現代文は今日が最後の講習日だった。問題文は佐藤春夫「恋愛について」。
試験前々日に読むにしてはのんびりしてるかなと思ったが、「恋愛は人を変える」という主旨の文章を読むうち、文中の「恋愛」は、文学にも、たとえば音楽にもおきかえられる、芸術や学問におきかえても読める、そうか勉強するということは自分を変えることなんだ、と納得できたので読んで自分のためになった。
たまたま朝買って読んだ、週刊文春の村山由佳さんのインタビューともリンクしてておもしろかった。
~ 自分が自分じゃなくなるのが恋愛ですから。自分のままでいられるんだったら恋愛じゃないと思います。(「阿川佐和子のこの人に会いたい」913回)
佐藤は言う。
「いづれは正気の沙汰ではないのだ」「まことの恋愛などといふものは人類の大きな伝説の一つだ」。
実体のない恋愛という「るつぼ」に人は投げ込まれ、そこで本性を現す。熱せられてはじめて自分が突き抜けてくるのだと。なるほどね。
「本当の自分を見つめる旅」なんてのが一時流行ったけど、旅に出たからといってそんなものは見つかりはしない。
たとえば恋に落ちてしまい、そのままどうしようもないくらい葛藤すること。
部活で辛い思いをしたり、人間関係に悩んだりすること。成績があがらなくてつらいこと。
目の前の現実を受け止めて、というか取り込まれてしまい、どうしようもなくなった自分を体験したときに、あっこれが俺だったんだと気づくということだ。
「自分が自分じゃなくなる」経験か … 。