ウリパパの日記

自由気ままに・・・

魯山人の宇宙(八王子夢美術館)

2009-10-11 22:38:57 | 展覧会
昨日、八王子へ自転車で出かけた帰り、八日町にある八王子夢美術館で開催されている展覧会”魯山人の宇宙”を見てきました。私が住んでいるマンションの掲示板にパンフレットが掲示されていたので、何となく気になっていたのです。

北大路魯山人。名前は良く聞きます。最近では「料理の鉄人」というフジテレビの番組で"魯山人の愛弟子"と紹介されていた審査員(平野雅章)が印象に残っています。魯山人は今年が丁度没後50年にあたるらしく、各地で様々な催しが開催されています。夢美術館での展覧会もその一環のようです。

説明によると、魯山人は陶芸や書、絵画、漆芸など幅広い分野で伝統に学びつつ斬新で個性的な作品を生み出した芸術家で、食通としても名前が知られています。特に陶芸においては料理と食の調和を求めた魅力溢れる作品を生み出し、この展覧会ではアメリカ・サンディエゴから里帰りしたカワシマ・コレクションを中心に数多くの秘蔵の名品が展示されています。

私は陶芸の世界は素人で良く分かりませんが、繊細かと思えば斬新で大胆な作品もあり、見ていて飽きませんでした。交友関係も広く、イサム・ノグチやシャガール、ピカソとも親交があったとのこと。

展覧会の様子は、八王子夢美術館のHPを参照下さい。
 http://www.yumebi.com/



帰りに、甲州街道沿いでちょっと面白い店を発見。染料や化学工業薬品を扱う「橋本要助商店」です。店内ではビーカーやリトマス紙なども販売していますが、人目を引くのは店頭に飾られているストーンアートです。テレビでも紹介されたみたいです。
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トリノ・エジプト展

2009-09-12 14:18:06 | 展覧会
今週木曜日、上野の東京都美術館で開催されている「トリノ・エジプト展」を見学してきました。お目当ては、門外不出のツタンカーメン王の石像「アメン神とツタンカーメン王の像」。平日ということもあり比較的空いていて、じっくり楽しむことができました。

何故イタリアにエジプトの遺産が? 
イタリアのトリノはサボイア家のサルデーニャ王国の都として栄え、1861年から3年あまりイタリア統一後初の首都がここに置かれました。ナポレオンのエジプト遠征に従軍しフランスのエジプト総領事となったベルナルディーノ・ドロヴェッティがエジプトで収集したコレクションが、サルデーニャ王国によって購入され、現在のトリノ・エジプト博物館の中核となったそうです。ドロヴェッティの収集品には数多くの彫像やパピルス文書など貴重な作品が多数含まれています。

今回のトリノ・エジプト展には、大型彫像やミイラ、彩色木棺、死者の書、パピルス文書、ステラ(石碑)など、1824年の博物館設立以来、館内ですら動かされたことがない作品を含む選りすぐりの名品約120点が日本で初公開されています。

彫刻ギャラリーでは、照明や鏡を駆使した演出により数々の彫像が浮び上がっています。「アメン神とツタンカーメン王の像」は王よりもテーベの主神アメンのほうが大きく表現されています。そして王はアメン神の肩を抱いているのですが、アメン神は王に触れていない。これらはアメン神に対するツタンカーメン王の従属関係が示されているとのこと・・・
金属光沢のある石材から作られた「イビの石製人型棺の蓋」は高さ2m近くにもなります。「オシリス神をかたどった王の巨像頭部」は頭部(立像の一部)だけで1.5mの大きさで、当時神殿に建てられていた姿は想像を絶するスケールだったに違いありません。ライオン頭のセクメト女神の石像も印象に残っています。

彫像のほかにもヒエログリフが刻まれた石碑、木棺、石棺、ミイラなど古代エジプト文明に触れることができました。このトリノ・エジプト展は東京では10月4日まで開催され、仙台、福岡、神戸、静岡と約1年かけて日本国内を巡回します。

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大理石モザイク教室作品展

2009-08-30 21:48:45 | 展覧会
モザイク画を趣味にしている会社の友人から作品展の案内ハガキをもらいました。夏休み最後の休日となった今日、息子を連れて表参道まで作品展を見に行ってきました。

表参道の裏通りにある「gallery 5610」で作品展は開催されています。"スタジオモザイコ"という大理石モザイク教室の生徒さんの作品展で、先週金曜日の朝日新聞の夕刊にも紹介されていました。作品のほうは、どれもこれも手間隙かけた力作ばかり。とっても見応えありました。大理石というとピカピカに磨かれた建物の内装や、ギリシャ・ローマの荘厳な建造物を思い出しますが、大理石の破片を丹念に組み合わせて作られたモザイク画は石の持つ暖かさを感じさせてくれます。沢山写真を撮ってきたので作品を紹介したいところですが、著作権の問題があるので・・・

比較的空いている午前中に行ったのが大正解で、教室の関係者がモザイク画の魅力についていろいろと説明してくれました。ここでは数トンもの大理石を直接イタリアから輸入し、それを丹念にハンマーで細かく砕いてモザイク画の材料としているそうです。小さくカットした色や形の異なる破片から1m近くにもなる大きな作品を完成させるには1年以上もかかることがあり、本当に根気が要りますね。


展示場には石割台があり、ハンマーでの大理石割りを体験できます。予想通り息子が夢中になってしまい、1時間近く石割職人をやってました。淡い褐色系の石は比較的脆くて化石を含んでいるらしく、途中から息子は化石探しに専念。作品展に子供が来ること自体が珍しいのか、途中から先生もいろいろアドバイスしてくれて、"次回、石が入荷したら石割りのアルバイトに来ないか" と真面目に?誘われてしまいました。前回の展覧会では、子供向けにモザイク画作成の体験コーナーもあったそうです。

さて、楽しみにしていた友人の作品は三部作共にとっても繊細。ところによっては1mm近い大きさのピースを丹念に組み合わせてあります。印象に残る素敵な作品でした。

作品展は9月6日まで開催されています(9月2日は休館)。作品展で頂いたしおりにスタジオモザイコのHPが掲載されていたので、参考に紹介します。HPでは作品展の案内やモザイク画の世界が紹介されています。

参考) STUDIO MOSAICO HP
http://www.studiomosaico.net/
   
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阿修羅展に行ってきました

2009-05-30 16:00:48 | 展覧会
東京国立博物館平成館で開催されている「国宝 阿修羅展」を見てきました。日本の貴重な明宝が興福寺から持ち出されて一挙に展示される機会など滅多にありません。東京での開催期間が6月7日までと迫る中、是非とも見ておこうと思い、昨日午後休暇を取得して出かけてきました。午後2時前に到着したときは待ち時間40分と表示されていましたが、実際は25分程度で館内へ入場。

西暦710年の平城遷都に伴い興福寺が建立され、2010年には創建1300年を迎えます。それを記念した事業の一環として今回の東京での展覧会が催されています。展示品は、

   第1章 興福寺創建と中金堂鎮壇具(第1会場)
   第2章 国宝 阿修羅とその世界 (第1会場) 
   第3章 中金堂再建と仏像    (第2会場)

で構成。仏像や工芸品の数々を通し改めて日本の素晴らしい仏教文化に触れ、感動の連続でした。

第1章では興福寺創建時の鎮壇具と推定される数々の出土品がガラスケース内に展示されています。中金堂鎮壇具全てが国宝とのこと。金銅大盤や銀鋺、水晶念珠玉、ガラス玉、延金などビックリするほど多数の工芸品が並べられ、日本最古の通貨である和同開珎も初めて見ることができます。

第2章は本展覧会の目玉で、ここでもほとんどの展示品が国宝。まずは法隆寺から特別出品された "阿弥陀三尊像及び厨子(伝橘夫人念持仏)" と "華原馨"。美しさと技巧の素晴らしさに見入ってしまいました。次の"十大弟子"と"八部衆"のゾーンでは、巨大な会場に5体の十大弟子と四体の八部衆が向かい合って展示されています。頭部のみのガラスケースに収められた"五部浄"を除き、全てが露出展示され、前から横から間近にじっくりと観察できます。十大弟子はお釈迦様に仕えた優秀な弟子達。八部衆は釈迦の誓願を守護する8種の神々を総称し、もとは古代インドの神々だそうです。興福寺の"十大弟子"、 "八部衆"、"華原馨"は、光明皇后が734年に亡き母の一周忌供養のためわずか一年で造らせたもので、当時の技術力の高さに驚愕しました。八部衆の中で印象に残った”迦楼羅(カルラ)”は人身鳥頭の異形の姿。ガルーダという悪竜を食べる鳥頭の神とのことです。

八部衆の中で阿修羅像のみが別室で露出展示され、こちらは全方向360度拝むことができます。でも物凄い人込み。時計回りに渦を巻いて観察するのですが中央に行くほど身動きとれずに大変・・・先日NHKで放映されていましたが、前評判通りの素晴らしさでしたね。3つの顔と6本の腕をもち、微かに眉をひそめ苦悩の影が滲んだ少年のような表情が印象的。よく見ると鼻に穴がありません。左右の顔も戸惑いや苦悩の表情。八部衆の中では、阿修羅像のみが鎧のような衣装ではなく、軽めでモダン?な衣装なのは何故?

大混雑の会場を後にし、階段・ロビーをはさんで反対側の第2会場では鎌倉時代の復興期に作られた仏像がそびえたっています。どれも重要文化財に指定。四天王立像や薬王・薬上菩薩立像は巨大で鎌倉時代ならではの力強さ感じます。運慶の作といわれる釈迦如来像頭部も展示されています。

会場は一方通行ですが、第1会場と第2会場を自由に行き来できるため、通常の展覧会のように一度見たら終わりということもなく、何度も同じコーナーに足を運ぶことができるのが嬉しいです。放映されているビデオや案内書を見ては、再度会場を訪れてみて新たな発見をするということもあり、あれこれ2時間半近く阿修羅展を堪能してきました。

さて阿修羅展を見ていたら時間はすでに16時30分。夕方から友人と飲み会があるので、少し不忍池を散策してから帰ることにしました。ちょうど皐月展が開催され、丹精込めた見事な作品が展示されていました。 


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ルーブル美術館展

2009-05-02 13:07:58 | 展覧会
先月30日、上野の国立西洋美術館で開催されているルーブル美術館展-17世紀ヨーロッパ絵画-を見てきました。好天に恵まれ人出も多く入館に行列ができるほどで、待ち時間10分の入場制限がかかっていました。

展覧会では17世紀のヨーロッパ絵画を、1)「黄金の世紀」とその影の領域、2)旅行と「科学革命」、3)「聖人の世紀」、古代の継承者? と3つのテーマに分けて展示されています。

まずは黄金の世紀。レンブラントの「縁なし帽をかぶり、金の鎖をつけた自画像」とフェルメールの「レースを編む女」が必見。レンブラント27才の自画像は、顔の皴が鮮明で予想外に老けて見え、表現を変えれば貴族社会で生きていくための風貌が感じられました。自画像の横に展示されているフランス・ハルスの「リュートを持つ道化師」もインパクトあります。

フェルメールはとても小さな絵ですね。それだけにレース編みに熱中する女性の姿が一枚の絵に凝縮されています。聖書を傍らに置き、何を思いレース編みに夢中になっているだろう・・・ 大混雑の中、皆さん小さな絵を覗き込んで鑑賞していました。聖書と推定されている書物や、画面左手の赤と白の糸など、事前のパネル解説がとても役に立ちました。
フェルメールと同部屋の反対側に展示されているル・ナン兄弟の「農民の家族」も衝撃的で、陰と光のコントラストによって6人の登場人物の表情が浮び上がっています。貴族階級とは対照的な陰の領域が感じ取れます。

続く旅行と科学革命のコーナーでは、大航海時代がキーワードです。イタリアの影響をうけたルーベンスの「ユノに欺かれるイクシオン」では雲でつくられた偽のユノを誘惑するイクシオンとそれを見届けて旅立とうとする本物のユノが大きなカンヴァスに描かれています。このコーナーで私が一番印象に残ったのは、クロード・ロランの「クリュセイスを父親のもとに返すオデュッセウス」。題材はギリシャ神話を題材にしたホメロスの「イリアス」です。古代の宮殿と大航海時代の船のミスマッチ。そして金色に輝く空と、船と宮殿の間から差し込む一筋の光。光の筋は何を意味しているのであろう・・

最後の聖人の世紀のキーワードは聖人信仰の復活でしょうか。中でもジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「大工ヨセフ」が印象に残っています。幼いキリストの持つ蝋燭に照らされた養父ヨセフの眼差し。ヨセフが穴をあけている角材がイエスの将来を暗示しているかのようでした。

今回の展覧会でも音声ガイドを利用しました。ヘンデル、ダングルベール、パッヘルベル、ヴィヴァルディなどバロック時代の名曲と共に中尾彬さんの解説に耳を傾けると、絵画の理解が深まります。フランス・フランケンの「キリストの受難」で用いられたマタイ受難曲は効果的でした。

あれこれ1時間30分かけて71点の展示作品を堪能してきました。


帰りに、東照宮ボタン苑で春のボタン祭りが開催されていたのでちょこっと見学。すでにピークは過ぎていましたが、初夏の訪れを告げる色とりどりのボタンが咲き誇っていました。







見事なものです。丹精に育てられた花々に拍手。

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フェルメール展

2008-10-03 00:07:09 | 展覧会
一昨日、東京都美術館で開催されている「フェルメール展~光の天才画家とデルフトの巨匠達」を見てきました。訪れたのは都民の日。学校も休みなので混雑しているかなという不安もありましたが、待ち時間0分で場内も比較的空いていて、じっくりとデルフトの巨匠達の素晴らしい作品を堪能してきました。

お目当ては勿論ヨハネス・フェルメール。残念ながら「絵画芸術」の出展が中止になってしまいましたが、生涯に残した30数点中7点がまとめて日本にやってくるのは非常に珍しいことのようです。風俗画の傑作「ワイングラスを持つ娘」と急遽アイルランドから出展された「手紙を書く婦人と召使い」が良かった。前者は予想よりも淡い色使いでしたが、何と素晴らしい色彩でしょう。真ん中の男に言い寄られて鑑賞者に何かを訴えかける少女の笑みにドキッとし、その一方奥で無表情で座っている男性は何を考えているのだろう。後者は晩年の落ち着いた雰囲気の作品で視点が低く置かれています。そして左側の窓から差し込む柔らかな光が印象的でした。床に散らばっている紙は何を意味するのだろうか・・・
そのほか、最後の「ヴァージナルの前に座る若い女」は1993年から学術調査が開始され、10年かけてようやく真作として評価されたそうです。想像していたよりも小さい作品ですが若い女性の表情がとても物憂げです。

フェルメール以外にも、ヤン・ファン・デア・ヘイデンやピーテル・デ・ホーホ、カレル・ファブリティウスなどの巨匠の作品が展示されていましたが、ファブリティウスの作品が印象に残っています。単色系を基調とした素朴さと光との調和が素敵です。火薬の爆発事故により僅か22歳で生涯を閉じたそうですが、この爆発で彼の作品の大半が失われ、今日に残るのは10点余りにすぎないとのこと。そのうちの4点が今回展示されています。ある意味フェルメール以上に貴重な展示会なのかもしれません。「歩哨」の兵士は寝ているのか、鉄砲に火薬を詰めているのか・・
私には寝ているように見えました。

ところで、今回の展覧会は音声ガイドがタッチペン方式でした。渡されたiタッチ・ガイドシートの写真をタッチペンでタッチするとガイドが始まります。フェルメールの絵画だけには♪マークが付き、音楽が流れてきます。

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ウルビーノのヴィーナス展を見学

2008-05-02 15:53:54 | 展覧会
GW2日目。午前中、上野の国立西洋美術館で開催されているウルビーノのヴィーナス展会を見学してきました。本展覧会ではイタリア各地から貸し出されたヴィーナスを主題とする絵画や彫刻、工芸品などが展示されています。古くは古代ギリシャ神話の女神アフロディテ、ローマ時代のウェヌスに関する工芸品から、ルネサス、バロック初期に至る美しい数々の絵画を堪能してきました。

圧巻はティツィアーノの名作「ウルビーノのヴィーナス」。この作品だけは神話性が一切排除され、官能的な姿が迫ってきます。特にヴィーナスの視線が特徴的です。他の作品は傍らに登場するキューピッドと向かい合っていたり後姿であるのに対し、この絵はヴィーナスの視線が絵を見る我々に注がれているのです。忠誠のシンボルである犬とのバランスも絶妙。神話性を排除したためどこがヴィーナス?と一瞬思いましたが、解説によると赤いバラや窓辺の鉢植え(ミルト)がヴィーナスを象徴しているそうです。この名作はその後、女性ヌードを描く画家にとっての手本となったそうです。

ミケランジェロの下絵に基くポントルモの作品「ヴィーナスとキューピッド」には衝撃を覚えました。よく見ると男性のような筋肉隆々としたヴィーナスの裸体。男性的な筋肉とキューピットと絡む女性的な愛の融合がマニエリズム的に描かれています。

ティツィアーノの「ヴィーナスとアドニス」。ヴィーナスの制止を振りきって狩りに出ようとするアドニス。狩りの最中に猪に突き殺されてしまいますが、アドニスの表情に不吉な予感を感じてしまいました(蛇足ですが、アドニスの流した赤い血からアネモネが咲いたのです)。音声解説によるとキューピッドがヴィーナスを誤って傷つけてしまったことがこの悲劇の発端となったそうですが、その張本人のキュピッドは昼寝を決め込んでいるのです。

最後にアンニバレ・カラッチの2作品「ヴィーナスとサテュロス、小サテュロス、プットー」「ヴィーナスとキューピッド」も印象に残っています。

朝早い時間であったこともあり人出は予想よりも少なく、2時間かけてじっくり鑑賞できました。その後、久しぶりに常設展を訪れ、モネやルノワール、マネなどの近代絵画を見てきました。
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トプカプ宮殿の至宝展

2007-09-06 22:22:04 | 展覧会
今週の火曜日、都心へ出る機会があったので、帰りに東京都美術館で開催されている
トプカプ宮殿の至宝展を見てきました。600年の栄華を誇ったオスマン帝国の財宝の数々
が展示され、想像を絶する富と権力の世界を垣間見ることができます。

トルコ人の故郷は日本人と同じモンゴル高原です。もともとは遊牧騎馬民族で、アジアから
アナトリアへ移動する中でイスラム教徒になったそうです。そしてイスラムの信仰を柱に、
圧倒的な財力で相手をひれ伏し領土を拡大していきました。

最初のLBFのエリアでは、帝国支配者スルタンの政治に関する品々や武具が展示されて
います。金細工が施された武器の数々や金箔で飾られたコーランの写本などが印象に残り
ました。金、ルビー、トルコ石がびっしり埋まった礼装用兜や、軍馬用の面兜にもちょっと
ビックり。スルタンはイスラム聖職者のトップも兼ねていたので、宗教面でも大きな力を
持っていたようです。イスラムでは偶像崇拝を禁止しているためあまり肖像画が残っていない
ようですが、史書に描かれているスルタンの姿に、何となく人間味を感じてしまいました。
 
1階のエリアでは、トプカプ宮殿内の生活ぶりを知ることができます。食器や衣装、生活
小道具の数々が展示され、水晶の塊から造られた薔薇水入れや象牙製の化粧箱、金細工や
宝石の数々、絹製のカフタンなど、富の凄さに驚くばかりです。宝飾コーヒーカップ受けや
150個以上の金の玉が連なり金貨が下がるまばゆいネックレスなど、女性の方はため息を
つきつつ眺めていました。私にはガラス球と宝石の違いがよく分かりませんが・・・
その他では、リュートに似た弦楽器ラブタの展示が印象に残りました。また、イスラムでは
アルコールを禁じていたため、かわりに甘いシロップ水を飲んでいたようです。「シェルベット」
と呼ばれシャーベットの語源にもなっています。体には悪そう・・・

2階には、今回の目玉であるオスマン王朝の秘宝の数々が展示され、圧巻でした。まずは
「ターバン飾り」。5×4cmのグリーンのエメラルドの周囲に500カラットのダイヤモンドや
真珠が散りばめられ、直径3cmほどの水晶も・・・エメラルドは262カラットもあるとのこと。
そして、話題となっている「金のゆりかご」。これには絶句です。金細工の周りには2000個
もの宝石が散りばめられています。秋篠宮殿下に皇子が誕生したことに対しての特別出品で、
普通は国外に出されることはないとのこと。トルコ人の親日感情を伺い知ることができます。
スルタンのお世継ぎが生まれると、お祝いとしてこのような豪華なゆりかごが贈られる風習が
あったそうです。
  
最後に、会場について新鮮に感じた点を2つ。 
まずは音声ガイド。スルタンに関する展示では黒人宦官、ハレムの展示では女官の役に
なりきったガイドによる音声案内は、とても新鮮に感じました。もう一つは会場内の香り。
トルコ特産のバラの香りが会場内に漂っていました。香りつきの展覧会は初めての経験
で、宝石の数々とトルコ香りにクラクラしちゃいました。

トプカプ宮殿の至宝展は東京都美術館で9月24日まで開催されています。

  公式HP:http://www.asahi.com/topukapu/
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新構造展

2007-06-16 23:04:05 | 展覧会
梅雨入りして最初の週末。快晴に明けた八王子の最低気温は14.2℃で、湿度も低く爽やか
です。梅雨はどこへ?といった感じで、午前中は早速今年初めて芝の刈り込みを行いました。
蔓延ったレモンバームもバッサリ。今日の天気同様、庭もすっきりしました。

午後からは、一家四人と両親で東京都美術館で開催中の新構造展へ。父親がここの会員となり
毎年出展しているため、6月の新構造展見学は我が家の恒例行事です。今年も100号の風景画
(南仏のカルカッソンヌの城門)を出展し見応えありました。子供達はすぐに飽きてしまうので
駆け足での鑑賞となりましたが、入賞作品の中では文部科学大臣賞をもらった人物画が印象に
残っています。黒地の背景に写真のように浮び上がる女の子の姿はとてもインパクトあった。



夜は新宿の京王百貨店8階にあるトラットリア "La Villetta" でお食事。イタリア農園の野菜
をコンセプトにしたお店で、ピッツァやパスタ等をワインと共に楽しみました。新鮮な野菜
サラダ、少し甘みのあるピザ生地、ベーコンの香りと生クリームたっぷりのカルボナーラ、
そしてシチリア産の赤ワイン。。。手ごろな値段で頂けます。


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ペルジーノ展

2007-06-09 14:19:00 | 展覧会
今週の水曜日、「ばらの騎士」の公演に行く前に、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で
開催されている「ペルジーノ展」に立ち寄りました。

ペルジーノは甘美なる聖母の画家と形容されています。解説によると、ペルジーノは15世紀
のウンブリアを代表する画家で、当時はレオナルド・ダ・ヴィンチの比肩するほどの名声を
得ていたそうです。ヴェロッキオ工房では、ボッティチェッリ、レオナルド・ダ・ヴィンチと共に
修行し、システィーナ礼拝堂ではボッティチェッリ、ギルランダイオらと共にもっとも多くの
壁面を手がけました。

私は今回初めてこの画家の存在を知りました。展覧会では、修行時代から晩年に至るまでの
数多くの作品が展示されています。画風は、遠近法を強調し、高貴な人物像と素朴な景色が
調和したシンプルな構図といった印象です。カンバス画ではなく板絵が多いのにはちょっと
びっくりです。どの絵も間近に見ることができ、じっくり鑑賞してしまいました。

宗教画が中心とはいえ、聖人が多かった。それと、天使に階級があるのを初めて知りました。
"正義と信心会の旗織" は、聖母子を天使(angel)と智天使(Cherubim)が取り囲み、下から
2人の守護聖人(アッシジの聖フランチェスコと シエナの聖ベルナルディーノ)が見上げる
構図になっていますが、6枚の翼を持つ赤子の天使(Cherubim)が天使の第一階級に属し、
人間とかかわりをもつ普通の天使は第三階級に属すそうです。

その他、顔立ちが美しい”少年の肖像”、石棺の上のキリスト"に描かれた痩身のキリスト
も印象に残っています。
そして、最後に、ゴッホのひまわり・・・(これはおまけ)

普段なかなか見ることのできないルネサンス期の絵画が、一人の画家にフォーカスして展示
されています。とても心が洗われました。展覧会は7/1まで開催されています。

 展覧会案内: http://www.sompo-japan.co.jp/museum/exevit/index.html


ところで、まだ水曜日のばらの騎士の余韻が残っています。とても素晴らしい公演でした。
ちょうど、二日目の公演が始まったところかな? 
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レオナルド・ダ・ヴィンチ展で『受胎告知』を見学

2007-05-01 22:28:15 | 展覧会
パパはGW中。平日のお休みは正月以来です。今日は天気が下り坂のため、上野の東京国立
博物館へ行きました。勿論、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」がお目当てです。

午前11時頃に到着。雨のせいか空いていて待ち時間はゼロ。この名画には13年ぶりのご対面
です。以前ウフィツイ美術館で見たはずなのですが、実はあまり記憶に残っていません。
フィレンツェでは街や教会の至る所に点在するフレスコ画に圧倒され、油彩画もボッティチェリに
感銘したためでしょうか。

でも今回は違います。わざわざウフィツイ美術館の至宝が遠路イタリアからやってきました。
まずは第2会場でダビンチの実像に触れてからと思っていたのですが、現地に着いたら特別5室
へ自然と足が向いてしまいました。入場にあたり、手荷物検査があったのにはびっくりでした。



入り口近くから見た第一印象は予想以上に大きく色が鮮やか! 照明効果のせいでしょうか。
次に、1点消失遠近法や空気遠近法による構図に納得し、大天使ガブリエルとマリア様の表情に
感動です。さらに間近でじっくり観察すると、ガブリエルの羽、足元に乱れ咲く花々、書見台の
彫刻、そして衣服のひだなどの繊細できめ細かい描画に圧倒されます。そして、純潔を意味する
白いユリの花の存在も忘れてはいけません。これが20歳の時の作品というから驚きです。

20分ほど受胎告知を鑑賞した後、第2会場で天才の実像に迫る数々の展示を見学、こちらも堪能
しました。レオナルドの作品である可能性が高いと言われている少年キリスト像のテラコッタが
展示されていました。

途中、2階のミュージアムグッズ売り場の近くで、HITACHIのDIS(デジタルイメージシステム)
の宣伝をしていました。2005年にウフィツィ美術館で撮影したデジタル画像が展示されています。
画像取得にあたっては、作品を傷つけることからスキャナーを使えないため、画面を15分割して
各々を高精細画像技術により撮影・復元し、デジタル処理によりつなぎ目を平坦化して一枚に
統合したそうです。説明員によると、DISの技術により書見台にある聖書の内容が解読できた
と4日前にイタリアから連絡があり、聖書の文字は古代ラテン語であったとのことです。また。
細かく描きこまれた湖畔の町並みについても、今まで美術館の関係者ですら気付かなかった
新たな発見があった、と自慢して語っていました・・・

レオナルド・ダ・ヴィンチ展の詳細は下記を参照
  http://www.leonardo2007.jp/
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