水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

ノルウェイの森

2010年12月13日 | 演奏会・映画など
「ノルウェイの森っておもしろいかな?」と高校生に娘に聞かれた。
 「う~ん、微妙かな」「えっ、もう観たの?」「えっうん、土曜に … 」「おもしろかった?」「高校生という時代の貴重な時間を費やす作品としておおいなる疑問を父はいだくよ」「 … 」
 「マチェーテ」は、たしかにがんがん人も死ぬし、過剰なエロもあったが、若者が観たところで、悪影響をおよぼすとはかぎらない。R18指定はおかしい。
 健全に育っているお子さんなら小学生でもだいじょうぶだ。
「ノルウェイの森」はR12指定。中学生が観ていいだろうか。
 観てもいいけど、つまんないよ。エロいだけだよ。
 つまんなくない中学生の場合、悪影響はあるかもしれない。
 よほど読解力にすぐれ原作のもっているメッセージに近づけるタイプだと、むやみに死が身近に感じたり、部活とかやってて何になるの? と思ってしまったり。
 たとえば30年前の中学生、高校生が『二十歳の原点』にハマったみたく。
 さすがに高校生ともなれば、精神への悪い影響まではもたらさないだろうが、村上春樹ってこんなもんなの? というがっかり感を抱く危険性はある。
 精神のおかしい人たちが、ヤらしいことに過剰に意味づけしてるだけじゃん、というように。だからR18です。
 ていうか、部活でがっつり汗かいて、やべーちょーはらへったー、という状態の若者が観たら、不快感しか残らないのではないか。
 もし、生徒さんにそのように言われたなら「それが文学なのだよ」と答えるしかないかなと思う。
 そして映像にするとこんなものかといえば、こんなものだと。
 たしかに原作のいろんなシーンが描かれてない、だからある性描写に至る必然性が感じられないという批判はあるだろう。
 内田樹先生もそのように書いておられた。
 でもあえて言うなら、すべての文学作品のエッセンスのみをコンパクトに映画化するなら、その多くは性描写と死の場面になってしまう。
 作品のもつ内容を、映画にしかできない形で表現しえた時に、それは成功昨と言えるのであり、映画「ノルウェイの森」はそういう意味での成功作とは言えないが、それは原作が悪いわけでも、映画というジャンルに問題があるわけでもない。
 普通に原作を読んだ方が、ふつうに映画を作ったらこのぐらいの結果になるだろうなという感じだった。
 予想を超えていないという意味で、映画観てよかった度合いについては不満足な面もあるが、水原希子さんという初めて見る女優さんの存在感だけは圧倒的だった。
 
コメント
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