1学年だより「ナルナル詐欺」
「うちの孫は、県立の進学校に入学したにもかかわらず、ぜんぜん勉強しない。将来は漫画家になるから、大学にも行かないと言って、部活から帰るとマンガを描いている。そんなのは認めない、ふつうに大学に行けという親との口論がたえない。どうアドバイスすればいいでしょう」
以前、朝日新聞の人生相談コーナー「悩みのるつぼ」にこんな相談が載った。
回答者の岡田斗司夫氏はこう答える。
~ おばあちゃん、「ナルナル詐欺」に騙されてますね。
ナルナル詐欺は青春の若者や青春をこじらせた元若者がかかる病気。困ったことに本人たちも詐欺だとは思わず、本気で「○○になる」と思い込んでいるのが特徴です。
なぜ詐欺だと言い切れるのか?
孫は「やりたいことを我慢」して努力してないでしょう?
「夢」を勉強しないことの言い訳に使っているだけ。
なにも我慢せず、単に夢想・逃避するのが「夢」です。保護者なら夢なんか応援しちゃいけません。応援すべきは「目標」です。やりたいことを我慢して日々積み上げて到達を目指すことです。(岡田斗司夫『オタクの息子に悩んでます~朝日新聞「悩みのるつぼ」より』幻冬舎新書) ~
みんな、「ナルナル詐欺」してない?
ナルナル詐欺まではしてなくても、ちゃんと勉強するよ、やるからだまっててよ、言われるとやる気なくすんだよ、やるときはやるんだから … という「ヤルヤル詐欺」はけっこういるという話を耳にしている。
さて、このあと岡田氏は具体的なアドバイスをする。
まず「マンガ家になるという目標を応援する」と宣言せよと言う。
そのために部活をやめさせて、毎日ちゃんとマンガを描かせ、出版社に持ち込ませないさい、と。
一年間、徹底的にその活動をやらせて、それで編集者から声がかからなければ、普通の大学に行かせる。
そのようにしようと本気で提案したとき、孫も家族も今の問題点が明らかになり、話し合いもすすむはずだとアドバイスしている。
「やりたいこと」とは何か。「夢」とは何か。
それが「本当にやりたいこと」「本当に実現したいこと」であるなら、他のことをがまんしてでもやろうとするはずだ。
「自分はやればできる」と本気で信じている人は多く、実際にそうであろうとは思うのだが、やらないまま終わっていった人を相当数見てきた。
いつかやる、目標は決まっていると言いながら、目先の快楽に時間を費やしてしまい、本当にやるべきことから目をそらしていたなら、「ヤルヤル詐欺」と言われてもしかたない。
高校へ入学して半年が過ぎた。つまり高校生活の六分の一が終わったということだ。
三分の一終わる時点でしっかり挽回できるようにがんばっていこう。