庭の池のタナゴ、先日には越冬先から二枚貝を戻したから貝の潜っているあたりで群れている姿を見る事が普通になった。箱眼鏡で魚群を確認しても産卵管は見えないから産卵した気遣いはないものの繁殖期に特有なオスの婚姻色は現れて来た。今期の繁殖をどうしようかと考えて「今期は池の中での自然繁殖」に挑戦する事にしたのだ。
少年時代、ガサガサを行なえばタナゴやドジョウ、鮒など普通に捕獲できたし田植えや稲刈りを終え帰宅する前の小川で手足を洗うついでにカラスガイやシジミは持ち帰って夕食の汁に入れたりもしていた。それがパラチオンやホリドールなどの有機水銀系農薬の登場で激減し、そこに除草剤の登場で水域の生物は皆無となった。
この時期、故郷を想じれば田植えの真っ最中で見渡す限りの水田が続くけれど、そこには生物はおらず植生はツギツギ(スギナ)だけが青々と茂っているだけで、当然トンボも飛ばずツバメも消えている。あの名著「沈黙の春」そのままのライス工場なのである。
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無駄口はほどほどに構想の手順として稚魚が吸い込まれ絶滅収容所と化す「ウオータークリーナー」を外した。二枚貝の採餌のためには水流は必須なのだが三カ所の曝気で水流と溶存酸素を確保する事にした。稚魚が共食いされるリスクを減らすためにシェルターも必要なのだが、これは数年前から池に入れてある中に水草を入れた目の大きい生簀を使う。親魚のサイズでは通り抜け出来ないものの稚魚なら十分通過できる10mm格子だ。
水草は金魚藻などだとカワニナの食害で消えてしまうしオオカナダモは地域の排水路にあるけれど今回はヒシにしようかホテイソウにしようか迷った末にホテイソウを選択。ヒシなら水底から水中根を伸ばして水面から水底までシェルターを形成してくれるように思ったものの稚魚は表層で生活するように思えてホテイソウを選んだのだ。
この設えで上手くいくかどうかは皆目不明だけれど「タナゴ釣り仕掛け」は購入済みで繁殖がうまくいかなければ数匹調達したい。池の個体の繁殖能力劣化も考えられるからである。