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私の男 桜庭一樹

読み終えたその日に、本書が直木賞を受賞した。前に読んだ「赤朽葉家の伝説」が大変面白かったのと、いろいろなところで評判が良いので、読んでみたのだが、どうも前作と同じ作者の作品とは思えない感じだった。その前に読んだ「少女には向かない職業」と「赤朽葉家の伝説」も同じ作者とは思えない感じだったので、読む度に大きく変わっている作家ということだろう。直木賞の受賞理由には、どのように変貌するかという将来の楽しみも入っているに違いない。本書の内容は、主人公の異常な感情の理由が、語り手が章ごとに変わり、しかも時間を遡る倒叙形式で語られるなかで、次第にあきらかになっていくという話である。「赤朽葉家」のようなあそびの要素がないシリアスで、現代的な怖い話である。個人的には「赤朽葉家」の方が好きだが、次に何がでてくるかという楽しみは、本書によってますます強くなった。(「私の男」桜庭一樹、文藝春秋社)
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マシュー・フォックス LOST ジャック 

LOSTの主人公ジャック役、マシュー・フォックスのコレクティブル。主人公ということで当初からリーダーシップを発揮して活躍してきたジャックだが、season2途中あたりから、疲れがでてきたのか、判断を誤ったりする場面もいくつかでているし、ストーリーのなかでかげが薄くなったりしている。それに合わせて、ジャックの表情が少しずつ自信なさげになっていくのを、マシュー・フォックスがしっかり演じている。
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禁断のパンダ 拓未司

「2008年・このミステリーがすごい!大賞の受賞作」と大きな文字で帯に書かれているのを目にして購入。かの「チーム・バチスタの栄光」を世に送り出した賞の受賞作ということで期待して読んだが、まずは期待通りの面白さといったところ。文章も読みやすいし、ストーリーも楽しめた。この本の難点をあげるとすると、受賞作ということで最後に選考委員会の委員のコメントが載っているのだが、これははっきり言って不要な気がする。選考委員がこぞって、この大賞受賞作を、ミステリーとしては全く評価しておらず、ただ料理の描写が優れているだけであるとコメントしている。これほど読者を馬鹿にした話はない。選考委員のコメントをみても、「今すぐに商業出版できる…」とか「手あかの付いた既視感云々」などとなっており、なんだがこの賞そのものがどういう基準なのかさえ、判らなくなるようなコメントが多いのだ。この作品に責任は全くないのだが、最後の選考委員のコメントのせいで、妙に後味が悪くなってしまった。やはり巻末の解説は、選考委員ではなく、この本を読んで面白いと思う人に書いてもらうのが良いと思う。(「禁断のパンダ」拓未司、宝島社)
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T205 ② George Paskert ヴィンテージカード

このT205の日本での収集方法は、T206と全く同じである。かつては、ほとんど見ることすらできなかったが、最近になって復刻版が売り出され、そのなかにまれに「本物」が封入されるという形で、日本でも見たり集めたりが容易になった。それでも、製作枚数自体がT206よりも少ないのか、T206よりも捨てられた比率が高いのか、とにかく見かけることが少ないのも事実である。T205とT206を比較すると、デザイン的には、非常にシンプルなT206の方が数段勝っているように思われる。私が保有しているT205は紹介した2枚だけだが、いずれもコレクター仲間から譲ってもらったものである。
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マイク・シュミット  サイン MLB

コレクティブルを紹介したマイク・シュミットのサイン。彼のサインは、野球選手のサインのなかでも非常にきれいなサインであり、私の大好きなサインの1つ。サインをするスペースいっぱいに書かれているところも大変すばらしい。
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T205 ① P J Livingston ヴィンテージカード

ここで紹介するのは、T205というシリーズのヴィンテージ・カードである。世界最古の野球カードのシリーズといわれるT206に次いで古い野球カードのシリーズである。聞いた話では、今でこそT206、T205は高額で取引されているので、いろいろな調査が行われているが、昔はただの「タバコのおまけ」ということで、それぞれの製作された時期さえ、記憶している人もいなくなり、定かでなくなってしまったとのこと。その時は、T205の方がT206よりも古いと考えられ、205,206の番号をつけられたが、その後、実は206の方が古かったということで、番号が多い方が製作時期が古いという逆転現象が生じてしまったとのこと。どうでもよいことが忘れ去られるのは早いということだ。このT205は、希少性から言うとT206よりも価値がある(製作枚数が圧倒的に少ない)ようなのだが、コレクターの多さなどから判る人気度は、圧倒的にT206に軍配が上がるようだ。ちなみに私のコレクションは、T206の9枚に対してこちらのT205は2枚だけである。
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マイク・シュミット  バット MLB

往年の大リーガー、マイク・シュミットが試合で使用したバットをあしらったコレクティブル。ナショナル・リーグ最多の本塁打王8回、打点王4回、通算本塁打548本の強打者で、守備面でもゴールデングローブ10回の名三塁手。実際のプレーをみた記憶はないが、思い切りの良いフルスイングが信条だったようで、三振王も4回記録しているとのこと。
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カラフル 森絵都

あまり堅苦しくないが、しっかり作者の思いが伝わる傑作だ。何かに行き詰ったときにどうしたらよいか? 「自分を客観視してみたら」「期限を区切ってやってみろ」「あまり深刻に考えないで」「人は人、自分は自分」などといったアドバイスの全てが当てはまるような設定には、本当に感心する。奇跡のような設定だが、こうした設定を考え付くこと自体が奇跡のように思われる。(「カラフル」森絵都、理論社)
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デューク・スナイダー ユニフォーム MLB

戦後まもなくの頃にドジャースで活躍した往年の大リーグ名選手、デューク・スナイダーのユニフォームをあしらったコレクティブル。本塁打王1回、打点王1回、通算安打数は2000本強、本塁打は400本と、飛び抜けた記録はないが、記憶に残る選手だったようだ。
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フィル・ニークロ ユニフォーム MLB

何故か日本で知っている人の多い、往年の大リーグ投手、フィル・ニークロのコレクティブル。彼のサインを持っていないので、これが初登場である。300勝、3000奪三振を達成、野球殿堂入り、背番号永久欠番の稀代のナックルボーラーである。息の長い選手だったようで、40歳を超えてからの勝利数の大リーグ記録といった少し変わった記録の保持者である。
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雪沼とその周辺 堀江敏幸

雪沼という架空の町の住人たちの静かな生活の起伏をえがいた川端賞・谷崎賞ダブル受賞の連作短編集。それぞれの短編の主人公は、いずれも同じ地区に住む人々で、ちょっとした関係があったりなかったりというゆるい関係が想定されている。また、それぞれの物語は、それほど大きな起伏ではないが、主人公にとっては小さな事件とはいえない起伏がえがかれている。主人公の過去を知って初めてその起伏の大きさと深みが判るような起伏だ。全てが緩やかで静かで、その感動も緩やかで静かなものだが、非常に大切な感動のような気がする。題名の「雪沼とその周辺」という「その周辺」という表現そのものが曖昧だが、その曖昧さも全てが計算しくされたものなのだろう。アクロバティックな技巧的ミステリーや、想像力を掻き立てるような自由奔放なファンタジーにはない読書の別の醍醐味がある。5冊に1冊くらいは、このようにほっとする静かな作品もいいなぁと思える作品だった。(「雪沼とその周辺」堀江敏幸、新潮文庫)
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ドン・ドライスデール バット MLB

大リーグ・ドジャースの名投手、ドン・ドライスデールのバットを埋め込んだコレクティブル。「BIG・D」の愛称で親しまれ、背番号の53はドジャースの永久欠番である。通算209勝。投手の「バット」のコレクティブルというのは、別に珍しくないが、彼の場合はやや特別だ。1965年の彼は、投手として23勝あげる一方で、打者としても130打数39安打と3割を記録した。打者としての才能も本物だったようで、39安打のうち7本がホームランだったという。1958年には同じく7本塁打しており、これが投手としてのナショナルリーグ記録だという。そういう事実を知ると、このバットのコレクティブルも大変面白く感じる。
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ロビン・ヨント サイン MLB

ミルウォーキー・ブリュワーズの往年の名選手ロビン・ヨントのコレクティブル。ブリュワーズのコーチにもなっている、フランチャイズ・プレーヤーである。通算安打3142安打は歴代17位だが、首位打者8回のトニー・グインの3141安打を1本上回っているのだから、すごいと言えばすごいのだろう。
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シャラポア ウェア テニス

女子テニスの人気NO.1、シャラポアのウェアをあしらったコレクティブル。色が同じなので、おそらく写真のウェアである。彼女の場合は、人気先行とは言えない活躍をしているようだ。
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風の守り人 上橋菜穂子

「守り人」シリーズの第3作目。最初は、これまでの2冊に比べてやや物語の世界に入り込みにくい感じがしたが、すぐにこれまで通りに浸りきることができた。このシリーズは3作目の本書までが文庫化されていて、その続きは単行本でということになるが、このシリーズに関しては、巻末の充実した解説が楽しみの1つなので文庫になるまで待とうかと思ったりするくらい、解説が充実していて面白い。3作目の本書の解説は「バカの壁」でおなじみの養老孟司氏である。彼自身、このシリーズを完読されたファンの1人のようで、その解説が実に的を射ている。異世界ファンタジーはその世界になじむまでに労力がいるので、それに慣れてくると次が読みたくなる、簡単には終わって欲しくなくなる、その要望に応えるためにシリーズ化されて長くなる傾向があるとのこと。正に今の私の状況を的確に言い当てられてしまったように思われる。(「風の守り人」上橋菜穂子、新潮文庫)
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