指定校推薦で合格したみなさんに、「大学生活をどう過ごしたいか」という題の作文を宿題に出した。
課題図書も読まねばならないのだが、20数冊示したうち人気の高かったのは、瀧本哲史『武器としての決断思考』と中谷彰宏『大学時代にしなければならない50のこと』の2冊だった。
『武器決』はちょっと前どの本屋でも山積みだったから、目に入りやすかったのかな。
中谷本は、活字が少ないのも人気の理由ではないだろうか。本を読まずに書いたなと思われるのもあったが、呼び出していじめたりはしてない。
瀧本哲史先生のご本は『僕は君たちに武器を配りたい』の方も大ベストセラーだが、このタイトルほど学校の先生の仕事を表す言葉はないと思う。
そう、武器を持ってもらいたいのだ。丸腰で世をわたっていくのは危険だから。
非凡な人なら大丈夫かもしれない。
どんな生き方を選んだにせよ、まわりからその天才を認められるような人なら。
そういう人は、丸腰で天然のまま生きてても、周囲がほおっておかない。
ただし、天才ともてはやされる人のほとんどは、類い希な才能を持つ人が想像を絶する努力をした結果の姿であることも、大人ならわかる。
想像を絶してしまうわれら凡人が世を渡っていこうとするならば、せめて、普通にものを考えられる力とか、簡単な計算能力とか、気持ちよく挨拶できることとか、思いやりの心とかをもっていた方がいい。
われわれが生徒さんになんとか身につけてもらいたいと思っている、学校的勉強での学力や、その結果の一つとして手に入れられる学歴は、武器としてはきわめて有効なもののはずだ。
瀧本先生のおっしゃる「決断思考」も、最近はまっている岡田斗司夫先生の「論理的思考による防衛力」も、有効な武器だ。これを身につける場として、大学は実に効果的な場所だから、行けるものなら行っておいた方がいい。みんな受からないかなあ。