水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

2012年02月20日 | 日々のあれこれ

 「バンドジャーナル」の3月号に、「理想の審査を考える」という特集が載っている。
 昨秋の全国大会の審査が、とくに高校部門の審査がいろいろと物議をかもしたのが、この特集に結びついていることは間違いない。
 実際に審査されてる先生方からは、朝一番だからといって決して不利ではない、後で修正する時間もあるからというお話があり、一方で中村紘子氏(あのピアニストの)が「朝一番は不利」と言い切っているインタビューが興味深かった。
 「朝一番は不利というのはコンクールの宿命でしょね」という後藤洋氏の質問に答えられて中村氏は言う。

 ~ コンクールに絶対必要なものは、まず才能、努力、それから幸運なんです。この3つがそろっていなければ、どんな人でもだめです。 ~

 「この問題を解消する方法はないんでしょうか」と後藤先生が問う。

~ ないと思います。運ですから。
 ただし、反対に言うと、一線でいい仕事をしている人は、みなそういう運の強さを持っている人が多いですね。 … 運がなければ、どんな天才でもだめでしょうね。 ~

 中村紘子氏の断定では、どなたも反論できないだろう。
 高校生の吹奏楽コンクールレベルのお話ではないとはいえ、いろんなことに通じる真理はそこにあるような気はする。
 どんな才能をもっていても、それを発揮できる環境に生まれ育てつことができるかどうかは運でしかない、という意味で。
 また、全然思うようにいかなかった時でさえ、「逆についてるのかも」という発想に切り替えられる人は、幸運のスパイラルに入っていける可能性が高いのではないかと、なんの科学的根拠もなく思う。
 運はいい方がいいかもしれないが、何の努力もないところに幸運がもたらされた場合、だいたいの場合その人をだめにしていくから、そういう意味では、幸運は不運だったということになる。
 ものすごい努力をして、でもちょっとした不運のせいで結果が出なかったとしても、そのとらえ方によっていい方にも悪い方にもなるものが人生なら、絶対的幸運、絶対的不運というのは元々存在しないのかもしれない。

コメント (2)
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