元旦の落語会で買った、『桂吉朝夢ばなし 吉朝庵』です。
2005年に、惜しまれながら、50才という若さで亡くなった、桂吉朝さんの、
息子さんが、親交のあった人から聞き集めた、生前の吉朝さんの思い出話。
友だちが、「涙、涙やで~」 って言うてたんやけど、確かに。
最初のところに、最後の高座のところがあって、
そこでちょっと泣きそうになった、けど、
読み始めたら、笑えることが多くて。
やっぱり、噺家さんは生き様が可笑しいねんな、なんて思ったわ。
読み進んでくると、だんだん吉朝さんの噺が聴きたくなって!
ちゃんと、そんな読者のために?CDが付いてるんですよ~
吉朝さん十八番といわれる、「くっしゃみ講釈」。
そして、コアな吉朝ファンに人気といわれてる「深山隠れ」。
それにしても、本当にいろんな分野の方と交流があったようです。
同じ噺家さんだけやなく、下座さん、文楽や狂言など芸事関係の方とか。
SF作家のかんべむさしさんも仲良しやったんやねぇ。
吉朝さんは、あの「笑殺軍団リリパットアーミー」で、
役者として舞台に立ってはたんやけど、その関係で、
中島らもさん、わかぎゑふさん、松尾貴史さんとかも仲良し。
リリパットアーミーは、「笑殺軍団」というくらい、
役者というより、遊び仲間が集まってオモロイことをしようという軍団。
中島らもさんとゑふさんが立ち上げたらしいけど、
いろんな職業の人が集まって来てたみたいよ。
私は、当時のリリパの舞台は観たことないねんな。
そういや、昨年観にいった舞台「桃天紅」に出演してた山内圭也さんが、
パンフで、リリパに入った頃の話をされてます。
稽古場へ行ったら、いっつも吉朝さんが、幼い息子さんと将棋をさしてた、って。
ちなみに、去年の「桃天紅」で松尾さんが演じてた仙人の役は、
かつて、吉朝さんが演じてた役でした~
同じ噺家といえば、鶴瓶さんのコメントが印象的です。
若いのに上手いから、嫉妬する人も多かったらしいねんけど、
吉朝さんの、『愛宕山』の「すいあま」のところをきいて、
自分もやりたいと思ったって。
「吉朝のをきいてたら、野辺の情景が浮かぶんです」
ほんとに、確かにそうです。
CDをきいてても、ちゃんと浮かぶ、ほんまに~
メディアにそんなに出てる人ではない吉朝さんやけど、
「ほんまに落語が好きな人を、あの年であんだけ集められたいうのは、
立派なもんやと思いますね」
鶴瓶さんとの二人会、実現するならききに行きたいもんです。
後半、病に倒れて亡くなるまでのくだりは、米朝師匠はじめ、
米朝一門と吉朝さんのお弟子さんたちのコメントが続きます。
そこらあたりから、もう、泣き笑い・・です。
個性的なお弟子さんたちは、あさ吉さん、吉弥さんをはじめ、
みなさん活躍されてますよね。
ちゃんと、受け継がれていってますやん。
それにしても、いちばん悲しかったのは、
7回忌を迎えてこの本が出版されたんやけど、
この本にもチラチラ登場する「オカン」、つまり、
私生活でずっと吉朝さんを支えていた奥さんが、
先月、愛するダンナさまのところに行ってしまわれたこと・・。
11月の追善落語会も、見られてなかったんやねぇ。
同世代の方が亡くなるって、本当に、身につまされます。
吉弥さんによれば、「今、ウチの一門で一番売れてるのが師匠」とか。
CD、DVD、売れてるようです~
『桂吉朝夢ばなし 吉朝庵』
上田康介著 小佐田定雄監修 淡交社 CD付き 2650円