水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「富嶽百景」の授業(8) 三段落 第一場面

2016年02月17日 | 国語のお勉強(小説)

 

三段落 〈 第一場面 御坂峠 〉

 「お客さん! 起きてみよ!」かん高い声である朝、茶店の外で、娘さんが絶叫したので、私は、しぶしぶ起きて、廊下へ出てみた。
 娘さんは、興奮して頬を真っ赤にしていた。黙って空を指さした。見ると、雪。はっと思った。富士に雪が降ったのだ。山頂が、真っ白に、光り輝いていた。御坂の富士も、ばかにできないぞと思った。
 「いいね。」
とほめてやると、娘さんは得意そうに、
 「すばらしいでしょう?」といい言葉使って、「御坂の富士は、〈 これ 〉でも、だめ?」としゃがんで言った。私が、かねがね、こんな富士は俗でだめだ、と教えていたので、娘さんは、内心しょげていたのかもしれない。
 「やはり、富士は、雪が降らなければ、だめなものだ。」〈 もっともらしい顔をして、私は、そう教え直した。 〉
 私は、どてら着て山を歩き回って、月見草の種を両の手のひらにいっぱい取ってきて、それを茶店の背戸にまいてやって、
 〈 「いいかい、これは僕の月見草だからね、来年また来て見るのだからね、ここへお洗濯の水なんか捨てちゃいけないよ。」娘さんは、うなずいた。 〉


場面設定
 場所:御坂峠  時:富士に雪が降った朝  人物:私・娘さん


Q「御坂の富士は、〈 これ 〉でも、だめ?」の「これ」について、

Q32「これ」とは何か。(20字以内)
A32 雪で山頂が真っ白に光り輝いている富士

Q33「これ」を見たとき、「私」はどう思ったか。15字以内で抜き出せ。
A33 御坂の富士も、ばかにできないぞ

Q34 この場面の色彩感を説明せよ。
A34 空の青、山頂の白、娘さんの赤のコントラスト。


事件 娘さんが興奮して富士を指さす
   「これでもだめ?」としゃがんで  … 「私」にあまえるようなしぐさ
           ↓
心情 自分の富士批判に内心しょげていたのか
     ∥
  「娘さん」の自分への好意に気づく
   傷つけていたことを反省
           ↓
行動 もっともらしく説明する
   来年も来るよ


Q35「もっともらしい顔をして、私は、そう教え直した」とあるが、「私」の心情を説明せよ。
A35 御坂の富士を見下す自分の言葉を、思いのほか娘さんが気にしていたことに気づき、自分の言葉はあくまでも筋の通ったものであり、御坂峠がきらいなわけではなかったと慰める気持ち。

Q36「 「いいかい、これは僕の月見草だからね、来年また来て見るのだからね、ここへお洗濯の水なんか捨てちゃいけないよ。」娘さんは、うなずいた。」というやりとりには、どういうことが表現されているか。

A36 また訪れるつもりだという「私」の気持ちと、それを聞いて安心する娘さんの思いが表現されている。

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今年の課題曲

2016年02月17日 | 日々のあれこれ

 

 「最近の課題曲マーチはマーチ風のJポップだ」と、どなたが批判気味に書かれていたのを目にしたのは、去年だっただろうか。でもJポップ風という評価は、自分的にはプラスにしか思えない。1の「スカイブルー・ドリーム」は、Jポップというより、ニューミュージック、いやむしろフォークかと言いたくなるようなコード進行にも感じ、胸がキュンキュンする。先週末、東京佼成ウインドオーケストラの演奏で聞いたときには、号泣してしまった。「ザ・青春」という感じの曲だ。
 2「スペイン市場にて」は、ほんとにスペイン風で、課題曲というより、普通に吹奏楽の名曲と言っていいんじゃないかな。課題曲じゃなかったら、バンドに編成にあわせて楽譜を少しかえて、めちゃめちゃスペインにして演奏したい。
 3「ある英雄の記憶」。タイトルも曲もかっこよすぎる。これは指揮者も燃える。大井さんも燃えてるように見えた。指揮者によって様々な色合いを見せるシエナさんとは対照的で、佼成さんはどの指揮者が振られても円熟した音色で聴かせてくださる。
 4「クローバグラウンド」は、ものすごく凝ったつくりのマーチ。すっきり仕上げるのは難しそうだ。むしろ演奏会でやってみたい曲。1、2、3、4のどれもが、バンドの実情さえ許すなら演奏してみたい曲で、そんな風に思えるのは珍しいかもしれない。
 5「焔」は、いかにも五番ですよという作品だった。
 「焔(ほむら)」と聞いて先ず思い浮かべるのは沢井忠夫作品だ。一恵先生の十七弦ソロのために書かれた合奏曲。沢井忠夫がでなければ箏は古典楽器の枠を出ず、沢井一恵先生がいなかったら十七弦は独奏楽器にはならなかった。どの分野にも、ジャンルの枠そのものを広げる天分が存在する。
 邦楽にはまっていた学生時代、沢井先生の金沢公演をお手伝いし、打ち上げでスナックにつれていってもらってカラオケ三昧した。沢井さんと飲みに行ったことあるんだぜとか言っても、もう若い子には伝わらないかな。先生が熱唱した「ギャランドゥ」が何十年経っても耳に残る。自分の「風雪ながれ旅」はけっこう褒めてもらえた。じじいの自慢話だな。
 1~4まで演奏してみた。どの曲ももっとさらってから選びたいし、他の学校さんはそうするのだろうが、われわれに与えられた時間はかぎられている。えいやっと決めてしまって練習していこう。

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