れたのは「高齢者にもたんぱく質が必要」とか「寒さにはビタミンB1が大切」なんて予断が入っているためだった。早い話、ヒラタケと大根のスパイス煮込みみたいなもんか・・・。
炊飯器には朝のご飯が入っていたけれど、クリスマスでもあったから洋風にバターレーズンパンを浸して食してみる。意外とおいしかったので普段はしないパンなしでお替り1杯進めてしまった。スープ風であるようなルウ風であるような、なんとも「ケッタイや」と言われかねない一食だったものの、誰も見てはいないから大丈夫大丈夫・・・。
「3秒ルール」ならぬ「3分ルール」の早食いでも加齢の速度は世間様と同じ。「もういくつ寝るとお正月 お正月にはタコ喰って老い腰伸ばして休みましょ・・・」なんて歌ったところで少年期のような心騒ぐ心境は出てこない。「加齢にしてね神さん!」は願い下げたいけれど縄文人血筋の小生としてはたまのカレーは楽しみだし美味しい。また「カレーにしてね爺さん!」と呼びかける自分がいたが、結局は加齢が先に来る。「目出度くもあり目出度くも無し」の心境、よーく判る年齢になってしまった。