偏執狂とでも言われるのだろうか、それとも「病膏肓に入る」とさげすまれるのか、しかし当人は満面の笑みで上げ澄ましている。その上「泳ぐコブダイ」が完成もしないうちの「ビビビッ!」とテラノサウルスが脚を運びながら尾を振り振り頭部も振り振り口パクパクのアイデアが降臨してしまったのである。あの大好きなテレビアニメの主題歌にある「幸せの予感」が充満してしまった。こうなると姥捨て山へセルフデイサービスなどそっちのけでコブダイを始末せなばならない。やはり病気なのだった。しばらくは封印し自粛しないと姥捨て山が崩壊しかねない。
この日、刈り払いの心づもりはあったのだが曇天で午後から降雨の予報を幸いに朝食もそこそこで完成を目指してようやく午後五時前に全てを終えたので祝着至極である。で今日も粗食だった。
コブダイの材料が無くて古いバタ板を切断してみたら表面は劣化しているものの使えそうなので拠点で材の大きさに切って用意できた板材にまずは形を写さねばならない。下絵の下にカーボン紙を挟んで切断線を入れた。軸穴を穿ってから糸のこ盤でピースに分離し軸を通してからサンダーで背と腹の成形をする。この作業は粉塵が多く発生するので自宅縁台では行い難い。出来るだけ拠点道具小屋の発電機を利用しての粉塵発生作業を心掛ける。体型が安堵すれば蝶番の調整であるがここまで電動サンダーの出番で更に細かい調整は自宅縁台でもOKである。
軸は百均の竹の箸であ。この工作には重宝しているのだ。軸を入れて左右の動きを出していく。最初は電動サンダーで粗取りしてからヤスリと回転の遅い刃研ぎサンダーで修正するのだが「これで良いだろう」まで達したらカーボン紙を挟んで動かし「当たり」を削る。この手間も半端無いものの、これを行うのと行わないのでは動きの滑らかさが格段に異なる。
このやり方は機械摺動部の仕上げ作業の模倣だ。ベンガラを塗った定盤を基準に仕上げる部分を擦り当ててベンガラが付着した部分をキサゲと言う工具で削り取る。一回で百分の1mm程度なのだが仕上がった摺動面はこの模様で大変美しい。研磨仕上げより好きである。
厚板からピースにした段階と成形し動きが仕上がった段階の二回、ボンド溶液を筆で全体に塗布した。と言うのも杉の古材なので、それでなくとも割れやすい杉材の弱点を解消するためである。ボンド溶液を吸わせ乾燥させておけば木目がパリパリと割れていく弱点はいくらか克服可能だ。写真、ピースの市松模様に見える部材の上下を繋ぐ肉厚は10mm未満で、構造上「裂く力」は常時負荷となっているし、新材でもスギではおっつけ木目から裂ける羽目になるのだ。
台座も新しく作成した。今回の台座で二桁目になるだろうがそれなりに小さな変更をしてきた。前回分は左利き用の台座を作ったのだが、考えてみれば操作台の長さを座板いっぱいに広げれば右利き左利き関係なく使えるのだった。このための用材が無く廃材の活かせる部分から切り出したから凸型になって、その分ハンドルを下げねばならず少し窮屈になってしまったのはしょうもない。
今回の魚体はアクリル絵の具で塗装した。木工ボンドを滲み込ませた魚体なので荏胡麻油仕上げでは浸透性が阻害されるし多少は遊んでみたくての色付けなのだ。色彩を観れば「やっぱり病気じゃぁ!」と言われるだろうが武士の一分、覚悟の上である。急いだ結果「やってしまった!」と後悔先に立たずの点が出た。ヒレの線を入れるのに油性ペンで描けば綺麗に仕上がっただろうに彩色を急ぎドライヤーで乾燥させつつそのまま面相筆で線引きしたのだ。その上、背びれの半分は筋の入れ方が逆だった。組み上がってから気が付いたのだが既に「わっぱか気分」で無修正。面相筆で細い線を綺麗に引くのは難しく「辛抱も筆の誤り」で一件破綻。クソクソ空疎。
古巣に収めての後日談、「泳ぐ魚」は既に錦鯉が渡っているのだが、コブダイは新作人気だとかで展示台に戻ってこないのだとか。それは良いとして今回の動く玩具のプレゼントで展示台の狭さが気になってきた。廃棄材を仕分けすれば台のひとつは出来そうな気もするし…さて、どうしよう。

この日、刈り払いの心づもりはあったのだが曇天で午後から降雨の予報を幸いに朝食もそこそこで完成を目指してようやく午後五時前に全てを終えたので祝着至極である。で今日も粗食だった。


このやり方は機械摺動部の仕上げ作業の模倣だ。ベンガラを塗った定盤を基準に仕上げる部分を擦り当ててベンガラが付着した部分をキサゲと言う工具で削り取る。一回で百分の1mm程度なのだが仕上がった摺動面はこの模様で大変美しい。研磨仕上げより好きである。


今回の魚体はアクリル絵の具で塗装した。木工ボンドを滲み込ませた魚体なので荏胡麻油仕上げでは浸透性が阻害されるし多少は遊んでみたくての色付けなのだ。色彩を観れば「やっぱり病気じゃぁ!」と言われるだろうが武士の一分、覚悟の上である。急いだ結果「やってしまった!」と後悔先に立たずの点が出た。ヒレの線を入れるのに油性ペンで描けば綺麗に仕上がっただろうに彩色を急ぎドライヤーで乾燥させつつそのまま面相筆で線引きしたのだ。その上、背びれの半分は筋の入れ方が逆だった。組み上がってから気が付いたのだが既に「わっぱか気分」で無修正。面相筆で細い線を綺麗に引くのは難しく「辛抱も筆の誤り」で一件破綻。クソクソ空疎。
古巣に収めての後日談、「泳ぐ魚」は既に錦鯉が渡っているのだが、コブダイは新作人気だとかで展示台に戻ってこないのだとか。それは良いとして今回の動く玩具のプレゼントで展示台の狭さが気になってきた。廃棄材を仕分けすれば台のひとつは出来そうな気もするし…さて、どうしよう。
